声門閉鎖術後の変化|声を失い、取り戻した食べる楽しみ【第4話】
声を失う選択と、取り戻した食べる楽しみ
こんにちは。
よりそいさん|すれ違い翻訳室 です。
前回の記事では、気管切開後に誤嚥性肺炎を起こし、
転院先で何度も窒息した経験について書きました。
このままでは、自分の命が危ない。
そう感じた私は、誤嚥を予防するための声門閉鎖術を、
自分から先生に希望しました。
今回の記事へ続く経緯は、第3話からお読みいただけます。
▶︎【第3話】気管切開後も続いた唾液の誤嚥|私が声門閉鎖術を選んだ理由
今回は、2024年7月11日に受けた声門閉鎖術と、
その後に感じた身体の変化、
再び生まれた「食べたい」という希望について振り返ります。
「人って、慣れるんだなぁ」
最初の気管切開術を受ける前、私は強い絶望感と恐怖を抱いていました。
決断するまで、何年も逃げてきました。
しかし、声門閉鎖術は自分から先生に希望しました。
決断するときも、手術を迎えるときも、
全くと言っていいほど緊張しませんでした。
「人って、慣れるんだなぁ」
どこか他人事のように、しみじみと感じたことを覚えています。
最初の手術では、恐怖で精いっぱいでした。
しかし、2度目の手術を前にして、
手術をする先生方も、緊張し、神経を使いながら向き合っているのだと、
ようやく気づきました。

命を守るために受けた声門閉鎖術
2024年7月11日。
私は、気管切開に関わる2度目の手術として、声門閉鎖術を受けました。
声門閉鎖術は、声門を閉鎖し、
食べ物や唾液が気管へ流れ込むことを防ぐための手術です。
詳しい手術方法は、術式や患者の状態によって異なります。
私が受けた手術では、声帯周辺を処置して声門を閉じ、
食べ物や唾液が気管へ流れ込みにくい状態にしました。
この手術を受けた大きな目的は、誤嚥の危険を減らすことでした。
一方で、大きなデメリットもありました。
この手術によって、私は二度と自分の声を出せなくなりました。
それでも当時の私は、
「もともと口下手だから、別にいいや」
という感じでした。
それが、声を失うことに対する当時の私の率直な気持ちです。
もちろん、声を失うことの受け止め方は人によって違います。
私の場合は、声を残すことよりも、
唾液などの誤嚥による命の危険を減らすことを選びました。
手術後、身体に感じた変化
手術から9日後の2024年7月20日、
私は耳鼻科の先生へ、術後の状態を文章で伝えました。
その時点では、気管内にたまる痰が、手術前より減ったと感じていました。
右肺側にたまりやすい状態は変わりませんでしたが、
吸引するとすべて引けているように感じました。
特に大きかったのは、
深夜から明け方に硬い痰で窒息するような感覚がなくなったことです。
覚醒後は3〜6回程度の吸引が必要でしたが、
それ以外は午前・午後ともに2〜3回程度でした。
入院中は念のため、唾液を持続的に吸引するチューブを使用していました。
ただ、当時の私は、使用しなくても大丈夫かもしれないと感じていました。
一方、覚醒後には、口から鼻腔内にかけて痰がたまり、
口からの吸引が必要でした。
これは、あくまで手術後数日の私自身の状態と体感です。
命を優先した後、食べる希望が戻ってきた
手術後に身体の変化を確かめる中で、
もう一度、口から食べることへの希望が生まれました。
手術を希望したとき、
私が優先していたのは、口から食べることではありませんでした。
まず、唾液の誤嚥による命の危険を減らすことでした。
しかし、手術後に唾液を飲み込む練習をしてみると、
私の体感では、特に違和感なく行うことができました。
そこで私は先生へ、
「ゼリーなどの飲み込みやすいものから、
いずれは再開できればと考えています」
と希望を伝えました。
命の安全を優先して手術を選んだあとに、
「食べたい」と思える時間が、私の生活に戻ってきました。
そして2026年8月現在、
少量ではありますが、私は口から食べることを楽しんでいます。
もちろん、口から食べられるかどうかは、
手術を受ければ一律に決まるものではありません。
本人の身体状態や嚥下機能について、
医師などの専門職による評価が必要です。
声を失う手術ではなく、命を守るための手術
最初の気管切開術では、決断するまで何年も逃げました。
一方、声門閉鎖術は自分から希望しました。
何度も窒息し、唾液の誤嚥による肺炎も経験したことで、
私の中で守りたいものが明確になったのだと思います。
私は、声を残すことよりも、
唾液の誤嚥による命の危険を減らすことを選びました。

何を大切にするのか。
何を失う可能性があるのか。
どのような危険を減らしたいのか。
同じ手術でも、その受け止め方は一人ひとり違います。
私にとって声門閉鎖術は、
命を守り、その先の食べる楽しみにつながった手術でした。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
よりそいさん|すれ違い翻訳室

私のこれまでの経緯と、「すれ違い翻訳室」に込めた思いは、
自己紹介記事にまとめています。
少量ながら再び口から食べるようになった私は、
食べられるかどうかだけでなく、
どのように介助されるかによっても、
食事の受け止め方が変わることを実感しています。
本人の言葉にならない反応を、
次の介助へつなげるための考え方を、
こちらの記事にまとめました。
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