現預金1億円を前に判断が止まった|#43(第2章)
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現預金が1億円を超えたことで、自分の中で何かが変わり始めていました。
前回お話しした通り、このお金をどう使うのか、一度立ち止まって考え始めたのですが、すぐに答えが出るようなものではありませんでした。
むしろ、これまでにない感覚の「迷い」が生まれていました。
これまではシンプルでした。
余剰資金があれば投資に回す。
できるだけ早く資産を増やす。
その前提で、ほとんど迷うことなく判断してきました。
実際、その積み重ねでここまで来ることができました。
ただ、今回は違います。
すでに不動産からの家賃収入は安定しており、生活費を賄うこともできる状態です。
さらに会社員としての収入もあります。
そうなると、「これ以上増やす必要があるのか」という問いが、これまでよりも現実的なものとして目の前に現れてきました。
そこで、自分なりに選択肢を整理してみました。
大きく分けると、考え方は三つあると思いました。
一つ目は、「攻める」という選択です。
これは、さらに資産形成を加速させる方向です。
具体的には、今まで私が経験してきた個別株、インデックス投資、不動産投資の追加などがここに入ります。
価格の上下を許容してリターンを取りにいくのか。安定性を重視しながら着実に増やすのか。あるいは、外部の資金を活用して効率的に拡大していくのか。
つまり、この選択を取るということは、「まだ資産を拡大していくフェーズにいる」という前提に立つことでもあります。
二つ目は、「守る」という選択です。
これは、今ある資産を大きく減らさないことを重視する考え方です。
現預金のまま持っておくことや、有価証券とは別に、金などのコモディティに振り分け、リスクを分散投資をしていくことが、この考え方に近いと思いました。
三つ目は、「使う」という選択です。
これは、自宅の購入に使う、あるいは生活費や娯楽など、今の生活を豊かにするために使うという考え方です。
こうして並べてみると、どれもそれぞれにメリットとデメリットがありました。
攻めれば、資産はさらに増える可能性があります。ただ、その分リスクも増えます。
守れば、大きく減らす可能性は抑えられます。ただ、現金のままではお金は生み出しませんし、守りに偏りすぎると機会損失にもなります。
使えば、生活の満足度は上がるかもしれません。ただ、それが本当に自分に必要な支出なのかは、また別の問題です。
つまり、どれも正解になり得る一方で、どれも不正解になり得る。そんな感覚でした。
そこで今一度、自分の立場や資産状況に置き換えて考えてみました。
家賃収入はすでに十分ある。
会社員の給与もある。
現預金も1億円を超えている。
住まいも、同じ湾岸エリアの賃貸で不満はない。
こうして条件を並べてみても、「これだ」と思えるものが見つかりませんでした。
いままでのように、迷いなく「次の物件」「次の投資」と進める感覚ではなくなっていたのです。
正直、これは困りました。
これまでの資産形成では、迷う余地がほとんどありませんでした。やるべきことが比較的はっきりしていたからです。
ただ、このタイミングではそうではありませんでした。
その中でも、一つはっきりしていたことがあります。
それは、「積極的に攻める段階では、もうないのかもしれない」という感覚でした。
これ以上、個別株やインデックス投資、不動産投資を拡大していくことには、以前ほどの納得感がありませんでした。
ただ一方で、「守る」や「使う」という選択肢の中にも、まだ完全にしっくりくるものはありませんでした。
だからこそ、ここで無理に答えを出すのではなく、もう一度立ち止まって考えることにしました。
ここから先は、「増やす」だけではなく、「どう持つか」「どう使うか」という視点での意思決定が求められていきます。
次回(第44話)は、資産をどう守るかを考え始めた日の話です。
「増やす」から「守る」へと視点が変わっていったきっかけについてお話しします。
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