いい制度を作っても会社が変わらない時に見るべきこと
会社をよくするために、制度を作ることがあります。
評価制度
面談制度
教育制度
マニュアル
ルール
どれも会社にとって大事なものです。
基準が曖昧なままでは、頑張っている人が報われなかったり、管理職によって判断がバラバラになったりします。
だから、制度を整えること自体は必要です。
ただ、現場を見ていると、
いい制度を作ったはずなのに、会社があまり変わらない
ということがあります。
制度はある
仕組みもある
面談もしている
評価もしている
研修もしている
それでも、人が育たない。
現場が動かない。
社員の納得感が高まらない。
こういう時、問題は制度そのものだけではないのかもしれません。
私は、制度が機能しない会社では、
制度と日常がつながっていない
ことが多いと感じています。
制度は、作っただけでは会社を変えない
制度を作ると、会社が一歩前に進んだように感じます。
でも、制度は作っただけでは機能しません。
評価制度があっても、日々の関わりの中で期待が伝わっていなければ、評価はただの点数になります。
面談制度があっても、普段から信頼関係がなければ、面談は形式的な確認になります。
教育制度があっても、現場で挑戦する機会がなければ、学びは実践につながりません。
制度は、それ単体で人を変えるものではありません。
制度の背景にある考え方が、日常の言葉や行動とつながって初めて、組織の力になるのだと思います。
逆に、制度と日常が切れていると、現場からはこう見えてしまいます。
「また新しいルールが増えた」
「結局、書類を埋めるだけ」
「制度ではそう言うけど、実際は違う」
こうなると、制度は会社を強くするどころか、不信感を増やしてしまうこともあります。
制度が機能しない会社で起きている3つのズレ
1. 制度の目的が、現場に伝わっていない
制度は、何かを実現するために作るものです。
人を育てるため
挑戦を増やすため
納得感を高めるため
公平性を保つため
会社が大事にしている考え方を形にするため
でも、現場に届いているのが「やらなければいけない手続き」だけだと、制度は目的を失います。
なぜこの制度があるのか。
この制度で何を大事にしたいのか。
社員にどうなってほしいのか。
ここが伝わっていないと、制度はただの作業になります。
制度が悪いのではなく、
制度の目的と現場の理解がつながっていない
のです。
2. 制度と管理職の言葉がつながっていない
制度を現場で動かすのは、最終的には管理職です。
どれだけ良い制度があっても、管理職がその意味を理解していなければ、現場には届きません。
評価制度では「挑戦を評価する」と書いてある。
でも管理職が失敗を責める。
面談制度では「成長を支援する」と書いてある。
でも実際の面談は、進捗確認とダメ出しで終わる。
育成制度では「自律を促す」と書いてある。
でも日常では細かく管理し、任せきれない。
これでは、社員から見ると制度と現実がズレています。
制度を作ることより難しいのは、
制度の考え方を、管理職が自分の言葉で語れるようにすること
だと思います。
3. 制度と信頼関係がつながっていない
制度は大事です。
でも、制度だけで人は育ちません。
どれだけ評価項目を整えても、
どれだけ面談シートを作っても、
どれだけ育成計画を立てても、
そこに信頼関係がなければ、人は本音を出しません。
本音が出なければ、課題も見えません。
課題が見えなければ、支援もズレます。
支援がズレれば、制度は形だけになります。
山本五十六の有名な言葉は、前半の
「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ
ほめてやらねば、人は動かじ」
がよく引用されます。
でも、私はその先にある
「やっている姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず」
という部分に、人材育成の本質があるように感じています。
制度や仕組みは、人を動かす助けにはなります。
でも、人を実らせる最後の部分には、やはり信頼が必要です。
完璧な仕組みほど、人を弱くすることがある
私は、制度やシステムは完璧であればあるほど良い、とは思っていません。
もちろん、便利な仕組みは必要です。
ミスを減らす仕組みも大事です。
誰でも一定の品質で仕事ができるようにすることも、組織には必要です。
ただ、仕組みが完璧すぎると、
人が考えなくなることがあります。
迷わなくていい
考えなくていい
判断しなくていい
失敗もしにくい
一見、効率的に見えます。
でも、その状態が続くと、
人は状況を見なくなる。
自分で判断しなくなる。
相手と対話しなくなる。
仕組みに従うことが目的になる。
それでは、人は強くなりません。
制度は、人の代わりに考えるためにあるのではなく、
人がより良く考えられるようにするためにある。
人を縛るためではなく、
人が成長するための足場であるべきだと思います。
制度は、つながって初めて力になる
いい制度を作っても会社が変わらない時、見るべきなのは制度の細かい設計だけではありません。
まず見たいのは、次の3つです。
1. 制度の目的が、現場に伝わっているか
何のための制度なのか。
会社は何を大事にしたいのか。
2. 制度の考え方を、管理職が自分の言葉で語れているか
ただ運用しているだけでなく、意味を伝えられているか。
3. 制度の土台に、信頼関係があるか
本音を出せる関係があるか。
任せ、見守り、信頼する関わりがあるか。
ここが切れているまま制度を増やしても、会社は変わりにくいです。
逆にここがつながると、同じ制度でも機能の仕方が変わります。
制度は必要です
仕組みも必要です
システムも必要です
でも、それだけでは人も組織も強くなりません。
制度と目的
制度と管理職の言葉
制度と日常
制度と信頼関係
制度と本人の成長
これらがつながって初めて、制度は会社の力になります。
