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知るメモ|【日経平均7万円】|なぜ約1年で4万円から急騰したのか?~海外視点で読み解く構造変化!

2026年6月、東京株式市場において日経平均株価は史上初めて7万円の大台を突破しました。
わずか1年あまり前の2025年、4万円の壁を越えたことに日本中が湧いていたのが遠い昔のようです。

失われた30年と呼ばれるデフレと経済停滞がまだ続いているかのような空気もわずかに残る中で、この「7万円」という数字はどこか現実離れした、バブルのような響きを持っているかもしれません。
しかし、現在の株価上昇は1989年の資産バブルとは根本的に性質が異なります。
今回の歴史的急騰を主導しているのは、圧倒的な資金力を持つ「海外投資家(グローバル・マネー)」です。
彼らは感情やムードで株を買いません。
冷徹な計算と明確な根拠に基づいて日本株を再評価し、資金を投じています。
なぜ、欧米やアジアの投資家はこれほどまでに日本株を買い上げているのでしょうか?

今回は、海外投資家の視点を調べ、この1年間で日経平均を4万円から7万円へと押し上げた構造変化を詳細に読み解いていきます。


まず「事実」としての数字の変遷

読み進める前に、株価の推移を整理しておきましょう。

2024年2月、日経平均株価は34年ぶりにバブル期の最高値を更新。
同年3月には史上初めて4万円の大台に乗せた。
しかし2025年4月、トランプ米政権が発動した「相互関税」ショックで相場は急変し、一時30,792円まで急落。
その後は驚異的な回復力を見せ、2025年10月に高市早苗政権が発足すると10月中に5万円を初めて突破。
11月には52,636円の新たな最高値を記録した。

2026年に入っても上昇は続き、2026年4月23日には取引時間中に初めて6万円を突破。
中東情勢の行方で上下しながらも、6月1日には約66,900円台まで上昇し、その後も最高値圏で推移。
6月17日の取引時間中に「7万円」を突破した。終値は6万9902円25銭。
そして翌18日には71000円台へ


第1章 欧米から見た「日本株の覚醒」30年越しのガバナンス革命

欧米の機関投資家が日本株に熱い視線を向けている最大の理由は、コーポレートガバナンス(企業統治)の改革です。

2023年3月、東京証券取引所はプライム・スタンダード市場の全上場企業に対し、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を要請した(東証)。
PBR(株価純資産倍率)が1倍を割り込む企業、つまり解散したほうが株主に多く還元できるという状態に対して、改善計画の策定と開示を義務づけたのである。

この「東証要請」は欧米の年金基金やヘッジファンドに大きなインパクトを与えた。
それまでの日本企業は「豊富な現金・有価証券を持ち余しているのに、ROE(自己資本利益率)は10%にも届かない」と批判され続けていた。
それが国ぐるみで変わろうとしているという事実が、長年日本株を避けてきた欧米ファンドを引き戻す引き金になった。

実際、大和アセットマネジメントのレポートによれば、2021年以降4年連続で日本株の最大の買い手となったのは事業法人(主に自社株買い)であり、2023年の東証要請以降、自社株買いが急増している。
自社株買いの累計額は2024年約18兆円、2025年に入って約13兆円と非常に強い水準が続き、TOB(公開買い付け)も2025年には約11兆円まで拡大した(野村証券)。

欧米の投資家はこうした変化を「日本企業がようやく株主の側を向き始めた」と評価する一方で、注文をつけることも忘れない。
海外投資家からは「日本企業のROEはなお10%に届かず欧米に出遅れている」「資本の配分や企業統治の改善が欠かせない」との声が上がっており、改革はまだ途上だという認識が共有されている。

それでもロンドンやニューヨークの運用会社が「日本株をアンダーウェイト(市場平均より少なめ)からオーバーウェイトへ」と転換したのは紛れもない事実であり、海外投資家の累計買越額は2026年の累計だけで約11.7兆円に達したとも報じられている。


米国視点:AI・半導体スーパーサイクルにおける「日本の不可欠性」

日経平均上昇の最大の牽引役は、米国発の「AI・半導体スーパーサイクル」です。
2020年代前半に芽生えた生成AIブームは、2025年から2026年にかけて、単なるソフトウェアの流行から「国家規模のインフラ投資」へとフェーズを移行させました。

2026年5月、米エヌビディア(NVIDIA)が公表した四半期決算は世界中の投資家を驚愕させました。
次四半期の売上高見通しを910億ドルという途方もない規模に引き上げ、AI需要が依然として底なしであることを証明したのです。

米国投資家にとって、この巨大なAIインフラ投資の恩恵を受ける市場を探したとき、最も魅力的に映ったのが日本でした。
生成AIを稼働させるには、膨大な計算能力を持つGPU(画像処理半導体)だけでなく、それを支えるCPU、DRAM、さらには冷却装置や大容量の電力網、データセンター設備など、あらゆるハードウェアが不足します。

このハードウェア供給網において、日本企業は世界的な「チョークポイント(関所)」を握っています。
たとえば、半導体テスト装置の世界的大手である「アドバンテスト」は、AI向け半導体需要の急増を背景に、2026年度の売上高見通しを1兆4,200億円、営業利益を6,275億円へと大幅に上方修正しました。
また、東京エレクトロンをはじめとする製造装置メーカーや、キオクシアホールディングスなどの電子部品メーカーも、軒並み過去最高の利益を叩き出しています。

「ゴールドラッシュで最も儲かったのは、金塊を掘った者ではなく、ピッケルとシャベルを売った者である」という投資の格言があります。
米国の機関投資家にとって、AIという現代のゴールドラッシュにおいて、日本市場は最高品質の「ピッケルとシャベル」の供給元であり、絶対にポートフォリオに組み込まなければならない不可欠な市場となっているのです。


欧州・中東視点:地政学リスクの緩和と「安全資産としての日本」

2026年春にかけての急激な株価上昇(特に4月以降の6万円台突破)を決定づけたのは、中東情勢の劇的な変化でした。

2026年6月15日、米国のトランプ大統領がイランとの停戦合意を19日に締結すると正式に表明しました。
この歴史的な合意に至る前の4月上旬の段階で、すでに米国とイランの間で水面下の交渉が進展しているとの報道が流れ、世界の投資家のリスク回避姿勢が一気に後退していた。

中東の緊張緩和、特にホルムズ海峡の安全が確保されることは、エネルギーの大部分を中東に依存する日本にとって最大級のポジティブサプライズです。
原油価格の安定は、日本の輸入コストを押し下げ、貿易収支の悪化を防ぎ、ひいては企業業績をダイレクトに改善させます。

欧州や中東の政府系ファンド(ソブリン・ウェルス・ファンド)は、地政学リスクに極めて敏感です。
停戦への期待が高まった2026年4月上旬、外国人投資家はわずか1週間の間に日本株を約3兆円も買い越しました。

世界を見渡せば、欧州はウクライナ問題の余波を抱え、米国は大統領選挙後の国内分断リスクを孕んでいます。
そうした中、政治的に安定しており、民主主義と法の支配が確立されている日本は、グローバル資金の「安全な避難港(セーフ・ヘイブン)」としての地位を確立しつつあります。


第2章 中国・韓国から見た「羨望と警戒」

アジアの隣国から日本株の急騰はどう映っているか。

中国の投資家・メディアの視点で特徴的なのは「羨望と自戒」の混在です。
JPモルガン・アセット・マネジメントのレポート(2026年2月)によれば、「日本を見習った中国や韓国の変化に世界中の投資家が注目している」とされ、中国では「過去10年で配当や自社株買いが2倍以上に増加した」という。
しかし中国本土の投資家にとっては、不動産バブル崩壊の後遺症、デフレ圧力、米中対立という「日本の1990年代」に酷似した構造問題が重なって見える。
かつて「失われた30年」の当事者だった日本が、ガバナンス改革とデフレ脱却によって復活しつつある軌跡は、中国の市場関係者にとって他人事ではないです。

韓国の状況はより能動的。
韓国政府は2024年に企業に「価値向上プラン」の策定・開示を促し、2025年には商法改正で少数株主の権利強化を図った(JPモルガンAM)。
これは日本の東証要請を露骨に模倣した政策であり、韓国ウォンベースでの株式市場の割安感(コリアディスカウントの解消)を狙ったものです。
ソウルの証券業界では「日本が証明したモデルを韓国でも実現できるか」という議論が活発で、日経平均7万円という水準は「実現可能な目標」として引用されることも多い。

一方で中韓の機関投資家の実際の行動は慎重でもある。
日本株の売買代金のうち海外投資家が占める割合は約7割(大和アセット)だが、その大半を動かすのは欧米の大規模年金・ヘッジファンドであり、中韓の資金流入は限定的とみられる。
「地政学リスクの観点から、日本・中国・韓国の株を同時に大量保有することを避けるファンドも多い」という構造が背景にある。


アジア(中国・韓国)視点:「チャイナ・オルタナティブ」としての資金流入

長年、グローバル投資家のアジア戦略における主役は中国市場でした。
しかし、不動産市場の低迷や規制リスク、さらには米国による先端半導体の輸出規制などにより、中国経済の成長鈍化は決定的となりました。

その結果、欧米の機関投資家はアジアの株式ポートフォリオにおいて「中国の比重を下げ、日本の比重を上げる(チャイナ・オルタナティブ)」という行動を一斉に取り始めた。
中国から逃避した兆円単位の莫大なチャイナマネーが、アジアにおけるもう一つの巨大で流動性の高い市場である東京証券取引所へと流れ込んでいるのです。

さらに、中国や韓国の国内投資家(富裕層や機関投資家)自身も、自国市場の低迷に見切りをつけ、日本株のETFや個別銘柄を積極的に買い越す動きもある。
特に、日本の「第一次所得収支(海外からの配当や利子などの収益)」が過去最高の黒字を記録し続けていることは、アジアの投資家にとって驚異的な事実です。
円安が進行しても、日本企業は海外で稼いだ外貨を円に転換し、莫大な利益を計上している。
この「稼ぐ力」の構造的変化が、アジア近隣諸国からの投資資金を強く惹きつけているのです。


第3章 なぜ今なのか?デフレ脱却という30年越しの「転換点」

海外投資家が日本株に殺到するもう一つの本質的な理由は、「デフレからインフレへの構造転換」です。

1990年代のバブル崩壊以降、日本経済は慢性的なデフレに苦しんだ。
物価が下がり続ける環境では、企業は値上げができず利益が伸びない。
株価は今の利益ではなく「企業の将来利益」を現在の価値として表すものであるから、利益成長が見込めない日本株は長期間にわたって割安に放置されてきた。

それが変わった。
2022年以降の世界的インフレが日本にも波及し、30年ぶりに物価が持続的に上昇し始めた。
2026年1月の実質賃金は13カ月ぶりに前年同月比プラス(1.4%増)に転じ、賃金と物価の「好循環」が生まれつつある。

東証要請や自社株買いの拡大も、インフレ環境と相まって機能した。
「現預金を積み上げておけば安全」というデフレ時代の経営論理は、「現金の実質価値が目減りするインフレ下では非効率」に転じる。
企業が現金を動かして株主還元や成長投資に充てるインセンティブが高まり、これが株価上昇の構造的な支持要因となっている。


グローバル市場の起爆剤:スペースXの「史上最大IPO」

株式市場全体の地合いを一変させたのが、2026年6月12日に実施された米宇宙開発企業「スペースX(SpaceX)」のNASDAQ新規株式公開(IPO)です。
スペースXのIPOは、公募価格135ドル、企業価値は約1兆7,500億ドル(約280兆円)という、2019年のサウジアラムコや2014年のアリババを遥かに凌ぐ、歴史上最大のIPOとなりました。
上場初日の株価は150ドル(公募価格比+11.1%)で引け、企業価値は2兆ドル(約320兆円)に達しました。

当初、市場関係者の間では「これほど巨大な上場が行われれば、市場から莫大な投資資金が吸い上げられ、需給バランスが悪化するのではないか」という強い懸念がありました。
しかし、蓋を開けてみれば、この巨大なイベントを市場が極めて無難に、かつポジティブに消化したことは、世界の投資家心理を劇的に改善させました。
「市場にはまだこれほどの巨額資金を吸収する余裕(余熱)がある」と証明されたからです。

日本の個人投資家も、SBI証券、楽天証券、みずほ証券などを通じてこの歴史的IPOに参加しましたが、より重要なのは、この米国市場での熱狂が「グローバルなリスクオン(積極投資)姿勢」を生み出し、そのまま時差を経て翌日の日本市場に波及し、日経平均7万円突破の強力な後押しとなったことです。


政策のタッグ:高市政権の「積極財政」と日銀の「金利1%」

海外投資家が最も重視する「国の基本政策」における大きな転換です。
政治と中央銀行の絶妙なバランスが、現在の株価上昇を支える強固な土台となっています。

2026年2月に本格始動した「高市内閣2.0」は、施政方針演説で「責任ある積極財政」を力強く宣言しました。
経済安全保障分野への集中的な投資や、デフレからの完全脱却を目指す成長戦略は、株式市場において「高市ラリー」と呼ばれる上昇相場(第1弾・第2弾)を生み出しました。

海外投資家は、政府が緊縮財政に陥らず、成長のための投資(インフラや先端技術への支援)を継続する姿勢を高く評価しています。
さらに、日本企業自身もインフレ経済への転換を機に、積極的な値上げ(価格転嫁)による利益率の向上と、過去最大規模の自社株買い(EPS:1株当たり利益の向上)を実施しており、「稼げない日本企業」という過去のレッテルは完全に払拭されました。

そして、株価7万円突破の直前、2026年6月15日〜16日に開かれた日銀の金融政策決定会合は、日本経済の歴史的転換点となりました。

日銀は、政策金利をこれまでの0.75%から0.25%引き上げ、「1.00%」とする追加利上げを決定しました。
政策金利が1%に達するのは、実に約31年ぶりのことです。
植田総裁が入院中という異例の事態の中、氷見野副総裁が議長を務め、賛成7、反対1(浅田委員)という採決で「金利のある世界」への本格的な回帰を宣言しました。

通常、急激な利上げは株価の下落要因(引き締め)となります。
しかし、日銀は同時に「2027年4月以降の長期国債の買い入れ減額を停止し、月間2兆円程度の買い入れを維持する」という方針を発表しました。

海外投資家は、この日銀のスタンスを「インフレを抑制しつつも、債券市場を安定させ、政府の成長戦略を阻害しない極めて高度でバランスの取れた金融政策」と絶賛しました。
事前報道で市場に織り込ませていたこともあり、サプライズによるショックは皆無。
結果として、為替の極端な円安進行に一定の歯止めをかけつつ、銀行株のみならず市場全体の安定感を生み出すことに成功したのです。


第4章 気になる「歪み」と懸念材料

急騰の裏側には、いくつかの構造的な懸念も見える。

まず「指数の歪み」です。
日経平均は株価の高い銘柄が指数への寄与度が高い「株価加重平均」という仕組みを持つ。
2026年6月1日の動きでは、東証プライム市場の全銘柄の約7割が値下がりしていたにもかかわらず、ソフトバンクGなど一部銘柄の急騰で日経平均は大幅高となった。
NT倍率(日経平均÷TOPIX)は同日に16.98倍と過去最高を更新しており、「日経平均は高いが、市場全体の銘柄が上がっているわけではない」という歪みが生じている。

次に「バリュエーション」。
2026年5月末時点で日経平均の予想PER(株価収益率)は22.1倍と高水準であり、1989年のバブル期(PER61倍)ほどではないにせよ、割高感が出始めているのは事実です。

さらに「為替リスク」も無視できない。
2026年6月時点で1ドル約159円という円安水準は輸出企業の業績を押し上げる一方で、輸入物価の高騰を通じて家計に打撃を与える。
日銀が利上げ路線に転じれば円高が進行し、輸出株が下落するリスクが常に存在する。

そして「中東リスク」。
2026年2月にイランへの攻撃が起きた後、中東情勢の緊張が市場を揺さぶった。
日本はエネルギーの大半を中東に依存しており、イランへの攻撃が収まったとしても、ホルムズ海峡を取り巻く環境の変化は日本経済に直撃する構造を持つ。


◆まとめ

1年で日経平均が4万円から7万円へと約75%も上昇した事実を前に、「いつか弾けるバブルではないか」と警戒する声があるのは当然です。
確かに、NT倍率」は16倍を超え、一部の半導体・ハイテク関連銘柄が突出して株価を押し上げている「いびつさ」を示しています。
また、日経平均の予想PER(株価収益率)も22倍を超え、割高感を示す指標も点灯しています。

しかし、野村證券をはじめとする主要機関のストラテジストたちが日経平均の見通しを「2026年末に6万3,000円〜上振れで7万円台」と相次いで上方修正した根拠は、「圧倒的な業績の裏付け」にあります。
企業による12ヶ月先の予想EPS(1株当たり利益)は直近で23%以上も上方修正されており、株価の上昇スピードに企業の稼ぐ力がしっかりと追いついているのです。

AIという不可逆的なテクノロジーの進化、中東情勢の安定化、中国からの資金逃避、スペースX上場がもたらしたグローバルな投資意欲、そして日本国内の政治・金融政策の正常化。
これら5つの歯車が完璧に噛み合った結果が、現在の日経平均7万円という「現在地」です。

私たちが長年耐え忍んできた「失われた30年」は、明確に終わりを告げ、グローバル市場の中で日本が再び「主役の一角」として評価されているこの大きなうねりを、私たちは前向きに捉え、自身の資産形成やキャリア構築に向き合っていく必要があるのではないでしょうか!


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次回は「ブルームバーグ L.P.」について少し書いていますので、お時間あれば読んでみてください。

日々の出来事から日記代わりにいろいろ書いています。
前回の記事も時間がありましたら読んでみてください。


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