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高齢者の薬剤整理で失敗しない 適正化7つのポイント

薬が増えてきたから、そろそろ減らしたほうがいい。

そう考えたことはありませんか。

確かに薬が多いことは気になる問題です。しかし、高齢者の薬物療法で本当に大切なのは、薬の数ではなく、その薬が今の生活に合っているかどうかです。

薬を減らすことだけを目標にすると、本来必要な治療まで失ってしまうことがあります。

この記事では、高齢者の薬剤整理を考えるときに知っておきたい基本的な考え方と、安全に見直すためのポイントを紹介します。

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▼この記事で分かること

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⏱この記事は約7分で読めます

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薬が多いことよりも生活への影響を見る


高齢者では複数の病気を抱え、それぞれに薬が処方されることは珍しくありません。しかし、問題になるのは薬の数だけではありません。

厚生労働省では、多くの薬を服用している状態を多剤服用、その結果として副作用や転倒、飲み忘れなど生活上の問題が生じている状態をポリファーマシーとして区別しています。

薬によるふらつきや眠気、食欲低下、便秘などは年齢のせいと思われがちですが、実は薬が影響していることも少なくありません。

薬剤整理の目的は薬を減らすことではなく、その人が安全に、そして自分らしい生活を続けられるよう薬を整えることです。


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高齢になると薬が効きすぎることがある理由


年齢を重ねると、腎機能や肝機能が少しずつ低下し、薬が体の中に長く残りやすくなります。また、薬に対する感受性も変化するため、若い頃と同じ量でも副作用が出やすくなります。

研究では、服用する薬が増えるほど薬物有害事象のリスクは高まり、特に6種類以上になると注意が必要とされています。

もう一つ知っておきたいのが、処方カスケードです。

例えば、消炎鎮痛薬によって血圧が上昇し、それを新しい病気と考えて降圧薬が追加されるように、副作用へさらに薬を重ねる悪循環が起こることがあります。

最近薬が増えてから新しい症状が出てきた場合は、病気の進行だけでなく薬の影響も一度確認してみることが大切です。

降圧薬も年齢や体調によって効き方が変わることがあります。見直しのサインを知っておくと安心です。

▼あわせて読みたい

『高齢者の降圧薬を見直すサイン』

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薬より先に生活を評価するという考え方


薬剤師が最初に確認するのは、薬の一覧ではなく、その人の生活です。

歩く力や手の動き、視力、認知機能、食事、服薬管理などを総合的に評価する考え方をCGA(高齢者総合機能評価)といいます。

例えば、薬が取り出しにくいのであれば一包化を利用する、飲み忘れが多ければ服用回数をまとめる、文字が見えにくければ表示を工夫するなど、薬を減らさなくても安全性を高められる方法は数多くあります。

薬剤整理とは、薬を引き算することではありません。

今の生活で無理なく治療を続けられる環境を整えることこそ、本来の目的です。

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高齢者で特に注意したい薬と考え方


高齢者では、副作用が起こりやすく慎重な使用が望まれる薬があります。これらはPIMs(高齢者で慎重な投与が望まれる薬)と呼ばれています。

代表的なものには、睡眠薬・抗不安薬(ベンゾジアゼピン系)、消炎鎮痛薬(NSAIDs)、一部の下剤、糖尿病治療薬などがあります。

例えば、睡眠薬は転倒や骨折のリスクを高めることがあり、NSAIDsは腎機能の低下や血圧上昇につながる場合があります。また、マグネシウムを含む下剤は長期使用で高マグネシウム血症に注意が必要です。糖尿病治療薬では低血糖が転倒や意識障害の原因になることもあります。

ただし、これらの薬が悪い薬という意味ではありません。

痛みや不眠などを改善し、生活の質を支える大切な薬でもあります。重要なのは、その時々の体の状態に対して、期待できる効果がリスクを上回っているかを定期的に見直すことです。

高齢者では、薬そのものだけでなく、転倒との関係も定期的に見直すことが大切です。

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『介護施設で進める転倒後の薬剤見直し』

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減薬だけではない 適正化という考え方


薬剤整理は、薬をやめることだけではありません。

海外ではSTOPP/STARTという考え方が広く用いられています。不要な薬を見直すSTOPPと、必要な薬が不足していないか確認するSTARTを組み合わせる方法です。

例えば、漫然と続いている胃薬や睡眠薬を見直す一方で、脳梗塞や骨折の予防に必要な薬が十分に使われていない場合は追加を検討します。

また、不眠や認知症の行動・心理症状(BPSD)では、環境調整や生活リズムの見直し、リハビリなど、薬以外の方法が役立つことも少なくありません。

薬を減らすか増やすかではなく、その人にとって最も安全で効果的な治療を選ぶことが、薬剤適正化の本当の目的です。

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入退院は薬を見直す絶好のタイミング


病院、施設、自宅と療養環境が変わるときは、薬の内容も大きく変わりやすい時期です。

このタイミングでは、医師だけでなく、薬剤師、看護師、歯科衛生士、管理栄養士、介護職、ケアマネジャーなど、多職種による情報共有が欠かせません。

また、市販薬やサプリメントを医療者へ伝えていない方も少なくありません。セントジョーンズワートやビタミンKなどは処方薬に影響することがあるため、お薬手帳にまとめて記録し、受診時に必ず伝えましょう。

薬の安全性は、情報共有の質によって大きく変わります。

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薬剤整理で確認したい7つのチェックポイント


* 薬の数ではなく、ふらつきや眠気など現在の症状を見る
* 歩行や食事、服薬状況など生活機能の変化を確認する
* 市販薬やサプリメントも含めて医療者へ伝える
* 自己判断で中止・減量しない
* 服用理由が分からない薬は一度確認する
* 環境調整やリハビリなど薬以外の方法も検討する
* 入退院や施設入所時にはお薬手帳を最新の内容へ更新する

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まとめ


高齢者の薬剤整理で目指すべきなのは、薬を減らすことではありません。

その人の体の状態や生活、価値観に合わせて、本当に必要な薬を必要な量だけ使うことです。

薬には利益とリスクの両方があります。そのバランスは、年齢や病気だけでなく、どのような生活を送りたいかによっても変わります。

気になる症状や飲みづらさ、薬が増えてきたことへの不安があれば、一人で判断せず、医師や薬剤師へ相談してください。

薬剤整理は、薬を減らすためではなく、これからの毎日を安心して過ごすための大切な話し合いです。

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