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元教室長直筆 文章題の数字を全部使おうとする子 「ちゃんと読んで」では直らない理由

自己紹介の前に、
突然ですが、次の問題を見てください。

みかんが8個あります。
りんごが3個あります。
みかんを2人で同じ数ずつ分けます。
1人分のみかんは何個ですか。

この問題を見て、

8÷2=4

と答えられれば正解です。

大人の方でも一瞬問題に違和感を
感じたりしませんでしたか?

りんごの「3個」は、今回の計算には使いません。

冷静になって見てみると
『そら、りんごは関係ないな。ひっかけか』

という話なのですが、文章題が苦手な子は
8、3、2
この3つを全部使おうとすることがあります。

8+3÷2
(8-3)÷2
8÷2+3
とかとか・・・
もちろん普段は文章題を苦手としていない子でも
こういう問題を見ると あれ?
って手が止まることもしばしば・・・

どうにかして、全員を式に出演させようとします。

数字たちの強制参加です(笑)



こんにちは、元教室長のヒイロです。
今回は
【文章題に出てきた数字を、全部使おうとする子】
について書いていきます。

この記事は、前回投稿した

計算はできるのに、文章題になると止まる子

の続きにあたる内容です。
文章題で止まる原因は一つではありません。

前回は、

・問題のゴールが分からない
・数字同士の関係が分からない
・間違えるのが怖くて式を書けない

という、代表的な3つのつまずきを紹介しました。

今回は、その中でもよく見られる、

【数字は見つけられているのに、
どの数字を使えばいいか分からない】

という状態を、もう少し詳しく見ていきます。

☆★この記事は、よくあるAI文章の貼り付けではなく、これまでの指導経験をもとに私が直接書いています。

現場での会話を再現するため、一部に関西弁や少しふざけた言い回しが含まれています。

苦手な方には申し訳ありませんが、ご容赦ください★☆

数字を全部使う子は、問題を読んでいないのか

子どもが文章題に出てきた数字を全部使おうとすると、
ついこう声掛けをしたくなります。

「ちゃんと問題読んだ?」
「その3は関係ないやろ」
「なんで全部使おうとするん?」

でも、数字を全部使おうとする子も、
問題文をまったく読んでいないわけではありません。

むしろ、本人なりに一生懸命読んでいます。

ただし、読んでいる目的が少し違います

文章の中で何が起きているのかを理解するためではなく

計算に使えそうな数字を探すため
に読んでいる可能性があります。

文章題に出会ったら、とりあえず
数字に丸を付けろと刷り込まれています。

とにかくどんな数字も絶対に逃がさない!!

そんな勢いで丸をつけていく
子どもには要注意です。

教室で子どもを見ていても、
とりあえず文章の内容を読まずに
数字に丸を付けていく子が少なからずいました。

この瞬間の子どもの頭の中では
それぞれの数字が何を示しているか、
そしてこの問題で何を聞かれているかは
二の次になっています。

そのため、問題文に数字が3つあれば
【3つとも使わなければ問題が完成しない】
ように感じています。

パズルのピースが一つ余っているような、
落ち着かない状態と例えると分かりやすいでしょうか。

私が見てきた学校の教科書やドリルでは、
問題文に出てきた数字をすべて使う問題に
触れる機会が多いように感じます。

その結果、
「文章に出てきた数字を、本当に全部使うのか」
と立ち止まって考える経験が少なくなることがあります。

これが苦手な子どもを指導する際に、
私は冒頭のようなあえて関係のない数字を
混ぜ込んだ問題を考えさせることで
解決へ導くことがしばしばありました。

この先では、この考えについて
もう少し深掘りしていこうと思います。

数字に丸をつけるだけでは、文章題は解けない

文章題の指導では
大切な数字に丸をつけましょう
と教えられることがあります。

この方法は数字を見落とさないためには有効な方法です。

ただし、文章題が苦手な子にこの方法だけを教えると
数字には全部丸をつけるもの
になってしまうことがあります。

ここに指導方法そのものの罠が
出来上がってしまっています。

先ほどの問題なら、

・みかん8個
・りんご3個
・2人

の8、3、2すべてに丸をつけます。
本人からすると先生や親に言われた通り数字を見つけています。
ちゃんと丸もつけています。

仕事は完璧です。
グッジョブです。

しかし、ただ丸をつけただけではその数字が

  • 何を表す数字なのか

  • 今回聞かれていることに関係するのか

  • どの数字とどの数字がつながっているのか

という要素が拾えていない状態です。


大切なのは数字を見つけることではなく
その数字が、何の数字なのかを理解することです。


私はこの作業を子どもたちに
【数字に名前をつけてみましょう!】
と練習させていました。

とは言っても、特別なことではなく
その数字が何を表しているのかを、
名前として言葉にするだけです。
ただこれが意外に効きます。

8ではなく
「最初にあるみかんの数の8」

3ではなく
「りんごの数の3」

2ではなく
「みかんを分ける人数の2」

という具合です。

数字に名前をつけるとただ並んでいた数字が、
少しずつ問題の場面とつながっていきます。

そうすると、この問題という舞台が
手の中で動き始めます。

『今回の話に、りんごは出演してる?』

冒頭の問題を、もう一度見てみます。

みかんが8個あります。
りんごが3個あります。
みかんを2人で同じ数ずつ分けます。
1人分のみかんは何個ですか。

この問題で聞かれているのは
「1人分のみかんの数」です。

りんごは書かれていますが、
みかんを分ける話には関係していません。

そこで子どもに
『今回聞かれてる話に、りんごは出演してる?』
と聞いてみます。

少しふざけた質問ですが
『出演してない』
と気づける子がいます。

少し注意ですが
『じゃあこの数字は必要なん?』と聞くと、
子どもは正解を試されているように感じることがあります。


少し柔らかく
『りんごさん、何しに来たん?』
なんて聞くと、

『わからん!いらんやん!』
なんて楽しげに返してくれることもあるので、

『そのりんごは先生が食べるように置いといてん』
とか
『ごめん、どうしても皿にりんご置きたかってん(笑)』
みたいに楽しめる空気作りに
活用することもできたりします。


りんごさんは、今回はただそこにいます。
計算には参加しません。
ちょっと寂しいですが、お休みです。
りんごさんには子どもとみかんの
行く末を見ていてもらいましょう。

あとで美味しく食べてあげてください。

「全部の数字を使うもの」と覚えている子もいる

文章題の数字を全部使う子は、
単に意味を理解できていないとは限りません。

これまで解いてきた問題のほとんどで
出てきた数字をすべて使っているはずですので
全部使うことがルールだと思っていても、
それは不思議なことではありません。

たとえば、

りんごが3個あります。
2個もらいました。
全部で何個ですか。

なら、3と2を使います。

1袋に4個入ったみかんが、3袋あります。
全部で何個ですか。

なら、4と3を使います。

学校の問題やドリルでは、
問題文に書かれている数字をすべて使う問題が多くあります。

その経験が積み重なると、
文章題に出てくる数字は、すべて式に入れる

という自分なりのルールが出来上がります。

このルールは、これまでの問題では通用していました。

だから、不要な数字が入った問題で突然
『その数字は使わへんで』

と言われても、子どもからすると
『いや、今まで使ってたやん汗』
って考えて何もおかしくありません。

子どもは適当に解いているのではなく、
これまでの成功体験を使って解こうとしている場合があります。

これは決して悪いことではないので
『そんなルールない』
と否定するだけではなく、

『今までは全部使う問題が多かったよな。
でも、ときどき使わない数字が混ざる問題もあるねん』

と、新しいルールを追加してあげる必要があります。
これまでやってきたことを否定はせず、
『今までの考え方も間違いではない。
ただ、こういう問題もあるよ』と追加するような姿勢で、
向き合ってあげてください。

「何算?」を探すゲームになっている

文章題が苦手な子は問題の場面より先に、

これは何算か

を探そうとすることがあります。

その例としてよくあるのが
「全部で」があれば足し算
「残り」があれば引き算
「同じ数ずつ」があれば割り算
「〇個ずつ」があれば掛け算
のような言葉です。

こうした言葉をヒントとして使うこと自体は悪くありません。
学校でもこのように導入する場合もあります。

ただ言葉だけで計算を決めるようになると、
文章題は国語ではなくキーワード当てクイズになります。

「全部で」を見つけた!

はい、足し算!

「分ける」があった!

はい、割り算!

算数版の早押しクイズです。

しかし、同じ言葉でも場面によって使う計算は変わります。
必要なのは計算記号を探すことではなく、

問題の中で、何がどう動いているのかを見ることです。

先ほどの問題なら、文章から読み取るべき
一つの考え方の順序は

・みかんが8個ある
・そのみかんを2人で分ける
・1人分を知りたい

という流れです。

りんごが3個あるという情報は、この流れの中に入ってきません。
だから、3は使いません。

これに気付くにはそれぞれの数字が
何を示しているかを捉えるために
数字に名前をつけて、

問題文から物の動きをとらえることが
重要となります。

家庭で試してほしい3つの質問

少し実践的な内容に移ります。

子どもが数字を全部使おうとしたときは
『その数字はいらん』
と先に教えるより、次の質問を試してみてください。

1.「この数字、何の数字?」

まず、それぞれの数字に名前をつけます。

8は何?

「みかんの数」

3は何?

「りんごの数」

2は何?

「分ける人数」

数字の意味を、子どもの口から言ってもらいます。

ここで答えられない場合は、計算を考える前に
問題文と数字が結びついていません。

2.「最後に何が分かったらゴール?」

今回聞かれているのは、

「1人分のみかんの数」です。

ゴールに「りんご」が入っていないことを確認します。

文章題が苦手な子にとって、

『何を求める問題?』

は少し難しく感じることがあります。

その場合は
『最後、何の数が分かったらこの問題終われる?』

と聞いてみてください。

3.「今回の話に、りんごは出演してる?」


『使わなくてもいい数字ってある?』
と聞き換えても構いません。
「3個のりんご」は、1人分のみかんを求める流れには出てきません。

ここで初めて
【今回は3を使わなくてもいい】

と判断できます。

使わない数字を、最初から消してあげるのではありません。

なぜ使わないのかを、子ども自身が確認することが大切です。

使わない数字に、大きなバツをつけない

このような問題を練習させていると時々子どもが
『使う数字は〇、使わん数字は×つけるわ!』
と×をつけようとする子も少なくありません。

問題を理解したうえで区別できているのなら、
×をつけること自体は悪くないとも考えられますが、

個人的にはいきなり×をつける方法は
あまりおすすめしていません。

3という数字が間違って書かれているわけではないからです。

問題文に必要な情報として存在しています。
ただし、今回の答えを出す計算には使わないだけです。

数字そのものを間違い扱いすると、
【使わない数字=意味のない数字】
と受け取る子もいます。

また、一度「使わない」と判断して×をつけると、
後から必要だと気づいても、その数字を候補へ戻せない子もいました。

おすすめは、

  • 今回使う数字を囲む

  • 使わない数字の横に「休み」と書く

  • それぞれの数字の下などに名前を書く

といった方法です。

私なら少しふざけて、
例えば野球やサッカーをしている子には
『りんごの3は、今回はベンチやな』

みたいに分かるような冗談に変えて伝えています。

ベンチにいる選手も、チームの一員ではあります。
ただ、今回の試合には出ない。
それくらいの扱いで大丈夫です。

すぐに不要な数字の問題ばかり解かせない

注意していただきたいことがあります。

率直に、不要な数字が含まれた問題ばかりを
やみくもにやらせないでください

このタイプの問題で練習がうまくいくと
『じゃあ、使わない数字が入った問題を10問やろう』
と考えてしまいますが、

今度は逆に
【文章題には、必ず使わない数字がある】
という新しい思い込みをつくることがあります。

子どもの適応力は、たまにこちらの想像を超えてきます。
『全部使ったらあかんのやろ?』
と、今度は必死で一つ余らせようとします。

これでは、本来身につけてほしい力から外れてしまいます。

そのため、

  • 数字を全部使う問題

  • 一つだけ使わない問題

  • 同じ数字を二回使う問題

  • 数字ではなく言葉に注目する問題

を少しずつ混ぜることが大切です。

重要なのは、
問題の場面に必要な数字を自分で選ぶことです。

正解したかより、最初に何をしたかを見る

このタイプの子を見るときは、答えだけで判断しないでください。

考え方が整理できていなくても、たまたま正解することがあります。

たとえば、

8÷2=4

と正解したとしても、

  • 3を使う計算が思いつかなかっただけ

  • 以前見た問題と同じ式を書いただけ

  • 「同じ数ずつ」という言葉だけで割り算にした

  • 親の顔を見て反応を確認した

という可能性があります。


反対に不正解だったとしても、
『3はりんごやから使わないと思った』

と説明できているなら、大切な部分は理解できています。
この場合はぜひ褒めてあげてください。


しっかり確認すべきことは、

  • 最初に数字だけを探したか

  • 数字が何を表すか言えたか

  • 問題のゴールを確認したか

  • 使う数字同士の関係を説明できたか

  • 式を選んだ理由を話せたか

です。

国立教育政策研究所の全国学力・学習状況調査の解説資料でも、正誤だけでなく、子どもがどこでつまずいたのかを解答の状況から把握し、指導の改善に生かすことが重視されています。

正解か不正解かの結果のみでは
子どもの思考過程やつまずきは見えてきません。

途中の考え方にこそ、次に教えるべきことがあります。

AIで類題を作る場合にも注意が必要

AIを使えば
【不要な数字が一つ入った、小学3年生向けの文章題を作って】
と入力するだけで、類題を作ることができます。

これは非常に便利です。

私たち講師が
『この子には、次にこの問題を出そう』
と考えて作っていた問題を、数秒で用意できます。

便利すぎて、講師時代の私が見たら少し泣くかもしれません。
悔しさや危機感、
いまなら『当時これが欲しかった』と
心から感じています(笑)

ただし、AIが作った問題をそのまま大量に解かせるのではなく、

  • 学年に合った漢字や表現か

  • 答えが一つに決まるか

  • 不要な数字が本当に不要か

  • 問題の状況に不自然な点がないか

  • 同じ型の問題だけになっていないか

を、大人が確認してください。

そして何より、

その子が、なぜ数字を全部使ったのか

を先に見てください。

数字の意味が分かっていない子と、
「数字は全部使う」というルールを信じている子では、
必要な対応も声かけもいます。

問題を作ることはAIでもできます。
でも、子どもの答え方、消した跡、目線、迷った時間から、

この子は今、何を考えているのか

を想像することは、そばにいる人にしかできません。

文章題で必要なのは、数字を選ぶ力

文章題は、書かれている数字を計算する問題ではありません。

問題の場面を理解し、

  • 何を知りたいのか

  • 何が分かっているのか

  • どの情報が必要なのか

  • 数字同士がどう関係しているのか

を考える問題です。

だから、数字を全部使おうとする子に必要なのは
『ちゃんと読んで』
という注意ではありません。

【数字を見つけた後に、
その数字が何の数字なのかを考える習慣】

です。

もしお子さんが文章題で数字を全部使おうとしたら、

すぐに『その数字はいらんで』
と教える前に、

『この数字、何の数字?』
『最後に何が分かったらゴール?』
『今回の話に、りんごは出演してる?』

と聞いてみてください。

りんごさんがただそこにいるだけだと気づければ、
それだけでも大きな一歩です。

文章題を解けるようになる始まりは、
正しい計算を覚えることではありません。

問題文に書かれた情報を、自分で選べるようになること
だと私は考えています。

関連記事

文章題になると手が止まる理由は、
数字を全部使おうとすることだけではありません。

「何を答えればいいか分からない」

「数字同士の関係が分からない」

「考えはあるのに、間違えるのが怖くて式を書けない」

といった代表的なつまずきについては、こちらの記事にまとめています。

▶ 計算はできるのに、文章題になると止まる子|「ちゃんと読んで」では解決しない3つのつまずき

また、問題の内容以前に、
そもそも宿題や勉強を始めるところで止まってしまう場合は、こちらの記事が参考になるかもしれません。

▶ 勉強しない子が動きだす?元教室長の「今日のラスボスは?」作戦


次回について

次回は、

分かっていそうなのに、式を書こうとしない子

について書こうと思っています。

「分からない」のではなく、

「間違えたくない」

「書いた式を見られたくない」

という気持ちが、手を止めていることがあります。

また現在、

「文章題のつまずき診断と、タイプ別の教え直し方」

を制作しています。

無料記事では、文章題で見られる代表的なつまずきを、一つずつ取り上げています。

有料版では、読むだけではなく、家庭で実際に使えるように、

  • つまずきを確認する診断問題

  • 子どもが解いている間の観察ポイント

  • 間違い方から考えられる原因

  • タイプ別の最初の声かけ

  • 家庭で行う練習方法

  • AIで類題を作る場合の指示文

を一つにまとめる予定です。

正しい解き方を教える前に、

なぜ、その式にたどり着けなかったのか

を家庭で見つけるための商品にします。

完成まで、もうしばらくお待ちいただければと思います。

この記事で少しでも多くのご家庭とお子様の、明るく豊かな将来のお手伝いができれば、本当にうれしく思います。

元教室長 ヒイロ


参考:国立教育政策研究所「令和7年度 全国学力・学習状況調査 解説資料 小学校算数」

※調査資料は、児童一人ひとりの状態を直接示すものではありません。全国的な学習指導の考え方を確認する参考として使用しています。

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