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コミティア in 久米島


 久米島の青い海が広がるビーチ。
 そこに、突如として現れた巨大な白いテント。

 島民たちは目を丸くしました。
「コミティアin久米島」を目当てにやってきた観光客はスマホを構えました。

 主催者の佐藤さんは、久米島唯一のカフェで泡盛を片手に笑いました。

「都会の喧騒じゃ本当の創作は生まれにくいよな。ここのサンゴと星空が、最高のインスピレーションになるのさ!」

 参加者は100人にも満たなかったのですが、熱気は本家コミティアには決して負けていませんでした。

 地元のおばあちゃんが描いたウミガメのファンタジー漫画。
 漁師のおじさんが自費出版したとかいう海の冒険譚。
 東京から来たヤンキーのお兄さんが書いた久米島の神話をモチーフにしたSF小説。
 あらゆるジャンルの作品が無秩序に混ざり合い、テント内はカオスな熱気に包まれていました。


 昼過ぎには、突然のスコールに見舞われました。テント内までが雨で濡れる中、参加者たちは即興で「雨」をテーマにした合同誌を作り始めました。

 地元の子供がマジックで描いた表紙、観光客のポエム、佐藤さんの酔っ払い落書き。1時間後、完成した本はたった10部。なのに、会場は拍手と笑顔に溢れました。

 夜、星空の下で打ち上げ。シーサーの仮面をかぶった誰かが、焚き火を囲んで即興ストーリーテリングを始めました。話は久米島の精霊と宇宙船が交錯する奇妙な展開になりました。誰もが自由に続きを付け加え、物語は果てしなく広がっていきました。

 ところが、翌朝になると、テントは跡形もなく消えていました。まるで夢だったかのように。でも、島民のスケッチブックには新しい物語が、観光客の心には忘れられない創作の火が灯っていたのでした。

「次は、もうちょいメジャーな石垣島でやるか!」
 久米島の佐藤さんの自虐めいた叫び声が、潮風に響きました。

「だはは、それを言っちゃあ、おしめぇよ」とみんなで大爆笑したのでした。


後書き

 ミヒャエル・エンデの「モモ」に、観光案内のジジという登場人物がいます。ジジは観光客に、即興で作り上げたウソの物語を語りますね。
 「ウソの話をするのはいけないのではないか?」とジジを非難する人に対してジジは言います。「僕がやっているのは詩人と同じさ」と。

 正確な引用ではありませんが、確かそういうくだりがあったと私は記憶しています。
 
 上に書いた「 #コミティアin久米島 」はジジの真似をして考えた私の「詩」みたいなものです。くれぐれも誤解せぬようによろしくお願いいたします😊。
 でも、もしかしたら本当にあったことかもしれません。私は確認していないので、なんとも言う立場にはございません。


#文学フリマ・シリーズ






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山根あきら | 哲学者 記事を読んで頂き、ありがとうございます。お気持ちにお応えられるように、つとめて参ります。今後ともよろしくお願いいたします