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報連相は、部下からもらうものではなく、上司が受け止めに行くもの

これまで何度か、
「聴くこと」について書いてきました。

経営者として聴くこと。
人の心の火を消さないこと。
面接で相手が安心して話せる場をつくること。

今回は、それをもう少し日常のマネジメントに落として、
報連相について考えてみたいと思います。

「もっと報連相してほしい」

上司や経営者の立場になると、そう感じることがあります。

もっと早く言ってくれればよかった。
なぜ相談してくれなかったのか。
問題になる前に報告してほしかった。

そう思う場面は、少なくありません。

でも私は、報連相は部下から自然にもらえるものではないと思っています。

報連相は、上司が受け止めに行くもの。

ただし、それは問い詰めることではありません。

「なんで報告しないんだ」
「ちゃんと相談しろ」
「連絡が遅い」

そう責めることではない。

報連相したくなる関係をつくること。
話した後に、話してよかったと思ってもらうこと。
出てきた情報を整理して、ちゃんと活かすこと。

そこまで含めて、報連相を受け止めに行くということなのだと思います。


報連相しない人になる前に、話さなくなる瞬間がある

昔、相手の話を聞いているつもりで、実は自分の伝えたいことばかりが前に出ていたことがあります。

相手が何かを話してくれる。
でも、その言葉にちゃんと反応せず、自分の考えを伝える。
自分が正しいと思うことを説明する。
相手に分かってほしいことを話す。

その時、相手の中で、ゆっくりシャッターが閉まっていくように感じたことがありました。

当時の私は、どこかで、
「ようやく聞く耳を持ってくれた」
と思っていたのかもしれません。

でも今思うと、それは大きな勘違いでした。

相手が納得したのではなく、
考えることを諦めさせてしまっただけだったのだと思います。

人は、話しても反応がない。
話しても受け止めてもらえない。
話したら、自分の考えをかぶせられる。

そう感じると、だんだん話さなくなります。

それは、反抗しているわけではないかもしれません。
やる気がないわけでもないかもしれません。

ただ、
「言っても無駄だ」
と思ってしまっただけなのかもしれません。

報連相しない人になる前に、
報連相したくなくなる瞬間がある。

そこを見落としてはいけないと思っています。


報連相は、子どもの「ねえ聞いて聞いて」と似ている

私は、報連相は子どもの
「ねえ、聞いて聞いて」
と似ていると思っています。

子どもが何かを見つけた時
嬉しかったことがあった時
ちょっと困ったことがあった時

「ねえ聞いて」と話しかけてきます。

その時に、ちゃんと向き合って聞くと、また話してくれます。

でも、何度も流されたり、適当にあしらわれたり、話の途中で否定されたりすると、だんだん言わなくなります。

報連相も同じだと思います。

最初は、伝えたいことがある
気づいたことがある
困っていることがある
見てほしいことがある

でも、それを話した時に、
反応がない
否定される
流される
活かされない

そういう経験が重なると、人は話さなくなります。

報連相は、義務だから出てくるものではありません。

もちろん仕事として必要なことです。
でも実際には、関係の中で出てきます。

「この人には話しても大丈夫」
「この人なら聞いてくれる」
「この人に伝えれば、何かが前に進む」

そう思えるから、報連相は出てくるのだと思います。


情報を上に持ち上げるには、エネルギーがいる

報連相という言葉には、どうしても
「下から上に上げるもの」
という感覚があります。

でも、部下からすると、情報を上に持ち上げるにはエネルギーがいります。

ちゃんと整理しないといけない。
怒られるかもしれない。
まだ不確かな話をしていいのか分からない。
余計なことを言ったと思われるかもしれない。
忙しそうだから、今はやめておこうと思う。

特に悪い報告や、まだ形になっていない相談は、出すのに勇気がいります。

だから、上司がただ待っているだけでは、情報は上がってきません。

「報連相しろ」と言うだけでは、増えないのです。

必要なのは、上に吸い上げる力を強くすることではなく、
下で受け止める場所をつくること。

私はそう思っています。

上司が下りていって、受け止める姿勢を持つ。

「それ、もう少し教えて」
「今どうなってる?」
「何に困ってる?」
「それ、気づいてくれてありがとう」

そういう受け止め方があると、人は話しやすくなります。

報連相は、上に吸い上げるものではなく、
下で受け止めるものなのだと思います。


「教えて」と言える人のところに情報は集まる

情報は、偉そうに待っている人のところには集まりにくいと思います。

逆に、
「教えて」
と言える人のところには、情報が集まります。

教えて。
聞かせて。
どう思った?
何か気づいた?
困っていることある?

そう聞いてくれる人には、話しやすい。

もちろん、何でも優しく聞けばいいという話ではありません。
必要な指摘をすることもあります。
判断しなければいけないこともあります。

でも、最初から正すために聞くのか。
まず知るために聞くのか。

この違いは大きいと思っています。

最初から正されると思えば、人は情報を出しにくくなります。

でも、まず知ろうとしてくれる。
関心を持ってくれる。
自分の話を受け止めてくれる。

そう感じると、人は話しやすくなります。

報連相が集まる上司は、ただ厳しい人ではありません。

部下が話したくなる人です。
話しても大丈夫だと思える人です。
出した情報を、ちゃんと扱ってくれる人です。


受け止めた後に、整理してあげる

報連相は、ただ聞けばいいというものでもありません。

部下が話してくれる内容は、最初からきれいに整理されているとは限りません。

嬉しかったこと
困っていること
違和感
不安
現場で見えた小さな変化

そういうものが、まとまりきらないまま出てくることもあります。

その時に、上司が一緒に整理してあげることが大切です。

「つまり、ここで困っているんだね」
「それは、お客様の反応が変わってきたということかな」
「今の話だと、先に確認した方がいいのはここだね」
「それは次からこう伝えると分かりやすいかもしれないね」

そうやって整理していくと、本人もアウトプットの仕方が分かってきます。

何を報告すればいいのか
どう相談すればいいのか
どこまで連絡すればいいのか
どんな順番で伝えれば相手に届きやすいのか

報連相は、最初から上手にできるものではありません。

聞いてもらう
受け止めてもらう
整理してもらう
そして、次は少し自分で整理して話せるようになる。

その繰り返しで、少しずつ上手くなっていくのだと思います。


報連相した後に、どう扱われたか

報連相が増えるかどうかは、
報連相した後にどう扱われたかで決まると思っています。

報告したら怒られた
相談したら否定された
連絡したのに反応がなかった
言ったことが何も活かされなかった
結局、言わない方がよかった。

そう感じれば、次から情報は出にくくなります。

逆に、

言ってよかった
早めに相談してよかった
気づいたことを伝えたら、ちゃんと見てもらえた
自分の話が、何かの改善につながった

そう感じれば、また話そうと思えます。

報連相は、出させるものではなく、循環させるものなのかもしれません。

出してもらう
受け止める
整理する
活かす
そして、活かされたことが本人に返る。

この循環ができると、情報は少しずつ流れ始めます。


報連相していただく、という視点

私は、報連相について、
報連相していただく
くらいの感覚でいた方がいいと思っています。

もちろん、仕事として報告・連絡・相談は必要です。
組織で働く以上、情報共有は大切です。

でも、だからといって、部下が自然に何でも話してくれるわけではありません。

話してくれる
相談してくれる
違和感を出してくれる
困っていることを言葉にしてくれる

それは、当たり前ではありません。

だから、報連相してもらえる関係をつくる。

報連相したくなる受け止め方をする。

報連相したことが意味を持つようにする。

その視点を持つだけで、上司の態度は変わります。

報連相しろ、ではなく、
報連相していただける関係を作れているか。

ここを見ることが大切なのだと思います。


報連相は、関係と仕組みの両方でできている

報連相は、気持ちだけでは増えません。

だから、仕組みも必要です。

日報
面談
ミーティング
チャットツール
報告フォーマット

こうしたものが役に立つこともあります。

でも、仕組みだけでも足りません。

どれだけ報告の場を作っても、
「話しても無駄だ」
と思われていたら、情報は出てきません。

逆に、関係だけに頼っても、人によって差が出ます。

話しやすい人には情報が集まる。
話しにくい人には情報が来ない。
これでは、組織として安定しません。

だから、報連相には関係と仕組みの両方が必要です。

話したくなる関係
話すきっかけになる仕組み
出てきた話を整理する力
それを活かして、また返す流れ

ここまで整えて、ようやく報連相は機能し始めるのだと思います。


報連相は、受け止めに行くもの

報連相が少ない時、
「なぜ言ってこないのか」
と考えることも必要です。

でも同時に、
「自分は受け止めに行けているか」
と考えることも必要です。

相手の話に関心を持つ
話してくれたことに反応する
まず受け止める
出てきた話を一緒に整理する
話したことが活かされたと感じられるようにする

それが、報連相を取りに行くということなのだと思います。

情報を上に持ち上げさせるのではなく、
上司が下りていって受け止めに行く。

報連相は、部下だけの課題ではありません。

上司と部下の関係
情報が流れる仕組み
話してよかったと思える経験

その積み重ねの中で生まれるものです。

報連相は、
上げさせるものではなく、
受け止めに行くものなのだと思う。


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