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ジェネバ・カネー=メイソンの「ジェイン・オースティンのピアノ」

今晩は、ソニー・クラシカルから12月5日にリリースされた、ジェネバ・カネー・メイソンのアルバム「ジェイン・オースティンのピアノ」と題されたアルバムを聴きます。
収録曲は以下の通り。

フランツ・ヨーゼフ・ハイドン(1732–1809)
ピアノ・ソナタ ハ長調 Hob.XVI:35
第1楽章 アレグロ・コン・ブリオ
第2楽章 アダージョ
第3楽章 フィナーレ:アレグロ

ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル(1685–1759)
4. 組曲 変ロ長調 HWV 434:メヌエット
5. 組曲 ニ短調 HWV 428:アルマンド

ジョージ・キアルマーク(1781–1835)
6. 《ロビン・アデア》テーマと変奏

ヨハン・バプティスト・クラーマー(1771–1858)
7. 60の練習曲 第3番 イ短調

ダリオ・マリアネッリ(1963–)
8. 《プライドと偏見》より《ドーン》(Dawn)

ジェネバ・カネー・メイソンは、英国を代表するカネー=メイソン一家の一員として注目を集める若手ピアニスト。兄はシェク・カネー=メイソンで、一番有名かな。夏に山田和雄さん指揮バーミンガム市交響楽団でエルガーのチェロコンチェルトを聴きました。

姉はピアノのイサタ・カネー=メイソン。この人もアルバム色々出しています。
二人がブリテンを弾いたアルバム。


この中で一番若いジェネバは2002年生まれで、ロンドンの王立音楽大学で研鑽を積み、近年は国際的なコンクールや音楽祭で活躍の場を広げていますね。深い歌心と透明感のあるタッチを持ち味とし、レパートリーは古典派から現代作品まで幅広く、解釈の確かさと音楽への真摯な姿勢が評価されています。
デビューアルバムを以前取り上げましたが、とても素敵でした。

このアルバムはタイトルの通り、「高慢と偏見」や「エマ」で知られる小説家、ジェイン・オースティンの生誕250年を祝してテーマにしたアルバム。ジェネバはオースティンの小説を愛読していて、彼女の作品に出てくる音楽の描写や、オースティンやその家族が実際に聴いたり弾いた可能性のある当時の音楽に想いを馳せてこの企画を思いついたとか。

実際にオースティンの実家には彼女たちの時代の楽譜の蔵書「Austen family music book collection」があって、そこに収められている曲や当時流行した作品から選曲されています。もしジェイン・オースティンがピアノを弾くなら?という、読書家ならではのアルバムですね。

まずはハイドンのピアノ・ソナタ ハ長調 Hob.XVI:35。これはオースティン家の楽譜コレクションになんとジェインが写したと思われる写譜が存在していて、実際に彼女が弾いた可能性が非常に高いとか。
これがすごくいい演奏なんです。美しい音色と録音、アーティキュレーションは生き生きとしてハイドンの様式をしっかり守りつつも、その遊び心、楽しさが溢れた演奏。それに彼女の磨き抜かれた音色がマッチして素晴らしい。第2楽章もタッチが美しく音色で聴かせますが、歌心もすごくあって、もっと古典派のソナタを聴きたくなります。3楽章も軽くてとてもチャーミング。あの小説家も愛奏していたと想像するのもまた楽しいです。

続くヘンデルの組曲からメヌエット。これは当時英国ではヘンデルがブームで音楽祭でも繰り返し演奏されて、オースティン家のコレクションにも含まれている作品。きっとオースティンもよく聴いていたのでしょう。
ジェネバはここでは非常にロマンティックな演奏。バロック音楽的なものは廃してレガートでゆったりと美しい音色で弾いています。うっとりするピアノの音。彼女は非常に歌うピアノですね。
もう1曲、アルマンドは少しバロック的な演奏。暖かく繊細なタッチで2声を中心としたこの曲を美しくまとめています。
ジョージ・キアルマーク(1781–1835)の《ロビン・アデア》のテーマと変奏は、小説「エマ」に登場する楽曲ですが、オースティン家の蔵書にあった版を元にしたとされて、作者が意識して書いた可能性が高いとのこと。キアルマークはイギリぐのヴァイオリニスト、作曲家で当時の親しまれたサロン音楽を作っていた人。特にこの変奏曲が当時英国で非常に人気があったようです。オースティン時代の音楽文化の雰囲気を知るにはうってつけの選曲でしょう。
演奏はやはり美しい音を基本として変奏ごとに音色を変え雰囲気を変え、飽きさせません。

クラーマーのエチュード第3番イ短調も当時人気だった作曲家で彼女の家のコレクションに含まれていルトのこと、もしかしたらジェインもピアノの練習に使ったかも。1分ほどのいかにも練習曲的な作品ですが、これもジェノバがチャーミングに弾いています。

最後はマリアネッリ(1963–)の《プライドと偏見》より《ドーン》、これは2005年の映画のテーマ曲ですね。マリアネッリはこの映画音楽でアカデミー賞にノミネートされています。この曲は映画の冒頭に流れてヒロインの性格を象徴しています。朝の田園を歩くシーンとシンクロしていますね。美しい曲、そして美しい演奏で締めくくられます。

30分ほどのEPですが、とても楽しめるアルバム。読書がお好きな人ならきっとこのアルバムは心に響くのではないかな・・・。私は昔英語を勉強するのに「高慢と偏見」の原書を一生懸命読んだのを思い出しました。

過去記事は以下のブログから



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