見出し画像

ベトナム・タイ族の暮らし|ゲアン省コンクオンで見た酒、織物、結婚式


ベトナムのゲアン省にあるコンクオンに来てはや3ヶ月目。激動の毎日を過ごしています。ベトナム流のお酒のおもてなしでベロベロになったり、血尿事件があったり(実際には血尿ではなくこの後紹介する食べ物が原因だった)、綺麗な伝統織物に魅了されたり。

そういえば先日、ベトナムに私より3年ほど先に移住したかつての同僚と電話した時に「ゲアン省?なにそれ?」といわれ膝から崩れ落ちてしまいました。そんなに知名度なかったの、ゲアン省。いや、私の知り合いが知らなかっただけと思いたい。

↓ゲアン省の観光スポットについてはこちら

↓私が住んでいるプーマット国立公園のあるコンクオンについてはこちら


今回はタイ族(Thái)について書きたいと思います。それもゲアン省のタイ族についての。


そもそもなぜタイ族について書くかというと、私の周りの人々の多くがタイ族だからです。職場の上司も、ご近所さんも、村の人たちもタイ族。ベトナム語とは違う言葉(タイ語)で話し、洋服もエスニック。高床式住居に暮らし、食べ物も、お祈りも、本流のベトナム文化とは異なります。この不思議なタイ族の人々について書き留めたい、そう思ったからです。

そもそもタイ族とはどのような民族のかというと、ベトナムで2番目に多い少数民族です。1位はキン族でいわゆるベトナム人です。キン族はベトナム人口の85%を占めているそうです。では、2位のタイ族はというと約180万人ほどで全体の2%!札幌市と同じか少ないくらいの人口です。タイ族の人々はベトナム北部にかけて広く生活されてます。諸説ありますがもともとは中国・雲南からの移民なのだとか。ざっくり地図にするとこんな感じ。ハノイの民族博物館でみたタイ族の分布図を参考に書いてみました。

(赤点)私が今いるところ(コンクオン)

ご覧の通り、私がいるゲアン省が最南端です。

タイ族の生活圏は広いので、同じタイ族でも地域により風習や文化がそれぞれ異なってくるようです。例えば、タイ族は自ら「黒タイ」「白タイ」といって出自を分類しますが、ゲアンのタイ族の方は黒タイ、白タイという分類は使わず、さらに詳細に「タイ・ムオン(ムオン地域出身のタイ)」などご先祖の出身などを語尾につけたりするそうです。こういうのはほんの一例に過ぎず大なり小なり様々な地域色があるようです。

今回、「ゲアン省のタイ族」について書きたいと思っているのも、地域差があるので私の地域(ゲアン省)のタイ族文化を普遍化できないと思ったからです。


・・・・・

これから少し簡単にコンクオンに来てから学んだタイ族についての知識を広く浅く書き留めたいと思います。


高床式住居での暮らし

まず、家についてですが高床式住居です。中はワンルーム。

え、プライベートは?と思うかもしれませんが、カーテンで仕切られているのである程度プライベートは保ててます。
と言っても、かつての日本の伝統的な家屋も、西洋のように完全にプライベートな空間があるわけではなく、家族が同じ空間で過ごすことが一般的で、蝋燭の灯りがわずかに届かず、お互いの顔がはっきり見えないような薄暗い場所が、ささやかなプライベート空間として機能していたようです。そう考えてると、かつての日本人もタイ族の人たちも同じような「間」の使い方をしていたかも知れませんね。

先日泊まらせてもらったホームステイ。オーセンテックが過ぎる。

伝統工芸

タイ族はこれまでの歴史のなかでベトナム化されて固有の文化が薄れてきつつあるようですが、ラッキーなことにコンクオンはまだまだタイ族の文化が色濃く残っている地域とのことです。

たとえばコンクオンには3つのタイ族の工芸村があり、「お酒」「竹細工」「綿織物」とそれぞれタイ族の人々が伝統を綿密に継承しています。

タイ族の伝統酒「ジオウ メンラー」


この前訪問したお酒の工芸村、ドンフック社シエン村では、このように地面に壺を埋めてその中で酒を熟成させる方法をとってます。1ヶ月くらい壺でお酒を寝かせるらしいのですが、その方が味が柔らかくなるのだとか。

壺に入れて熟成させるのはゲアン省の西の地域だけらしい

このお酒はジオウ メンラー(rượu men lá)といい、コンクオンでお酒を飲む時は、ビールかこれかの2択くらいのレベルで愛飲されています。そしてこのお酒、森からとってきた薬草に付着している酵母を使ってもち米を発酵させつくる発酵酒なんです。

ジオウメンラーと発酵させた甘いバナナを混ぜたバナナ酒。度数は30度以上。即酔。

下の写真のように、米粉をベースに生姜類やシナモンなど20種類以上の薬草を混ぜてだんご状にして、それを蒸したもち米と混ぜて発酵させます。20日ほど発酵させたら、蒸留し、蒸留したお酒を地面に埋めた壺の中で1か月ほど熟成させるそうです。

酵母たっぷりのだんご


手織りの綿織物

次に、タイ族の綿織物。可愛すぎる。自然由来の薬草で綿を染めたり、機織り機でカタカタと織ったりと、かなりの時間と手間暇がかかっている逸品です。

織物の工芸村、モンソン社シエン村。織物は村の女性たちの生計手段にもなっている。

それぞれの模様にも意味があるらしく、トラは「健康」、シカは「自由」、ゾウは「強さ」などなど。他にも、カニや糸車、花や植物、家の柵など多様な模様があります。

カラフルな竹細工


次は竹細工。天然の薬草で竹を染めてこのようなカラフルな竹籠などを作っています。大きいものだとイス、テーブルなどを編んでいるそうです。それらの製品は日本や欧米に輸出されて行きます。

竹細工の工芸村、チャウケー社ディエム村。
昨年ホーチミンの展覧会にも出展したらしい

ハノイのエムハノイハノイ商店等のお土産屋さんで取り扱いがあるのでぜひ購入ください!

タイ族の伝統料理


他にも、タイ族の(私的に)印象的な食べ物、飲み物で言うと、薬草で紫色に染めたネップカム(Nếp cẩm)や、

実はこの紫のネップカムを食べると、尿がオレンジ色になるんです。私は血尿が出たと焦り病院に行ったので、村の笑い者になりました。医者も笑ってました。

竹の筒にお米を入れて炊き上げるコムラム(Cơm lam)

バナナの葉っぱで竹筒に蓋をする

甘辛く揚げられた川エビのフライもやみつきになるうまさ。

川エビと並んでよく食べられるのが、Cá Mất(カーマット)と呼ばれるこのあたりの水系にしか生息していない小魚。川の苔などを食べているので(アユみたいに)現地の人は内臓ごとばりばり全部食べます。

タイ族のホームステイに行くと、このような美味しいタイ族のご飯を食べることができます。山の幸が山盛りのかなり自然派なご飯たちです。

お祝い事があると必ず確率で出てくるのは、竹のストローで壺に入った優しい味の発酵酒をチューチュー飲むジオウカン(Rượu Cần)です。ジオウカンの度数は低いので飲みやすいです。

知り合いの結婚式の様子。タイ族の伝統的な衣装を着ている参加者も。

結婚式ではこのジオウカンの周りをまわって踊ります。

ちなみに結婚式の定番局はこの曲、「Vui hội rượu cần(ジオウカンの宴)」。ゲアン省の定番ローカルソングなのですが、おめでたい席では絶対に流れてみんなで踊り狂います。歌も、「さあ、みんなで酔って踊りまくろうぜ~!ああ、ジオウカン飲むの楽しいな~♪」という意味です。
ちなみに2番はゲアン省タイ語の歌詞になってます。


タイ族の伝統的な楽器


伝統的な楽器も多種多様です。例えば下の写真のゴングと太鼓は、お祝い事やお祭りで演奏されます。太鼓のリズムに合わせて、ゴンゴンゴンとゴングを叩きます。

村の数軒に一軒はもっているゴング

あとは、ケンベー(Khèn bè)という管楽器もお祝い事や娯楽でもよく演奏されています。音は日本の雅楽で演奏される笙(しょう)と似たような柔らかい音が鳴ります。

ちなみに、先ほど紹介した「Vui hội rượu cần(ジオウカンの宴)」を作詞・作曲した音楽家のホアンさん(コンクオン在住)は、タイ族の音楽文化を残そうと様々な取り組みをされていらっしゃいます。この記事も読んでみてください。


終わりに|タイ族に興味がある方へ

興味のある方は、タイ族の伝統衣装などをまとめたパート②もぜひご覧ください!

また、タイ族のホームステイに泊まると、タイ族の食事や、織物など様々な文化体験ができます。行き方等下の記事にまとめてますので興味がある方はご覧ください!


追記:

最近のお気に入りの食べ物、蒸し鶏。もちもちして歯応えがあって美味しい。

いいなと思ったら応援しよう!