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2020年、理容店が感染症対策でやったこと

020年の春、店の空気が変わりました。

おなじみさんのなかに、不要な外出を控える方が増えた。
施術中の会話も、ウイルスの話題が増えました。

うがい、手洗い、毎朝の検温。
37度5分以上が続くなら、無理をせず休む。
おなじみさんは冷静で、私も同じことをお伝えしていました。


当店は、法令どおりの店内衛生に加えて、
次世代消毒システムでできる限りのしつらえをしています。

理美容店は、厚生労働省と保健所の営業許可を受けた公衆衛生業です。
新店舗を建てるときも
設計図を持って保健所へ行きました。
換気、間仕切り、法定の空間。
いまの店は、その積み重ねです。

「床屋で新型コロナウイルスに感染する?」
そんな検索で、公式サイトへのアクセスが急増しました。

100%感染しないとは言い切れません。
ただ、理容師は刃物を肌に触れる国家資格です。
HIVや肝炎も想定した標準予防策をずっと続けてきました。

マンツーマン。
ほぼ予約制。
待合で、不特定多数と長く並ばない。

それが、当店の「いつもの」です。


マスクは理容師にとって必需品です。
顔面処置の装着は、法で定められています。

在庫をおなじみさんに分けていた頃もありましたが
すぐに店用の備蓄だけになりました。
販売はお断りし、法定の再生法など一次情報をお伝えしました。

「お店、やってる?」と電話をいただくこともありました。
はい、平常どおり営業しています、と答えました。
そのうえで、私も毎日体温を測ることにしました。
37度5分以上なら、営業を取りやめます。


3月、緊急事態宣言が出ました。

駐車場の打ち水を再開し、植栽の手入れをした日
娘の学校が休校になった知らせも届きました。
しばらく、娘は店内に入らないようにしました。

所轄官庁の答弁を受け、当店は通常営業を続けることにしました。
通常の換気、間仕切りのある椅子、
体調が優れない方はご自身の判断で遠慮を。

憶測で地域の店を疑うことはやめてほしい、とも書きました。
小さな商いは、傷が長く残ります。

全国へ非常事態が広がっても、方針は変わりませんでした。
プレシャンプーとアフターシャンプー、2回の洗髪。
妻のアトピーがきっかけで始めた「いつもの」が、
結果的に、お一人ずつ流水で手を洗う時間にもなっていました。


施術中、左指を鋏で傷つけることもあります。
年に何度か、お恥ずかしい話です。

そのときは、ディスポーサブルグローブで施術します。
傷口の保護と、血液感染の防止。
おなじみさんにも違和感は少なかった、と聞きました。

手袋の意味をもう少し深く書いた記事があります。
ここでは、感染症の年に使い続けた、という事実だけ残します。


秋には、店内トイレを少し直しました。
薬用石鹸とペーパータオル。
使ったら捨てる、が万全と考えたからです。

2023年、履き替えるスリッパの下駄箱と紫外線の消毒庫。
夏祭りのあとに、感染者が出たという話も聞きました。
3年前のブログへ、まだアクセスが集まることに驚きます。

理容店に求められるのは、医療のような滅菌ではなく減菌です。
ワンツーマンで、密にならない。
法定消毒を守る。
それ以上に過度な不安を煽ることは、私にはできません。

防げない感染に一喜一憂するより、
睡眠、食事、笑い。免疫という武器を磨く。
来店のときは、体調を必ずうかがいます。


「非常時に最も危険なものは、危険そのものより、
それを恐れる人間が起こすパニックだ」

当時も、いまも、胸に留めている言葉です。

不正確な情報に脊髄反応せず、
政府と公式の一次情報を踏まえて、
理容師としてやるべきことを粛々と。

2020年にやったことは、特別な英雄譚ではありません。
何気ない日常の、いつもの延長でした。

これからも、公衆衛生業として、
おなじみさんの「いつもの」安心を、積み重ねます。


技術だけでなく、理容師としての本音も書いています。



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白石俊之|静岡・吉田町で鋏を握り、言葉を綴る 守り神こんぺーが見守る理容白石の、小さくてあたたかい物語をお届けしています。サポートはこんぺーの幸運のコンペイトウに変わって、またあなたのもとへ戻っていきます