宇都宮大学農学部 ― 元アドミッションコーディネータの視点で「大学が本当に求めている学生像」を読み解く ―
1. 学部概要
30秒でまとめると…
食・生命・環境を科学で支え、未来の地域と地球を育てる農学部
学べる分野
宇都宮大学農学部では、生物資源科学・応用生命化学・農業環境工学・農業経済学・森林科学の5つの分野を中心に学びます。
農作物や食品、バイオテクノロジーだけでなく、森林保全、環境問題、地域づくり、スマート農業など幅広いテーマを扱うことが特徴です。
自然科学と社会科学の両面から、「食・生命・環境」の未来を考え、持続可能な社会づくりに貢献する力を身につけます。
注目の特徴
宇都宮大学農学部の最大の特徴は、「実際の現場で学ぶ実践教育」です。
附属農場や演習林を活用した実習に加え、JAや食品企業、自治体などと連携したフィールドワークも充実しています。
また、AIやドローン、データ解析を活用したスマート農業や、バイオテクノロジーを生かした研究にも力を入れており、「昔ながらの農学」だけではない最先端の学びを体験できます。
身につく力
卒業までに、次のような力を身につけることが期待できます。
生命科学の知識 … 生物や食品、環境を科学的に理解する力
課題発見・解決力 … 農業や地域社会の課題を分析し改善する力
実験・調査・分析力 … 実験やフィールドワークからデータを読み解く力
コミュニケーション力 … 地域や企業と協力して研究・実践する力
持続可能な社会を考える力 … SDGsや環境保全を踏まえた視点
これらの力は、食品メーカー、化学・製薬企業、公務員、JA、環境関連企業、森林・農業分野など幅広い就職先で求められています。
元「中の人」のチェックポイント
「農学部=農業をする学部」と考えている人もいるかもしれないが、宇都宮大学農学部は食・生命・環境を科学で支える総合的な学部。
附属農場や演習林での実践教育を通して、教室だけでは学べない経験を積めることが大きな魅力。
また、研究で培う分析力や課題解決力は、食品・化学・公務員など多様な業界で評価される。
「自然が好き」という気持ちを、社会に役立つ専門性へと成長させられる。
2. この学部に向いている人
この学部に向いている人の概要
宇都宮大学農学部は、「農業が好きな人」だけの学部ではありません。
食や生命、環境、森林、地域社会に興味を持ち、「なぜだろう?」と考えながら実験やフィールドワークに取り組める人が大きく成長できます。
自然科学と社会科学の両方を学び、未来の社会づくりに貢献したい人に向いている学部です。
「生き物や自然が好き」が一番の才能
植物や動物、昆虫、森林など、自然に興味を持てる人は、農学部の学びを楽しめます。
大学では、観察や実験を通して「自然の仕組み」を科学的に理解していきます。
こんな人におすすめ
生物の授業が好き
自然の中で活動することが好き
動植物や環境問題に興味がある
「好き」という気持ちは大学での学びを支える大きな力になります。
将来は研究職や食品、環境、公務員など幅広い分野で活躍できる可能性があります。
「食の未来を支えたい」と思える人
毎日の食卓を支える農業や食品産業に興味がある人にも向いています。
安全でおいしい食べ物を生み出す技術や、新しい食品の開発などを学ぶことができます。
こんな人におすすめ
食べることが好き
食品開発に興味がある
食の安全について考えてみたい
食は誰にとっても欠かせないものです。
「食を支える仕事」は社会への貢献を実感しやすく、多くの企業でも求められています。
「実験や観察が好き」な人
農学部では講義だけでなく、実験や実習が数多く行われます。
自分でデータを集め、考察し、答えを導き出すことに面白さを感じる人に向いています。
こんな人におすすめ
理科の実験が好き
探究活動が楽しかった
仮説を立てて考えることが好き
実験や研究で身につく分析力は、食品・化学・製薬・公務員など多くの職業で高く評価されます。
「地域や環境をもっと良くしたい」人
宇都宮大学農学部では、地域社会や自然環境を研究のフィールドとして学びます。
農業や森林、地域資源を活用して、持続可能な社会を考えたい人にぴったりです。
こんな人におすすめ
SDGsに興味がある
地方創生に関心がある
環境保全に取り組みたい
地域課題の解決に取り組む経験は、公務員や地域企業、環境コンサルタントなど幅広い進路につながります。
「最新技術で農業を変えたい」人
現在の農業はAIやドローン、ICT、データサイエンスなど最先端技術と深く結び付いています。
「新しい技術を使って社会を変えたい」と考える人にも向いています。
こんな人におすすめ
AIやICTに興味がある
新しい技術を学びたい
社会課題を科学で解決したい
農学は伝統的な学問であると同時に、最先端技術を活用する未来志向の学問でもあります。
技術革新を支える人材として活躍できる可能性があります。
逆に向いていないかもしれない人
次のような考え方の人は、別の学部を検討した方がいいかもしれません。
「自然や実習は苦手…」という人
農学部では、実験室だけでなく農場や演習林など、屋外での実習も重要な学びの一つです。
こんな人は要注意
屋外活動が極端に苦手
実験や観察に興味がない
フィールドワークを避けたい
もちろん全てが屋外実習ではありませんが、「実際に見て学ぶ」ことを楽しめる人の方が充実した学生生活を送りやすいでしょう。
「暗記だけで勉強したい」人
農学部では知識を覚えるだけではなく、自分で考え、実験し、結果を分析する力が求められます。
こんな人は要注意
答えを覚える勉強だけが好き
データを分析するのが苦手
レポートや考察を書くことが嫌い
農学部では「なぜそうなるのか」を考えることが学びの中心です。
答えを探究することに楽しさを感じられる人ほど、大きく成長できます。
元「中の人」のチェックポイント
宇都宮大学農学部は、必ずしも「農業経験がある人」ではなく、自然や食、生命への興味を持ち、自ら観察し、考え、行動できる人を求めている。
高校時代に理科の実験や探究活動、生物・化学の学習を楽しめた人は、その経験が大学でも大きな強みになる。
「自然を未来につなげたい」という思いがあるなら、自信を持って挑戦してほしい。
3. 学びの特徴
アドミッションポリシー
宇都宮大学農学部では、次のような学生を求めています。
食・生命・環境に興味を持ち、学ぶ意欲がある人
自然科学の基礎学力を身につけている人
自ら課題を見つけ、考え、行動できる人
地域社会や世界の課題解決に貢献したい人
多様な人と協力しながら学べる人
例えば、
「生物の実験が好き」
「探究活動で地域の農業や環境を調べた」
「ニュースで食品ロスや気候変動の話題が気になる」
という人は、この学部の学びとの相性が良いでしょう。
「自然が好き」「食に興味がある」という気持ちを、科学的な視点で社会に役立てることが、宇都宮大学農学部の学びの出発点です。
カリキュラムポリシー
1年次は生物学や化学などの基礎科目を学び、農学全体の土台を固めます。
その後は学科ごとの専門科目や実験・実習、演習へと段階的に進みます。
講義だけでなく、附属農場や演習林、実験施設を活用した実践的な学びが多いことも特徴です。
高校で専門知識がなくても、基礎から積み重ねられるカリキュラムになっているため、「農学は初めて」という人でも安心して学び始めることができます。
ディプロマポリシー
卒業までに、次のような力を身につけることを目指します。
生命や環境を科学的に理解する力
実験・調査を通してデータを分析する力
課題を発見し、解決策を考える力
地域社会や産業と協働する力
持続可能な社会づくりに貢献する姿勢
これらの力は、食品メーカーや製薬・化学企業、JA、公務員、環境関連企業、森林・農業分野など幅広い職業で求められています。
社会の課題を科学的に解決できる人材を育てることが、この学部の大きな目標です。
カリキュラムの特徴
1年次
農学全体の基礎を学び、生命科学や化学、生物学などの基礎力を養います。2年次以降
生物資源科学科、応用生命化学科、農業環境工学科、農業経済学科、森林科学科それぞれの専門分野で学びを深めます。3年次
実験や実習、演習が本格化します。4年次
研究室に所属して卒業研究に取り組みます。
基礎から専門へ段階的に学べるため、自分の興味を着実に専門性へと発展させることができます。
PBL・実習
宇都宮大学農学部では、約27haの附属農場と約535haの船生演習林(塩谷町)を教育・研究のフィールドとして活用し、「現場で学び、現場で考える」実践教育を重視しています。
附属農場では、作物や果樹、野菜などを実際に栽培し、生育状況や土壌、水分、気象条件の変化を観察・記録しながら、農業の仕組みを科学的に学びます。
近年はドローンによる圃場観測、GPSや各種センサーを利用した環境計測、データ解析を活用したスマート農業についても学ぶ機会があり、「経験や勘」に頼るだけではない、データに基づく次世代の農業を体験できます。
一方、船生演習林では、森林の樹木調査、生態系の観察、水資源や土壌環境の調査、森林保全や木材利用に関する実習などを行います。
調査で得られたデータを整理・分析し、森林の管理方法や環境保全について考察するなど、研究の基礎となる力を身につけます。
これらの実習は、高校の探究学習をさらに発展させたような学びです。
「実際に育てる・調べる・測る・分析する・改善策を考える」という一連の流れを経験することで、課題発見力、データ分析力、チームで協働する力、そして科学的な思考力を養うことができます。
卒業後に食品メーカーや農業関連企業、環境コンサルタント、公務員、研究機関などで活躍するための実践力を、学生のうちから身につけられることが宇都宮大学農学部の大きな魅力です。
特色ある授業
宇都宮大学農学部の大きな特色は、最先端技術と地域課題を結び付けた実践的な学びです。
近年の農業は経験や勘だけではなく、AI・ドローン・IoT・GPS・センサー・データ解析などのデジタル技術を活用する「スマート農業」へと大きく進化しています。
授業では、これらの技術を活用した農業や環境管理について学び、作物の生育状況や土壌・気象データを分析しながら、効率的で持続可能な農業を考えます。
また、宇都宮大学農学部では、栃木県内の農業法人、JA、食品メーカー、自治体、森林組合などと連携した教育にも力を入れています。
例えば、地域農産物のブランド化、農産物の高付加価値化、スマート農業技術の導入、森林資源の有効活用など、実際の地域課題をテーマに調査や提案を行う授業があります。
学生は教室で学んだ知識を現場で試し、企業や行政の担当者と意見交換しながら課題解決に取り組みます。
これは、高校で行う探究学習をさらに専門的・実践的に発展させたような学びです。
卒業までに、専門知識だけでなく、データを読み解く分析力、現場で課題を発見する力、企業や地域の人と協働するコミュニケーション力、そして新しい価値を提案する企画力を身につけることができます。
こうした経験は、食品メーカーや化学・製薬企業、公務員、JA、環境コンサルタントなど、多様な分野で即戦力として活躍するための大きな強みとなるでしょう。
元「中の人」のチェックポイント
宇都宮大学農学部は、「教室の中だけで完結しない学び」が魅力。
なかでも附属農場や演習林での実習、企業や自治体との連携、地域を舞台にしたフィールドワークなどを通して、知識を実際の社会課題と結び付けながら学ぶことができる。
そして、アドミッションポリシーでは、現時点で専門知識が豊富な人ではなく、「自然や生命、食、環境についてもっと知りたい」という知的好奇心を持った人を求めている。
高校時代に生物や化学、探究活動を楽しんできた人はもちろん、「自然を未来につなげたい」という思いがある人にも、ぜひ挑戦してほしい。
4. 研究
主な研究分野① 生物資源・作物生産の研究
宇都宮大学農学部では、作物や果樹、野菜などの生産性向上と持続可能な農業について研究しています。
品種改良や栽培技術だけでなく、気候変動に対応した農業やスマート農業の導入など、未来の農業を支える技術開発にも取り組んでいます。
具体例
イネ・野菜・果樹の品種改良
作物の病害虫対策
スマート農業技術の開発
土壌・水管理の研究
気候変動に対応した栽培技術
「より安全で、より安定して食を支える農業」を実現する研究分野です。
主な研究分野② 生命科学・バイオテクノロジー
生物の持つ働きを利用し、食品や医療、環境分野へ応用する研究を行っています。
分子生物学や遺伝子工学、微生物利用など、生命現象を科学的に解き明かすことが特徴です。
具体例
植物・微生物の機能解析
遺伝子・ゲノム解析
発酵・微生物利用
食品機能性成分の研究
バイオテクノロジーの応用
生命の仕組みを理解し、人々の健康や産業に役立てる研究です。
主な研究分野③ 森林科学・環境保全
全国でも充実した約535haの船生演習林を活用し、森林資源や生態系、水資源の保全について研究しています。
森林を「木材生産の場」だけではなく、地球環境を支える重要な資源として捉えていることが特徴です。
具体例
森林生態系の調査
森林保全と再生
木材利用技術
水資源・土壌保全
野生生物との共生
森林が持つ多様な価値を科学的に解明し、未来へつなぐ研究です。
主な研究分野④ 農業環境・スマート農業
AIやドローン、IoT、GPS、センサーなどを活用し、農業の効率化や環境負荷の低減を目指す研究が進められています。
データサイエンスを農業へ応用する分野として注目されています。
具体例
ドローンによる生育診断
AIを活用した農業管理
環境データの解析
農業ロボット
精密農業(スマート農業)
農業とデジタル技術を融合し、新しい農業の形をつくる研究です。
主な研究分野⑤ 地域農業・農業経済
農業は「作る」だけではなく、「売る」「地域を支える」ことも重要です。
地域経済や農業経営、食品流通、地方創生などを社会科学の視点から研究します。
具体例
農業経営
地域ブランド戦略
食品流通
地方創生
農村地域の活性化
農業を地域社会や経済の視点から考え、持続可能な地域づくりを目指します。
卒業研究テーマ
宇都宮大学農学部では、4年次に研究室へ所属し、それぞれの専門分野で卒業研究に取り組みます。
研究テーマは毎年多岐にわたり、実験・フィールドワーク・データ分析を組み合わせた研究が多いことが特徴です。
テーマ例
気候変動が農作物の生育に与える影響
ドローン画像を利用した作物生育診断
機能性食品成分の分析
微生物を利用した環境浄化
森林生態系の保全と管理
木材資源の有効利用
地域ブランド農産物のマーケティング
スマート農業技術の導入効果
研究室では、自ら課題を設定し、実験や調査を通して解決策を探る経験を積みます。
宇都宮大学農学部だからできる研究
宇都宮大学農学部では、約27haの附属農場と約535haの船生演習林という恵まれた教育・研究施設を活用し、実際に作物を育て、森林を調査し、そのデータを分析する研究ができます。
さらに、地域の農業法人やJA、食品メーカー、自治体と連携した共同研究も盛んで、「現場の課題」を研究テーマにできることは宇都宮大学農学部ならではの魅力です。
元「中の人」のチェックポイント
高校生は「研究」という言葉に難しいイメージを持つかもしれないが、農学部の研究は、毎日の食事や自然環境、地域の農業など、私たちの暮らしに密接につながっている。
「なぜこの野菜はよく育つのだろう」
「森林はどうして災害を防げるのだろう」
「AIで農業はどう変わるのだろう」
といった素朴な疑問が、そのまま大学での研究テーマになる。
宇都宮大学農学部には、附属農場や演習林という"本物のフィールド"をもっている。
教室だけでは得られない本物の体験を通して、自分だけの研究に挑戦できることが、この学部ならではの大きな魅力。
5. 学生生活
男女比
2025年度の在籍学生は男性418人(47.4%)、女性464人(52.6%)です。
大学ポートレートによると、男女比はほぼ半々で、女性がやや多くなっています。
理工系学部より女性比率が高く、人文系学部ほど女性に偏らない点が特徴で、近年は食品・生命科学・環境分野への関心の高まりから女性学生も増えています。
出身地
2025年度入学生では、
①栃木県 43人
②埼玉県 26人
③茨城県 20人
④群馬県 13人
⑤宮城県 10人
と北関東を中心に学生が集まっています。
大学ポートレートでも北関東出身者が多い一方、東北・甲信越・首都圏からの入学者も見られます。
地元志向がやや強い学部ですが、全国から「食・生命・環境」を学びたい学生が集まる学部でもあります。
留学制度
宇都宮大学では交換留学や短期海外研修、語学研修などの制度を利用できます。
農学部では、海外の農業や森林管理、食品産業、環境保全などを学ぶ機会もあり、海外協定校で専門分野を学ぶ学生もいます。
さらに、農学は世界共通の課題を扱う学問です。
食料問題や気候変動、生物多様性などを海外で学ぶことで、日本との違いを比較しながら国際的な視野を養えることも農学部ならではの魅力です。
提携大学
宇都宮大学は34か国・地域、86大学と国際交流協定を結んでいます。
農学部では、アジア、ヨーロッパ、北米、オセアニアなどの協定校で交換留学や短期研修に参加できます。
海外では農業技術や森林管理、食品科学、環境保全など、日本とは異なる農業や自然環境を実際に学ぶことができ、単位認定制度を利用して留学しやすい環境も整っています。
留学支援
国際交流センターでは、留学相談、協定校の紹介、履修相談、奨学金情報の提供、留学体験報告会などを実施しています。
また、日本学生支援機構(JASSO)の海外留学支援制度や大学独自の支援制度を活用できる場合もあります。
農学部でも海外実習や研究交流を希望する学生を積極的に支援しています。
地域連携
宇都宮大学農学部では、約27haの附属農場と約535haの船生演習林を活用した実践教育に加え、JA、農業法人、食品メーカー、自治体、森林組合などと連携したPBLや共同研究を行っています。
学生は実際に作物を育てたり、森林を調査したり、ドローンやセンサーで取得したデータを分析したりしながら、地域が抱える課題の解決に取り組みます。
教室で学んだ知識を現場で試す経験を通して、課題発見力、データ分析力、企画力、コミュニケーション力など、社会で求められる実践力を身につけることができます。
元「中の人」のチェックポイント
宇都宮大学農学部の学生生活は、「教室で勉強するだけ」にはならず、附属農場や演習林、地域の企業や自治体を舞台に、実際に見て、触れて、調べて、考える経験を数多く積むことができる。
自然の中で学ぶ機会が多い一方で、AIやドローン、データ解析など最先端技術にも触れられるため、「農学は昔ながらの学問」というイメージは大きく変わるはず。
実践的な学びを楽しみながら、自分の将来につながる専門性を身につけたい高校生には、とても魅力的な環境といえる。
6. 入試方法
選抜方式
宇都宮大学農学部では、総合型選抜A(一般・特別)、学校推薦型選抜、一般選抜(前期日程・後期日程)を実施しています。
総合型選抜
調査書や自己推薦書、探究活動の実績に加え、面接やプレゼンテーションを通して、主体性や課題探究力、農学への意欲を総合的に評価します。学校推薦型選抜
学業成績に加えて面接や提出書類などから適性を評価します。一般選抜は、大学入学共通テストと個別学力検査によって基礎学力と思考力を測る方式で、学科ごとの特色に応じた選抜が行われます。
※2027年度(令和9年度)入学者選抜要項に基づいています。なお、宇都宮大学農学部は2026年度から学部改組(5学科→4学科)が行われており、2027年度入試は新学科で実施されます。
難易度
河合塾Kei-Netによると、宇都宮大学農学部(改組後4学科)の共通テスト得点率はおおむね60%台前半~70%前後で、学科によって差があります。
偏差値は47.5~52.5程度で、地方国立大学農学部の中では標準~やや高めの難易度です。
特に食品・生命科学系は人気が高く、安定して7割前後の共通テスト得点力を目標にしたいところです。
北海道・東北・関東の国立大学農学部とも十分比較対象になるレベルといえるでしょう。
教科の重要度と得点源
数学
重要度:★★★★☆
得点源:★★★★☆
共通テスト:利用あり
個別学力検査:学科により利用あり
農学では統計解析や実験データの処理、環境解析、スマート農業などで数学を活用します。
難問を解く力よりも、数学Ⅰ・A・Ⅱ・B・Cの基礎を確実に身につけることが重要です。
苦手を作らず、共通テストで安定した得点を目指しましょう。
英語
重要度:★★★★☆
得点源:★★★★☆
共通テスト:利用あり
個別学力検査:学科により利用あり
英語は海外の研究論文や最新技術を学ぶために欠かせない教科です。
大学院進学や企業研究職でも英語力が求められるため、長文読解を中心に語彙力や文法力をバランスよく身につけることが大切です。
国語
重要度:★★★☆☆
得点源:★★★☆☆
共通テスト:利用あり
個別学力検査:利用なし
農学部でもレポートや卒業研究では文章を正確に読み、自分の考えを論理的にまとめる力が必要になります。
共通テストでは現代文を中心に、安定して得点できる力を身につけておきたい教科です。
理科
重要度:★★★★★
得点源:★★★★★
共通テスト:利用あり
個別学力検査:学科により利用あり
農学部で最も重要な教科の一つです。
生物・化学はもちろん、学科によっては物理も活用します。
大学では生命科学、食品科学、環境科学などへ発展するため、高校での基礎理解がそのまま大学の学びにつながります。
社会
重要度:★★☆☆☆
得点源:★★★☆☆
共通テスト:利用あり
個別学力検査:利用なし
配点は理科や数学ほど高くありませんが、農業経済や地域政策、環境問題を考える上では地理や公民の知識も役立ちます。
共通テストでは確実に基礎点を積み重ね、総合点を伸ばす教科として活用しましょう。
情報
重要度:★★★☆☆
得点源:★★★☆☆
共通テスト:利用あり
個別学力検査:利用なし
スマート農業やAI、ドローン、環境データ解析など、現在の農学では情報活用能力が重要になっています。
共通テスト「情報Ⅰ」は入試だけでなく、大学入学後のデータ分析やICT活用にもつながるため、基本事項を確実に理解して得点源にしたい教科です。
元「中の人」のチェックポイント
宇都宮大学農学部では、理科と数学を軸にした基礎学力が合格への土台にななる。
ただし、「理系だから理科だけ頑張ればよい」というわけではなく、共通テストでは英語や国語、情報も含めた総合力が問われるため、苦手科目を作らず6~7割後半を安定して取れる力を目標にしたい。
総合型選抜や学校推薦型選抜を考える人は、探究活動や課題研究、農業・環境・生物に関する活動経験も大きなアピールになる。
大学は知識だけでなく、「食・生命・環境の未来に貢献したい」という意欲を求めているから、その思いを高校生活で育てていくことが、合格への一番の近道になる。
7. 進路
進級と留年の状況
宇都宮大学農学部は、実験・実習・演習が多い学部ですが、極端に留年しやすい学部ではありません。
一方で、実験や実習は出席やレポート提出が重視されるため、欠席や提出遅れが続くと単位取得が難しくなることがあります。
3年次以降は研究室活動も本格化するため、日頃から計画的に学習し、実験ノートやレポートを丁寧にまとめる習慣が大切です。
基礎科目を着実に積み重ねれば、多くの学生が4年間で卒業しています。
大学院進学
大学ポートレートによると、農学部は大学院進学率が比較的高い学部です。
2025年度卒業生では、卒業者約190人のうち約70人(約37%)が大学院へ進学しています。
一方で、就職を選ぶ学生も半数以上おり、就職と大学院進学の両方が盛んな学部といえます。
大学院では、生命科学、食品科学、森林科学、環境科学、スマート農業などをより専門的に研究し、研究職や技術職、高度専門職を目指す学生が多く見られます。
主な就職先
大学ポートレートによると、2025年度卒業生では就職者約110人(約58%)で、就職希望者の就職率は高い水準を維持しています。
就職先は農業分野に限らず、多岐にわたります。
食品・飲料メーカー
キユーピー
山崎製パン
フジッコ
ブルボン
日清製粉グループ
化学・医薬・バイオ
カネカ
ADEKA
各種分析・試験機関
農業・団体
全国農業協同組合(JA)
全農
種苗会社
農業法人
公務員・森林関係
農林水産省
都道府県庁(農業・林業職)
市町村職員
林野庁
森林組合
その他
環境コンサルタント
建設・インフラ関連企業
金融機関
食品・生命・環境・森林と学びの分野が幅広いため、就職先も非常に多彩です。
研究や実験で培った分析力や課題解決力は、食品メーカーや化学企業だけでなく、公務員や環境分野でも高く評価されています。
進路先の都道府県
卒業生の就職先は栃木県が最も多く、東京都、埼玉県、茨城県、群馬県など北関東・首都圏へ広く分布しています。
JAや自治体、地元企業への就職が多い一方で、大手食品メーカーや化学メーカーを目指して首都圏へ進む学生も少なくありません。
北関東という立地を生かし、「地域に貢献する進路」と「全国・世界へ活躍の場を広げる進路」の両方を選択できることが宇都宮大学農学部の強みです。
元「中の人」のチェックポイント
宇都宮大学農学部は、「就職型」と「大学院進学型」の両方の特徴を持つ。食品・化学・公務員などへ早く社会に出る学生がいる一方、研究職や技術開発職を目指して大学院へ進学する学生も多くいる。
「農学部=農家になる学部」というイメージではなく、「食・生命・環境を科学で支える専門職を目指す学部」と考えてほしい。
実験・実習・卒業研究を通して身につく分析力や課題解決力は、食品メーカー、製薬・化学企業、公務員、環境コンサルタントなど幅広い分野で活躍できる大きな武器になる。
8. 学費・生活費
学費
宇都宮大学は国立大学のため、学費は全国共通です。
入学料282,000円、授業料535,800円(年額)で、4年間の授業料は2,143,200円、入学料を含めた学費総額は約242万5千円となります(2026年度実績)。
授業料は国の制度に基づくため、改定される場合は入学時点の金額が適用されます。
追加費用
学費以外には、教科書代・実験書代(年間3~6万円程度)、白衣や長靴など実習用品、ノートパソコン(10~15万円程度)、実験器具、フィールドワークや演習林実習の交通費などが必要になります。
農学部では実験・実習が多いため、一般的な文系学部より実習用品や教材費がやや多くなることを想定しておくと安心です。
日本学生支援機構の奨学金
宇都宮大学では、日本学生支援機構(JASSO)の給付型奨学金、第一種奨学金(無利子)、第二種奨学金(有利子)を利用できます。
高等教育の修学支援新制度の対象校でもあり、家計基準などを満たせば授業料減免と併せて利用することが可能です。
大学独自の奨学金・支援制度
宇都宮大学では、宇都宮大学3C基金修学支援事業や家計急変時の緊急支援制度、留学支援制度などを設けています。
また、農学部では海外研修や研究交流に参加する学生が利用できる支援制度もあります。
経済的理由で学びを諦めることがないよう、多様な支援制度が整えられています。
授業料免除制度
宇都宮大学では、高等教育の修学支援新制度により、家計基準などを満たした学生は入学料・授業料の全額または一部免除を受けることができます。
給付型奨学金との併用も可能で、経済的負担を大きく軽減できます。
アパート相場
農学部がある峰キャンパス(宇都宮市)周辺では、学生向けアパートの家賃相場は月4.0~5.5万円程度です。
大学周辺には学生向け物件が多く、自転車で通学できる範囲にも豊富な選択肢があります。
スーパーや飲食店も多く、生活しやすい環境が整っています。
卒業までの費用シミュレーション
実家暮らし
学費:約243万円
教科書・実験用品・PCなど:約50万円
通学・昼食など:約80万円
4年間合計:約370万円前後
一人暮らし
学費:約243万円
教科書・実験用品など:約50万円
家賃(4.8万円×48か月):約230万円
生活費(食費・光熱費など):約350万円
4年間合計:約870万円前後
実験用品やフィールドワーク費用は学科によって多少異なりますが、大きな追加負担になることは少なく、留学や長期実習を希望する場合は別途費用が必要になります。
元「中の人」から保護者の方へ
宇都宮大学農学部は、附属農場や演習林など充実した教育・研究環境を持ちながら、学費は国立大学共通の水準に抑えられています。
実験や実習に伴う費用はありますが、私立大学の理系学部と比べると経済的負担は比較的少ないといえます。
また、日本学生支援機構の奨学金や授業料免除制度、大学独自の支援制度も利用できます。
さらに、卒業後は食品・化学・公務員・JA・環境関連企業など就職先の幅が広く、大学院進学という選択肢もあります。
支援制度を上手に活用することで、お子さまの「食・生命・環境を支える仕事に就きたい」という夢を現実的な進路として応援できるでしょう。
9. 入学後のサポート
リメディアル教育
宇都宮大学では、特定の「リメディアル教育」として補習授業を設けるだけではなく、1年次の基盤教育や専門基礎科目を通して、大学で必要な知識や学び方を身につけられるよう支援しています。
農学部でも、生物学・化学・数学などを基礎から学び直しながら専門分野へ進めるカリキュラムになっているため、高校で履修内容に不安がある人でも段階的に専門知識を身につけることができます。
学修支援
農学部では少人数教育を重視しており、演習や実験、研究室活動では教員との距離が近いことが特徴です。
実験データの整理やレポート作成、卒業研究などについてもきめ細かな指導を受けることができます。
学びを通して、課題発見力、論理的思考力、プレゼンテーション力、チームで協働する力を自然に身につけられる環境です。
取得できる資格
学科によっては高等学校教諭一種免許状(農業・理科)や中学校教諭一種免許状(理科)などの教員免許取得を目指すことができます。
また、学芸員や樹木医補(森林科学分野)などの資格取得に対応した科目も開講されています。
さらに、在学中に危険物取扱者や毒物劇物取扱責任者など、農業・食品・化学分野で役立つ資格に挑戦する学生も多くいます。
資格取得サポート
教職課程では履修指導や教育実習、教員採用試験対策などのサポートを受けられます。
また、キャリアセンターでは公務員試験対策講座や就職支援講座も実施しています。
研究室では実験技術や分析機器の操作方法なども丁寧に指導され、資格取得だけでなく、企業で求められる専門技術や研究能力も身につけることができます。
キャリア・就職支援
宇都宮大学では1年次からキャリア教育を実施し、キャリアセンターによる個別相談、履歴書・エントリーシート添削、模擬面接、合同企業説明会、インターンシップ支援などを利用できます。
農学部では食品メーカーやJA、自治体、環境関連企業などとのつながりも強く、研究室単位で企業との共同研究やインターンシップに参加する機会もあります。
ICT・図書館サポート
峰キャンパスでは学内無線LANや情報教育環境が整備されており、レポート作成やデータ解析、オンライン授業にも対応しています。
附属図書館では生命科学、食品科学、森林科学、環境科学などの専門書や電子ジャーナルを利用できるほか、統計ソフトや学術データベースも活用でき、卒業研究や実験データの分析に役立ちます。
学生相談・生活支援
学生なんでも相談窓口、保健管理センター、学生相談室では、学習・進路・生活・健康・メンタルヘルスなど幅広い相談に対応しています。
また、奨学金や授業料免除など経済的支援についても相談できます。
一人暮らしの学生も安心して大学生活を送れるよう、全学的なサポート体制が整っています。
学生寮
宇都宮大学には学生寮が整備されており、自宅からの通学が難しい学生が利用できます。
民間アパートと比べて住居費を抑えられることに加え、全国各地から集まる学生との交流を深められる点も魅力です。
遠方から進学する学生にとって、生活面・経済面の両方で心強い選択肢となっています。
その他学生サポート体制
農学部ならではの特徴として、約27haの附属農場と約535haの船生演習林を活用した実習環境があります。
教室だけではなく、本物の農地や森林で学びながら、教員や技術職員のサポートを受けて実験・調査を進められることは、全国の農学部の中でも大きな魅力です。
また、地域の農業法人やJA、食品メーカー、自治体との共同研究やプロジェクトに参加できる機会も多く、学生のうちから実社会との接点を持つことができます。
元「中の人」のチェックポイント
宇都宮大学農学部では、1年次から基礎科目を丁寧に学び、少人数教育や研究室でのきめ細かな指導を受けながら専門性を高められる。
さらに、附属農場や演習林という全国でも恵まれた教育環境があり、教室だけでは得られない実践的な経験を積める。
キャリアセンターや学生相談室など全学的な支援も充実しているため、「理系の勉強についていけるかな」「実験が難しそう」と困ったときは一人で悩まず大学のサポートを積極的に活用しよう。
その経験が、4年間の成長と将来の進路につながる大きな力になる。
10. この学部を一言で表すと?
食と生命を科学し、未来の地球を育てる
宇都宮大学農学部は、農業だけを学ぶ学部ではありません。
食料生産、生命科学、森林、環境、地域社会までを幅広く学び、「食・生命・環境」を科学の力で支える総合農学部です。
約27haの附属農場や約535haの船生演習林を舞台にした実践教育、AIやドローンを活用したスマート農業、地域や企業と連携した課題解決型学習を通して、社会で活躍できる実践力を養います。
卒業後は食品メーカーや化学・製薬企業、公務員、JA、森林・環境分野など、多彩な進路が広がっています。
この学部に向いている人
次のような人は、宇都宮大学農学部で大きく成長できるでしょう。
自然や生き物が好きな人
動植物や森林など、自然に触れながら学ぶことを楽しめる人。食の未来に貢献したい人
食品開発や農業、食の安全などに興味を持ち、社会を支えたい人。実験や探究活動が好きな人
自分で調べ、実験し、データを分析することに面白さを感じる人。地域や環境をより良くしたい人
地域課題や環境問題を科学的な視点から解決したい人。最新技術にも興味がある人
AIやドローン、データサイエンスを活用した新しい農業や環境研究に挑戦したい人。
「自然が好き」という気持ちを、「社会を支える専門性」へと育てられるのが宇都宮大学農学部です。
元「中の人」から伝えたいこと
宇都宮大学農学部のアドミッションポリシーから伝わってくるのは、「農業経験がある人」を求めているのではなく、自然や生命、食、環境に興味を持ち、自ら学び、考え、行動できる人を求めているということです。
高校生活では、生物や化学、数学を大切にしながら、探究活動や実験、地域活動などに積極的に取り組んでみてください。
身近な自然や食について「なぜだろう」と考える経験が、大学での研究につながります。
大学では、附属農場や演習林での実習、地域や企業との共同研究、AIやドローンを活用したスマート農業などを通して、社会課題を解決する力を身につけます。
卒業後は食品メーカー、化学・製薬企業、公務員、JA、森林・環境関連企業、研究機関など幅広い分野で活躍できます。
「食べること」「自然を守ること」を仕事にしたい人にとって、夢を実現できる学部です。
この学部を一言で表すと?
食と生命を科学し、未来の地球を育てる
宇都宮大学農学部は、「自然が好き」という気持ちを、「社会を支える力」へと成長させてくれる学部です。
附属農場や演習林という本物のフィールドで学び、AIやドローンなど最先端技術も活用しながら、食・生命・環境の未来を考えることができます。
ここで身につける課題発見力、科学的思考力、実践力は、食品メーカーや研究機関、公務員、環境分野など、さまざまな仕事で大きな武器になります。
「自然のために何かしたい」「食で社会に貢献したい」という思いは、宇都宮大学農学部で大きな可能性へと育っていきます。
勇気を持って、その一歩を踏み出してください。
11. 参考リンク集
宇都宮大学の他の学部が気になる方は、こちらからご覧ください。
地域デザイン科学部
国際学部 (2026.7.31)
データサイエンス経営学部 (2026.7.21)
共同教育学部
工学部
農学部
【農学】農学・水産学
鹿児島大学農学部 (2026.7.16)
鹿児島大学水産学部 (2026.7.16)
山形大学農学部 (2026.7.27)
高知大学農林海洋科学部 (2026.7.30)
静岡大学農学部 (2026.7.31)
