第6話『パラレルコネクター』ファンタジー小説部門
👈第5話に戻る
「最後の質問だ。コネクターとは何か」
「それはちゃんと説明できるよ! 自分自身のことだもの」
シロの声に少し元気が戻ったようだ。
「コネクターは今から約二〇〇〇年前に、第一世界の『ボ族(ぼぞく)』という部族が作った装置。でも装置と言っても、命を持っている。それぞれいけにえを用いて作られているから。えっと……そうそう! 天人、地人、そして天地人。その命を核にして作られた。だから私たちはただの道具じゃないの。感情もある。個性もある」
少し間を置いてから、シロは続けた。
「うん、ちゃんとつながってきた」
「お、シロ。ちゃんと機能してきたな」
「アンタさん。いけにえになった私たちは双子でした。共に生きる力がなく、それを不憫に思った仲間たちが、長い命を与えてくれたんだと思っています。私たちが長い時間を生きることになった意味を、ずっと考えてた。でも今は、こうして誰かとつながることに意味があると思っています」
俺はシロの言葉を黙って聞いていた。
「ヤマベ。天人をいけにえにしたレッドとブルーは恋人同士だったとされていて、別の並行世界を同時刻で見る能力がある。地人のいけにえによって作られた私とブラックは双子で、所有者と一緒に別の並行世界へ移動できる。そして天地人がいけにえになったのがダイヤモンド。天地人の力を引き継いでいるから、いろんな能力があるはずだけど……どうだったかな?」
「シロ、俺にもわからないことはある。そして、わからないことはしょうがない」
「うん。わかることを頑張るね」
シロのモニターが光り、文字が並んだ。

「ダイヤモンド、レッド、ブラックの三つが行方不明だ。ブラックは本来第四世界にあるはずなのに、なぜか消えている。これが今の状況だ」
「ねえヤマベ。アンタさんのコネクター、いつ誰が作ったのかな? 私の知っている情報には載っていないの」
「さあな。でもこうしてつながっているんだから、コネクターであることは間違いない。そしてアンタがいることで、第四世界の均衡が保たれているのも事実だ」
シロが静かに言う。
「ヤマベ、一つだけ聞いていい?」
「なんだ」
「私の記憶が無くなったのは……もしかして、誰かが何かの意図を持って消したのかな?」
俺は少し間を置いてから答えた。
「今考えてもしょうがない。いつかわかるかもしれん」
シロはそれ以上聞かなかった。
「じゃあ今夜はここまでにしよう。アンタ、つないだまま休んでくれ。そうしてくれると、俺たちが眠っている間もダークマターは溜まる。明日の朝には第四世界に飛べるはずだ」
「アンタさん、お願いします。おやすみなさい」
「おやすみ、アンタ」
俺は鏡を覗き込む。深淵を覗いているようだ。
アンタにはどこまで見えているんだ?
「なあ、アンタ。俺の望みはシンプルなんだ。世界が救えるなら。そして、俺の夢が叶うなら……」
その先は言わなかった。
言う必要はなかった。
今は、まだ……
