15年ぶりの目覚め | 待っててくれた相棒 【自分史を紐解く⑧】
こんばんは!
低音に静かな情熱を注ぐアラフィフ、チューバ吹きのサンチです。
前回、私は所属していたON楽団の解散、そして長男の誕生を機に、相棒を押入れに封印し、2度目のチューバとの別れを選びました。
※前回のお話を知らない方はこちらをどーぞ!(リンク)
長男の子育てに妻と2人で悪戦苦闘する中、2年後には次男も生まれ、我が家はいよいよ子育てでてんてこ舞いになっていきました。
子供が2人目になると、子育ての大変さは3倍になるという話をよく聞きますが、まさにそのとおりだったと思います。
妻が慢性的に寝不足気味なので、夜中に長男、次男のいずれかが泣き出したら、交代で抱っこや添い寝で子守をしました。
白々明けの薄暗い部屋の中を、夜泣きする子供を抱っこして、背中を優しく手でポンポンしながら静かに歩き回った情景が今でも鮮やかに思い出されます。
実はその頃、私は仕事の多忙さ等で心身の体調を崩し、しばらくお休みを頂いてしまうことが何度かありました。
(不幸中の幸いということになるんでしょうが、)逆にそのお陰で、私は、働き盛りの年齢でありながら、家事を妻と分担しながら、子供達の日々の成長を見守ることができました。
大変なことも色々ありましたし、ある意味諦めたもの、失ったものもあったと思います。
ただ、家族、そして子供達中心の生活、人生を選んだことを今も後悔はしていません。
何より息子達がすくすく元気に育ってくれてるわけですから。(最近はすっかり生意気になってしまって、親の言うこともすっかり聞かなくなっちゃいましたが(笑))
とはいえ、15年間の年月の中で、自分にとって大切な時間を与えてくれた相棒を、長年押入れに押し込んだままにしていることへの負い目も、時々感じていたことは事実です。
昨年1月、折り返し地点に立った自分が残りの人生を悔いなく過ごしたいと思い立ったとき、私は、そんな見て見ぬふりをしてきた過去のわだかまりとこの際決別したいと思いました。
こうして私は、新たなチャレンジの第一歩として、チューバ演奏の再々開を選びました。
かれこれ15年間、押入れから青いソフトケースを取り出したのは、僅か数回。しかも最後にケースを開いたのは、5、6年前くらいだったと思います。
きっと、レバーやロータリーは完全に固まってて全く動かないだろうな。
中学生のときしばらく吹いていた緑青塗れのオンボロチューバみたいになっていたらどうしよう。
不安8割、期待(というか哀願)2割の心持ちで、青いソフトケースを取り出し、おもむろにファスナーを開きました。
南無三!
…
ファスナーの隙間から見えた相棒は、若干メッキが剥げてくすんだ感じの箇所もありましたが、想像よりも遥かに綺麗な外見でした。
いつも以上に慎重にカバーから相棒を取り出し、
恐る恐るレバー部分に手を触れてみる。
指に伝わる懐かしいレバーの感触。
ぐっと押し込んでみる。
昔と変わらず、ゆっくり沈み、静かに戻る。
動く、動くぞ!
第1〜第4レバーまで全て奇跡的に動きました。
まるで、相棒が自分の出番をじっと待っててくれたようです。
ごめんな。そして本当にありがとう。
ジーンと目頭が熱くなったことを記憶しています。
とはいえ、素人的には分からないダメージがあるかもしれません。
早速試し吹きをしたかったところですが、我が家に防音室など当然ないので、近所迷惑になるようなことはできません。
私は、次の週末に、管楽器リペアを受け付けてくれる楽器屋さんに相棒を持ち込むことにしました。
15年ぶりに相棒を背負った背中は、ズッシリと重たく感じましたが、何とか持ち運びできそうです。
バスと徒歩で30分ほどで楽器屋さんに到着。
楽器屋さんには、事情を説明の上、楽器洗浄と必要であればオーバーホールをお願いしました。
そして、1週間後。
楽器屋さんから点検等完了したとのメールをいただいたので、今度はほぼ手ぶらで伺いました。
とにかく15年以上、メンテナンスもせず放置してしまったのです。
きっとオーバーホールが必要なはず。
むしろ相棒への償いの気持ちもこめて、必要な費用は支払おう。10万円くらいなら今まで貯めたへそくりでなんとかなる!
覚悟を決めて、お店に入店したところ、店員さんの説明は、
「まあ、多少管の中は錆びてたりするとこもあったので、洗浄はしときましたが、オーバーホールとかは必要ないですね。あとオイル差しときました。」
…
正直拍子抜けしつつ、相棒と再開。
費用は20000円弱で済みました。
そんなお金で今まで俺を放置していた負い目から解放されようなどと思うなよ!
と、相棒から軽くなじられているような気もしてきましたが(笑)、有難いことには違いありません。
さて、気を取り直して、いよいよ待ちに待った試奏です。
もう楽器を吹く時の息の吸い方さえ忘れてしまった感じですが、まずは息を吹き込みます。
お世辞にもよい音とは言えませんでしたが、何はともあれ、あの懐かしい、明るくも暖かい、相棒の音が響きました。
私は、とりあえず基本の音階や、記憶に何とか残っている曲のフレーズを吹いたりしました。
とりあえず音は出ることは確認。
でも、1人で吹いていてもそこまで心は躍りません。
合奏をしたい!
10分程度吹いただけで楽器屋さんを後にした私は、自分の新たなサードプレイス探しを決意したのです。
次回「新たな楽団との邂逅」
お楽しみに〜!
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