わが子に将来ホワイトカラーになってほしいですか?
この記事をお読みになる前に前回の「これからの子育て・教育では行動遺伝学を無視することはできない」を読んでいただけるとより理解しやすくなりますが、マストではありません。
AIの普及によって社会が大きく変化しています。この変化は今後さらに加速し激動の時代に入ることは間違いありません。子育てや教育もその変化に応じたものにしていく必要があります。
今までは「学校の勉強ができる=高偏差値=高学歴=ホワイトカラー=高収入=勝ち組」という方程式がありました。そのため、どの子もみんな小さいときから一律に「勉強、勉強」と言われ続けてきました。
そして、勉強に向いている子だけが異常に有利な状況が続いてきました。特に、遺伝的な生まれつきの資質として理数系と言語の能力が高い子は有利でした。そして、そうでない子は不当に低い評価を受けてきました。
ところが、AIの普及と社会構造の激変によってこの方程式が崩れつつあります。ひと言でいうとホワイトカラーの没落と現場職の復活です。
これについては、2026年5月20日放送の「クローズアップ現代 オフィスより稼げる“現場職”!? これからの仕事は」という番組が非常に示唆に富んでいたので、以下に私がまとめた概要を載せます。
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・いま日本の二十代の就職や中高年の転職で現場職の人気が高まっている
・背景にあるのが現場職の需要拡大と賃金の上昇。さらに、AIの発展に伴うホワイトカラー職への将来不安など
・二十代や中高年など幅広い世代が”手に職”を求め始めている
・電気工事士や土木工事などAIにできないことの資格が人気
・現場職を選んだ理由は下記の通り。
1,手に職がつく13.7%。
2,体を動かす仕事が好き13.5%。
3,収入がいい13.3%。
4,社会に不可欠な仕事(やりがい)11.5%。
5,転職先に困らなさそう9.7%。
6,学歴関係なく成功できそう9.5%。
7,AIに代替されにくい6.5%。
8,実力主義の現場5.9%。
9,独立・起業しやすい1.7%。
・リクルートワークス研究所主任研究員の古屋星斗氏によると「高齢化や人口減少の影響で生活を直接支えるサービスへの需要が高まっている。現場職に賃金と仕事の意味が戻ってきている。もともと人間は農業や漁など体を動かして仕事をしてきたわけで、ホワイトカラーという仕事が爆発的に伸びたのはここ数十年の間にすぎない。これから稼げる仕事が変わっていく時代に入った。働くことの意味の変化もある。現場職は「きつい・汚い・危険」の3Kだったが、今は新3Kと感じる人が増えている。それは現場職に対する「関心・共感・感謝」の気持ち。当たり前と思っているものを支えてくれてる人がいるんだなという感謝の気持ち」とのこと。
・古屋星斗氏によると「高校生と大学生の求人倍率は高校生の方がこの十年高く、この傾向はますます顕著になっている。工業高校生は30倍にもなっている。つまり1人の高校生を30社が奪い合う状態(出典:厚生労働省とリクルートワークス研究所)」
・アメリカでもAIがホワイトカラーの仕事を奪っていて、ブルーワーカーの方が収入も上がっている
・アメリカでは四年制大学に行かず職業訓練施設に行く若者が急増。電気工事士職業訓練施設(カリフォルニア州)では、ビルの電気配線の工事をするインサイドワイヤーマンのコースが人気になっている
・AIの影響で失業した人を支援する団体のケイトリン・コートさんは「AIの影響を受けるホワイトカラー職に就くと将来どうなるのか、新卒者はよく考えて決断しなければならない」と言っている
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以上が「クローズアップ現代 オフィスより稼げる“現場職”!? これからの仕事は」という番組の概要です。
もちろんこの先の変化は不明であり、ホワイトカラーが全くなくなるということはないと思います。でも、AIに代替できない仕事の需要が増えることと、そこの賃金が上がることは確かでしょう。
同時に、「自分はこれが得意」といえるスペシャリストの需要が増えると思います。ですから、生まれつきの資質にそって好きなこと得意なことを伸ばすことが大事なのです。
ペット・弟妹の世話や人形遊びが好きな子は、ナーシングやケアリングが好きで得意なのです。そういう子はそれを活かすことが大事です。手を使って何か作るのが好きで得意な子や、物の構造やメカに興味がある子は、それを活かすことが大事です。具体的には建設・土木・製造などの仕事かと思います。
そういう仕事でちゃんと生活できて、同時にリスペクトされるようになっていくと思います。そうしていかなくてはならないとも思います。本人のためにも社会のためにもです。物作りに向いている子がホワイトカラーになっても、本人のためにも社会のためにもなりませんから。
これからは、勉強に向いている子だけが異常に有利な状況はなくなり、どの子・どの人も生まれつきの資質を十分活かせる社会になっていくと思います。そうしていかなくてはなりません。行動遺伝学の安藤寿光氏も同種の発言をたびたびしていらっしゃいますし、私も全面的に賛成です。
