日本の子どもが世界一外で遊ばなくなった件について、小児PTが本気で考える。
こんにちは。
私は小児の理学療法士をしているアラサーです。
最近、公園に行くと気になることがあります。
誰もいない。
遊具はある。
砂場もある。
広い芝生もある。
でも、子どもがいない。
10年前と比べて、
明らかに違います。
平日の夕方、子どもが外で遊んでいた時間に、
公園はがらんとしています。
聞こえるのは風の音だけです。
これ、私だけが感じていることじゃないと思っています。
データで見ると、かなり深刻です
日本の子どもの外遊び時間は、
国際比較で見ると最低水準に近いです。
平日の外遊び時間が1時間未満の子どもが、
年々増えています。
放課後に外で遊ぶ子どもの割合は、
30年前と比べて半分以下になったとも言われています。
運動習慣のない子どもの割合も、
年々上がっています。
でも不思議なことに、
この問題はあまり大きく取り上げられません。
学力低下の話は出る。
スマホの使いすぎは問題になる。
発達障害の診断が増えていることも話題になる。
でも「子どもが外で遊ばなくなった」は、
なぜかあまり語られない。
私はここに、
かなり大きな問題が隠れていると思っています。
外遊びがなくなると、何が起きるのか??
小児の理学療法士として正直に言います。
外遊びは、遊びじゃないです。
発達そのものです。
走る。転ぶ。登る。跳ぶ。
バランスを崩す。立て直す。
砂を触る。石を拾う。
草の感触を確かめる。
虫を追いかける。
友達と追いかけっこする。
この全部が、
脳と体の発達に直接つながっています。
具体的に言うと、
外遊びの中で育つ感覚が3つあります。
固有感覚:自分の体の位置や力加減を感じる感覚。
前庭感覚:バランスや重力を感じる感覚。
触覚:皮膚で感じる感覚。
この3つの感覚統合が、
外遊びの中で育ちます。
どういうことかというと、
転んで手をついたとき、
手のひらの触覚が地面の感触を感じ取ります。
固有感覚が体の位置を把握します。
前庭感覚がバランスを立て直そうとします。
この3つが同時に動くことで、
「転んだときに手が出る」という動作が育ちます。
これ、室内にいるだけでは育ちません。
実際に転ぶ経験が必要です。
坂道を走って登るとき、
足裏が地面の傾きを感じ取ります。
重力に抗って体を前に進めます。
バランスを取りながら体幹を使います。
この一連の動作が、
姿勢を保つ力につながります。
外遊びが減ると、
これらの感覚が育ちにくくなります。
その結果として現場で見えてくるのは、
姿勢が保てない子が増えている。
バランスが取りにくい子が増えている。
力加減が苦手な子が増えている。
転んだときに手が出ない子が増えている。
じっと座っていられない子が増えている。
これ、全部外遊びの減少と無関係ではないと思っています。
なぜ外で遊ばなくなったのか??
ここが本質です。
子どもが外で遊ばなくなったのは、
子どもが変わったからじゃないです。
外で遊べる環境が、
なくなったからです。
遊ぶ場所がなくなった
公園の遊具が撤去されています。
危ないから、という理由で。
ボール遊び禁止。
大きな声禁止。
走り回り禁止。
禁止事項が増えるたびに、
子どもが公園でできることが減っています。
遊べない公園に、
子どもは行きません。
当然です。
しかも撤去された遊具は、
なかなか新しくなりません。
あったはずのジャングルジムが消えて、
気づいたら更地になっている公園が、
全国にあります。
遊ぶ時間がなくなった
習い事の数が増えました。
学習塾・スポーツ・音楽・英語・プログラミング。
放課後の時間が、
大人が設計した活動で埋まっています。
自由に外で遊ぶ時間が、
物理的になくなっています。
習い事に行っている間は、
確かに何かを学んでいます。
でも「何もしない時間」「自分で遊ぶ時間」の中でしか
育たないものがあります。
感覚統合は、
誰かに教えてもらって育つものじゃないです。
自分の体を自由に動かす中で、
勝手に育つものです。
その時間を奪われた子どもたちは、
感覚統合が育つ機会を失っています。
遊ぶ仲間がいなくなった
少子化で、
同じ時間に外で遊べる子どもの数が減りました。
一人で公園に行っても、
誰もいない。
誰もいないから行かない。
行かないからさらに誰もいない。
この悪循環が、
全国の公園で起きています。
昔は外に出れば誰かいた。
勝手に集まって、
勝手に遊びを作っていた。
今は外に出ても誰もいない。
だからスクリーンに向かう。
それを責めることは、
私にはできないです。
外で遊ぶことへの不安が増えた
知らない人に声をかけられたらどうする。
怪我をしたらどうする。
事故に遭ったらどうする。
親御さんが不安になるのは、
当然のことです。
情報が増えたことで、
事件や事故が身近に感じられるようになりました。
結果として、
子どもが一人で外に出られない状況が生まれています。
「子どもだけで公園に行く」が、
当たり前じゃなくなっています。
一番言いたいことを言います。
子どもが外で遊ばなくなったのは、
子どもやその親御さんのせいじゃないです。
遊べる場所を奪い、
遊べる時間を奪い、
遊べる仲間を奪った。
そうしたのは誰ですか。
公園の遊具を撤去した行政。
放課後を習い事で埋めた大人の文化。
子どもの声を騒音と言った社会。
外遊びよりも学習を優先させてきた価値観。
子どもが一人で外に出ることを不安にさせた情報環境。
全部、大人が作った構造です。
子どもが外で遊びたくないわけじゃないです。
遊べない環境に置かれているだけです。
そしてその環境の中で、
感覚統合が育ちにくくなり、
体幹が育ちにくくなり、
バランス感覚が育ちにくくなっている。
私はそれが、
発達の問題として現場に現れているのを見ています。
現場で感じていること。
小児リハの現場にいて、
10年前と比べて変わったことがあります。
体の使い方が苦手な子が増えました。
転んだときに手が出ない子が増えました。
バランスを崩したときに立て直せない子が増えました。
力加減が極端に強いか弱いかの子が増えました。
じっとしていられない子が増えました。
姿勢が崩れやすい子が増えました。
これを「発達の問題」として見ることもできます。
でも私は、
外遊びの機会を奪われた子どもたちの体が、
当然の反応をしているだけだとも思っています。
感覚統合は、
体を動かすことでしか育ちません。
室内で静かに過ごすことが多くなった子どもたちの体に、
何が起きているのか。
それが今の現場の景色です。
そして現場で感じるのは、
これは子どもの問題ではなく、
子どもを取り巻く環境の問題だということです。
子どもは変わっていないです。
環境が変わっただけです。
じゃあどうすればいいのか??
正直に言います。
公園の遊具を増やすことも、
放課後の自由時間を守ることも、
一人ではできないです。
社会全体で変えていく必要があることは、
時間がかかります。
でも今日から一つだけできることがあります。
外に出ること。
どこでもいいです。
目的がなくていいです。
何をするか決めなくていいです。
ただ外に出て、
子どもが好きなように動ける時間を、
週に一回でも作ること。
完璧な外遊びじゃなくていいです。
草を触っただけでいい。
石を蹴っただけでいい。
坂道を登っただけでいい。
水たまりを踏んだだけでいい。
どんぐりを拾っただけでいい。
その一つ一つが、
感覚統合の積み重ねになります。
感覚統合に、
特別な道具はいらないです。
外の空気と、
でこぼこした地面と、
思い通りにならない自然があれば、
それで十分です。
子どもの体は、
そこに置いておくだけで勝手に育とうとします。
最後に
日本の子どもが世界一外で遊ばなくなった。
これは子どものせいじゃないです。
親御さんのせいでもないです。
外で遊べる環境を奪ってきた、
社会の構造の問題です。
でもその影響を一番受けているのは、
今育っている子どもたちの体と脳です。
私は小児PTとして、
この問題をずっと見てきました。
だから書きました。
公園に子どもの声が戻ってほしいです。
遊具で遊ぶ子どもの笑顔が戻ってほしいです。
転んで泥だらけで帰ってくる子どもが戻ってほしいです。
それは単なる懐かしさではなく、
子どもの発達に本当に必要なことだからです。
今日も子どもと外に出た親御さん、
それだけで十分すごいことをしています。
外に出られなかった日も、
罪悪感を持たなくていいです。
できるときに、
できる範囲で。
それで十分です。
他にも記事を書いています。ぜひご覧ください!
