#6 少女マンガから出てきたようなパパから、家族の闇を聞かされたという話
紳士パパの口から語られたのは、10年の不妊治療と、壊れていく家族の現実だった。
パパ活を始めて半年。
毎日が冒険のように思えていた頃、私はユージンという紳士に出会った。
まるで少女マンガから抜け出したような穏やかさ。
けれど、彼が語ったのは、愛と不妊治療、そして家族の“闇”だった。
◆ パパ活歴、半年
2020年10月5日。
パパ活を始めて、ちょうど半年が経った。
週に5〜6日ペースでパパと会い、土日は1日3人なんてスケジュールも当たり前。
最初の緊張なんて、とっくに消えていた。
「今日はどんなパパに会えるんだろう」
そんなワクワク感で、毎日が小さな冒険みたいになっていた。
人間は日々成長する生き物だ。
……たぶん。
かつての私は、雨が降ったとか気分が乗らないとかで、平気で学校や仕事をサボっていた。
でもパパ活だけは、一度も休んだことがない。どんなに面倒でも。
もちろん、嫌なパパに出会うこともあった。ドタキャンされたり、心ない言葉に落ち込んだり。
でも不思議なほど、一晩寝れば忘れていた。
それくらい、パパとの出会いが私にとっての“喜び”になっていたのだ。
◆ 少女マンガから出てきたようなパパ
この日、待ち合わせたのはユージンというパパ。
50代後半、食品加工会社の社長さんだった。
初対面から感じたのは、圧倒的な“紳士力”。
まるで昔の少女マンガから抜け出してきたように、穏やかで礼儀正しくて、話し方もやさしい。
奥さんとの出会いは遠距離恋愛、30代前半で結婚。
中学生と高校生の子どもがいるという。
食事を重ねるうちに、彼は少しずつ自分のことを話しはじめた。
そしてある日、ぽつりと口にした。
◆ 10年の不妊治療と、変わっていく夫婦の関係
「どうしても子どもが欲しいって言われてね。10年くらい、不妊治療を続けてたんだ」
最初は、愛する妻との営みが幸せだったと彼は言う。
けれども、それは次第に“義務”へと変わり、家に帰るのが怖くなった。
治療の副作用やストレスで奥さんの心も不安定になり、彼は会社でも家庭でも気を張り続けた。
それでも努力は報われた。
「もう諦めよう」と話していた矢先、第一子を授かり、さらに数年後には二人目も生まれた。
喜びよりも、正直ほっとした――と彼は言った。
「これでようやく普通の幸せが始まると思った。でも、そこからが地獄だった」
◆ 母になりきれなかった妻
育児にも積極的に関わっていた彼。
だが奥さんの様子はどんどんおかしくなり、夫婦喧嘩も増えていった。
ある日、ついに奥さんはこう打ち明けた。
「……私ね、子ども好きじゃないってことに気づいちゃった。長男はまだいいんだけど、どうしても長女のことが好きになれないの」
彼は絶句した。
小学校の先生をしていたくらいだから、子ども好きに決まっていると思っていた。
でも、そうじゃなかった。彼女自身も苦しんでいたようだった。
どう声をかけていいか分からず、彼は長いあいだひとりで悩み続けたという。
そしてある日、今度は長女がこう言った。
「ママって、私のこと、好きじゃないよね?」
その瞬間、彼は本当に言葉を失ったそうだ。
◆ 崩れていく家族のかたち
異変に気づいた長男。
母から愛されないと感じる長女。
現実を受け入れられない奥さん。
そして、どうまとめていいか分からない彼。
家庭はどんどん冷えていった。
心の温度差が隠しきれない食卓。
長女は父に、長男は母に気を遣いながら会話する。
家の中は会話があるのに、どこか無音のようだった。
子どもたちのことは大好き。
でも奥さんへの気持ちはもう冷めてしまった、と彼は言う。
「子どもが成人したら離婚するつもりだ」
――このセリフ、不倫男の常套句。
でも、彼だけは本当にそうする気がした。
◆ 私にできたこと
私は子どももいないし、今は家庭を持っていない。
奥さんの気持ちも、彼の気持ちも、本当の意味では分からない。
でも、誰も悪くないのに、誰かが苦しんでいること。
その絶望感だけは、なんとなく伝わってきた。
「あなたは悪くないよ。誰も、自分を責めないで」
私はただ、それだけを伝えた。
涙をこらえて話す彼の表情を見ながら考えていた。
どうしたら私は、この人の力になれるんだろう――と。
だけど、できることなんて、ほとんどなかった。
せいぜい、話を聞くことくらい。
何度か「付き合ってくれない?」と誘われたけれど、その気にはなれなかった。
私には、パパ活という“まだ続けるべき冒険”があったからだ。(おいっ)
◆ 数年後のユージンへ
今はもう、彼とは会っていない。
だけど、もしまた会うことがあるなら、私はこう願う。
若い子を何人もはべらかす、ギラギラ系イケオジになってくれ。
思いきり遊んで、思いきり笑ってくれ。
あのときの涙も、沈黙も、もう背負っていなくていい。
……てか、そもそもユージンって、なんだ?
📝共感フレーズ
誰も悪くないのに、誰かが苦しんでしまう。家族って、難しい。
◆ 最後に
夢みたいな時間のあとに落とされた、現実の重さ。
次回は、陽気そうに見えて、実は保守的な“おじじ”が登場します。
🔑私の人生を変えた「3つの哲学」ついて、こちらで書きました。
📚 『はじめてのパパ』シリーズはこちらから:
禁断のサバイバルを味わいたい人は
【マガジン1 (#1〜8):パパ活サバイバル —— 刺激と現実の狭間で】へ
面倒くさい女の心ドラマをのぞきたい人は
【マガジン2 (#9〜17):心が面倒くさい女の、自己解放記】へ
💬 感想・フォロー・スキ♡大歓迎です!
「40代女性のリアル」、これからも綴っていきます。
