どうすれば勝てるのか?―ディープテック領域における「人材獲得“競争”」に勝利するために必要なこと
1. はじめに
こんにちは!ポテンシャライトのミネナホです🫶
今週から新たに始まった「ディープテックの採用の教科書」シリーズ、第二弾となります!🚀
前回の第一弾では、「ディープテック」が人類の未来を賭けた、いかに壮大なチャレンジをしているのかがわかっていただけたかと思います。
さて、今回はこの壮大なディープテック領域の採用に関わるお話しです。未来を実装する「仲間」、すなわち『チーム』をどうやって創るのか。みなさん気になりませんか?
ディープテックという新たな産業は、採用の世界にも、全く新しい挑戦状を突きつけています。
ここでは、私たちのような採用のプロが直面する、この領域特有の課題と、そこで本当に求められる人材像について、深く、そして熱く語らせてください!
2. 採用現場を襲う、あまりにも巨大な「4つの絶壁」

「スーパーマン」は存在しないという現実
多くのディープテック・スタートアップが陥りがちな最初の罠は、「世界レベルの研究者でありながら、経験豊富なビジネス経営者でもある」という、いわば「スーパーマン」のような人材を求めてしまうことです。イメージで言うと「アインシュタインの頭脳と、スティーブ・ジョブズの経営手腕を併せ持つ人、探してます!」と言うようなイメージです。(笑)
「さすがにそこまでは…」と思っていても、採用活動で色々な方とお会いするうちに、いつの間にか理想が高くなり、市場の温度感から離れていってしまう…。これは採用の難しいところですよね。だからこそ、成功のためには一度立ち止まり、市場のリアルなレベル感を把握することが不可欠です。自社の理想と市場の現実、そのバランスを取ることが、優れた人材と出会うための第一歩となります。
10年後のビジョンを“今”伝えることの難しさ
事業化まで数年から十数年を要することも珍しくないのが、ディープテックの世界です。ソフトウェア業界のスピード感に慣れた人材に、「10年後に人類は火星に行きます」というその言葉の“熱量”を信じ、人生を賭してもらう。その壮大なビジョンを語り、惹きつける力が、採用担当者には求められます。
熾烈なグローバル人材獲得競争
ディープテックの専門家は、世界的に見ても絶対数が少ない。必然的に、人材獲得は国境のないグローバルな競争となります。日本のスタートアップは、GAFAMや資金豊富な海外スタートアップと同じ土俵で、世界トップクラスの人材を奪い合わなければならないのです。これはもう「採用活動」なんて生易しいものではない。文字通り「人材獲得“競争”」なのです 。
候補者の“本物の輝き”を見抜くことの困難さ
非常にニッチで、極めて高度な専門性。その分野の専門家ではない採用担当者が、候補者の持つ“本物の輝き”や技術的な深さを、従来の面接手法だけでは、候補者が持つ真のポテンシャルや技術的な深さを正確に評価することは難しいのが現実です。
2. 圧倒的な壁を乗り越えるチームの二つの柱とは?
これらの絶壁を乗り越え、成功するチームを創るには、異なる強みを持つ二種類の人材による、最強のパートナーシップが不可欠です。

ビジョンを掲げる研究者(The Visionary)
多くは博士号を持ち、深い専門知識はもちろん、長年の孤独な研究をやり遂げるほどの探究心と精神的なタフさを備えています。事実、成功しているディープテック・スタートアップの多くが、こうした研究者の情熱から始まっていることからも、その重要性は明らかです。
戦略を実装するビジネスリーダー(The Executor)
研究者が描いた壮大なビジョンを、1年後、3年後、10年後会社が存続するための「事業」へと落とし込む実行者です。資金調達に走り回り、市場戦略を練り、組織を拡大させる。しかし、率直に言って、現在の日本のスタートアップ・エコシステムにおいて、最も喉から手が出るほど求められているのが、この役割を担える人材なのです。
2-1. お金だけじゃない。トップタレントの“魂”を本当に揺さぶるもの
では、給与やストックオプション以外に、彼らトップタレントを惹きつけるものは何なのでしょうか?
その答えは、より本質的な動機にあります。
ミッションと、世界への“本物の手触り”
自らの仕事が、気候変動や難病の治療といった、大きな社会課題の解決に直接つながっているという実感。彼らが求めるのは、まぎれもない「本物のインパクト」です。
知的好奇心という“羅針盤”だけを信じて進む自由
特に博士号を持つ人材にとって、マイクロマネジメントされず、自らのアイデアを探求できる環境の方が、力を発揮しやすいかと思います。
まだ誰も解いたことのない、最高に面白い“挑戦”
トップタレントを突き動かすのは、科学的な探究心と、知的挑戦そのもの。まだ世界の誰も解いたことのない、最高に難しくて、最高に面白い問題に挑戦できること。ここが一番の肝かと思います。
2-2. 未来を創る「チーム」の核心
成功する採用とは、単にこの二種類の人材を見つけることではありません。
純粋な研究開発が求める「長期的で探求的な理想」と、事業構築が要求する「短期的で現実的な成果」。この二つの世界の間に生まれがちな緊張関係に“美しい橋”を架け、両者の力を最大限に引き出す文化を構築できる人材を見出すこと。
研究開発のプロセスを心の底からリスペクトできるビジネスリーダー。自らの研究の商業的価値を理解し、語れる研究者。採用担当者の真の役割は、この「橋渡し」の能力を見極めることにあります。
企業の未来は、この二つの世界の“情熱的な対話”を生み出せるかどうかにかかっているのです!
3. では、どうすれば勝てるのか?―「人材獲得“競争”」に勝利するために必要なこと
絶壁のような課題を前に、立ち尽くしてしまったかもしれません。
…ですが、大丈夫です!
どんなに困難な冒険にも、必ず「攻略法」は存在します。
ディープテックという未踏の領域で、未来を創るチームを構築しようとする企業に対し、私たちポテンシャライトが提唱する戦略。それは、単なる人材紹介ではありません。
事業の成功そのものにコミットする、戦略的パートナーとしての“答え”です。
3-1. 戦略①:スペックだけではなく、ミッションを伝えるストーリーテリングとしての採用ブランディング
技術スペックの羅列で、トップタレントの魂が震えると思いますか?
答えは、正直それだけでは難しいと思います。
重要なのは、その技術が「なぜ」存在するのか、すなわち、どんな未来を実現するために、自分たちが存在するのかという、情熱的なミッションを語ること。 「高性能なSAR衛星を開発しています」ではありません。
「私たちの“宇宙の目”で、自然災害から一人でも多くの命を救いたいんです」と語った方が、心が震えると思うんですよね。
半導体の巨人NVIDIAは、製品のスペックではなく、それを開発するエンジニアたちの「物語」を前面に押し出すことで、高度な技術企業に人間味あふれる魅力を与えています 。ミッションに共感する最高の仲間を惹きつけるには、このような魂のこもったストーリーテリングが不可欠なのです。
3-2. 戦略②:「理想の求職者さま」の再定義と、“本物の実力”を見抜く選考設計
「スーパーマン」の幻想を捨てること
前述の通り、一人の人間にすべてを求める「スーパーマン採用」は失敗に終わってしまいます。
理想の役割を「技術的リーダーシップ」と「事業開発能力」といった核となる要素に分解し、それぞれに秀でた二人の人材(例:技術に明るい創業者とビジネス経験豊富な共同創業者)を採用するなど、補完的なチームを構築する視点が重要です。
「本気の経営シミュレーション」で、未来の仲間と語り合う
特にCOOやCSOといったビジネスサイドの幹部候補者に対しては、「ワークサンプル」という選考手法の導入をお勧めします。
秘密保持契約(NDA)を締結した上で、候補者に実際の経営課題(匿名化されたもの)を提示し、その解決策をプレゼンテーションしてもらう手法です。
このプロセスを通じて、履歴書や面接だけでは測れない、複雑な技術や事業モデルを短期間で理解する能力(キャッチアップ力)、本質的な課題を見抜く戦略的思考力、そして何よりもその事業に対する本物の熱意を客観的に評価することが可能になります。
3-3. 戦略③:待つのではなく、動く。未来の才能が眠る「源泉」を直接攻めよ!
専門家と「共に」戦う
ディープテック領域の採用では、一般的なリクルーターは機能しません。
技術への深い理解と業界への信頼がなければ、トップタレントとの対話のテーブルにすら着けないからです。成功の鍵は、技術と人材市場の両方を熟知した専門家とパートナーを組むことです。
学術・研究ネットワークを活用し、才能の“宝の山”を掘り起こす
ディープテックのイノベーションと人材の源泉は、大学の研究室や技術移転機関にあります。そのため、採用活動は、これらの機関や研究者と長期的で信頼に基づいた関係を構築することから始まります。
これは、短期的なポジション補充ではなく、未来の才能を発掘するための継続的な取り組みとして必要になります。
“スナイパー”のように、最高の才能を口説く
博士号取得者や特定のエンジニアといった高度専門人材には、研究分野や所属学会といった情報から候補者を精密に特定し、直接アプローチできるダイレクトリクルーティングがお勧めです。※
実はポテンシャライトではディープテックの「宇宙」領域に特化した人材紹介サービスを始めました!
その名も「ソラシゴト」。noteやポットキャストにて様々な情報を発信しておりますので、ぜひご興味がある方はご覧ください🫶
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これらの戦略を実行する上で、採用パートナーの役割は根本的に変わります。
ディープテック領域において、採用は単なる「欠員補充」ではありません。それは、企業のビジョン、技術、長期戦略に深く関与し、事業の成功に不可欠なチームを共に築き上げる「戦略的パートナーシップ」でなければならないのです。
採用パートナーは、もはや単なる業者ではありません。
企業の未来に、最も初期からコミットする「共同創業者」の一人として機能する必要があるのです。
4. さいごに
ここまで、ディープテックという壮大な冒険の物語を、皆さんと一緒に旅してきました。
科学的発見という「種」と、社会を良くしたいという強い「意志」。
その二つが掛け合わさることで、イノベーションという新たなパラダイムが生まれる。
しかし、どんなに素晴らしい科学的発見も、どんなに壮大なビジョンも、それを信じ、実現する「チーム」がいなければ、絵に描いた餅で終わってしまいます。
そして、その仲間集めは、これまでの採用の「当たり前」が一切通用しない、全く新しい戦いなのです。ミッションへの共感を核とした採用ブランディング、本質を見抜く評価プロセス、そして専門知識に基づいた戦略的な人材発掘…。
日本がこの領域で、再び世界のフロントランナーとして輝けるかどうか。
その鍵は、野心的な科学技術のブレークスルーを、世界を変える現実に変えることができる、この非凡なチームを、一つでも多く、この国に生み出せるかにかかっていると、私は本気で信じています。
私たちポテンシャライトは、その挑戦のあまりの尊さと、困難さを、誰よりも理解しています。
だからこそ、私たちは単なる「採用支援会社」というスタンスを取りません。
未来を創ろうとする企業の“魂”に、私たち自身の魂で共鳴し、最高の仲間集めという最も困難なミッションを、隣で、一緒に、最後までやり遂げる。
それが、私たちの覚悟であり、「熱狂的な戦略的パートナー」と名乗る理由です。
未来を創るチームを、未来のために、創り始めませんか?
