マクラメボードの便利な使い道と、昭和の「コルク」の話
あっこんにちは。手芸についてあれこれ書いている owarimao です。先週は下のような藤色のマクラメバッグを完成させました。
その前の回では、19世紀の本に出ているのと同じ図版が、昭和初期のマクラメ本にも載っていることを書きました。
およそ100年前の日本では、少なくとも3人以上の手芸家が、それぞれ独自のマクラメ台を考案して売り出していました。
たとえばこんなのです。

「二個の脚は取り外して横にも竪にも使用することが出来ます」
上の「マクラメ器」の広告はこれです。「欧米でも大好評」という文字があるので、輸出もしていたようです。(なんと……)


前にもご紹介した「河野富子」先生は、平たい台のほかに円筒形の器具も考案されました。角度も自由に調整できるそうです。
円筒形の小さいものを作りたいときは確かに便利そうですが、サイズが大きければ、どっちみち編地を移動させていく必要がありますね。だったら、平たい台でも同じことでは?

ある先生は「(マクラメの)用具と申しましても、別に面倒なものが要るわけではありません」と書いたあとに、こう続けています。
(マクラメ台の)代用として、裁縫用のコテ台などをお使いになる方もありますが、それでも間には合いますけれど、それでは仕事の上に不便で能率も上がりませんし、随って、作品の出来上がりには餘りよい結果を得られません。
……って結局「特別な道具が要る」ってことじゃん!「これを買いなさい」ってことじゃん!!
「第一次マクラメブーム」がわりとすぐ去ってしまった原因の一つは、こういうところにあったのではないかと私は思っています。
それに対して、器具を考案しなかった先生もいます。そういう人はマクラメの手軽さを強調する立場で、こんなふうに書いています。
マクラメは今は世界的に流行し尽くしたものですが、これはただ糸だけで、何等の用具を用いないで誰にでもできるよいものでございます。
そうそう、そうですよ。大事なのは道具よりも、「やりたい」「作りたい」という気持ちですよね? 少なくとも初めのうちは……
下は私が去年の4月に、初めてマクラメ関連で書いた記事です。今の日本でマクラメをしている人は、そのほとんどが、メルヘンアート社の「マクラメボード」を使っているんじゃないでしょうか。
「マクラメボード」といっても、コルクの板に方眼をプリントしてあるだけのものですが、これがすごく便利です。針がしっかり刺さるし。コルクって何て素晴らしい素材なんだろうと思います。素材そのものは古代から知られていたようですが、「マクラメに使おう」と考えつく人はなかなかいなかったんでしょうか。
下の写真は、マクラメに使う糸を切り揃えようとしているところです。長くて伸縮性のある糸を、同じ長さにたくさん切りそろえるのはなかなか面倒です。

でも、この作業にもマクラメボードが使えることに気づきました。
使う糸のうち、最初の1本だけは、メジャーを使って丁寧に長さをはかります。そしてそれをマクラメボードに巻きつけて、何周になるか数えます。
今回は「190cm = 4周半」でした。
長い糸の端を待針でボードに止めて、4周半巻きつけます。切ったら待ち針をつけたままはずして、ボードの端にまとめておきます。
これでだいぶ能率よく、同じ長さに糸を切ることができました。
いつものように、5本ずつ束ねておきます↓

こうしてひそかに次の作品づくりが始まっているんですが、今週は年末の忙しさもあって、糸を切るだけで終わってしまいました。これがどんなふうになっていくかはまだ内緒です。
それはそうと……「コルク」ってそもそも何だかご存知ですか?
もちろん今どきのことだから、すぐに概略は知ることができます。「コルク樫」という木の樹皮から採れるものなんですね。
むかしまだ小学生のころ(昭和50年代)、学研の学習雑誌で、このコルクについて読んだことがあります。そこに「コルク樫」の皮を剥いでいる写真がありました。
大人でも抱えきれないような大木の分厚い樹皮を、まるで服を脱がせるみたいに剥ぎ取っている写真です。それがなんだか印象に残っていて、「コルク」というとその写真を思い出します。
コルクでできたものといえば、ワインの栓とか掲示板とかがありますけど、昔はビールの王冠の裏側にも、コルクがついていました。私はこれが何だか好きで、機会があると触ってみたりしていました。やっぱり「コルク樫」の写真のおかげで、この素材に親しみを感じていたんだと思います。
ビールの王冠のコルクは、いつの間にか見かけなくなりましたね。ちょっと寂しい……。

あんまり見ないね
