佐賀大学コスメティックサイエンス学環 ― 元アドミッションコーディネータの視点で「大学が本当に求めている学生像」を読み解く ―
1. 学部概要
30秒でまとめると…
化学と生物を軸に、化粧品の開発から安全性、デザイン、販売まで科学する国公立大学初の学環。
学べる分野
化粧品の成分や原料が肌や体に与える影響を、化学・生物学を中心に学びます。
有機化学、生化学、皮膚科学、微生物学、毒性学などに加え、製品開発、品質・安全性評価、マーケティング、デザイン、知的財産まで、化粧品が生まれて消費者に届くまでを幅広く扱います。
注目の特徴
理工学部と農学部の教員や施設を活用する、学部横断型の教育が特徴です。
低学年から実験に取り組み、PBLでは原料の調査や化粧品の試作などに挑戦します。
佐賀県や地域企業との産学官連携、企業インターンシップを通じて、講義で得た知識を開発やものづくりに結び付けます。
身につく力
化粧品の成分を化学・生物学の視点で理解する力
有効性や安全性を科学的に分析・評価する力
チームで製品を企画し、課題を解決する力
開発・製造、品質管理、安全性評価など、化粧品・化学・食品関連企業の技術系職種につながる力を養います。
元「中の人」のチェックポイント
「コスメ」という名称でも、学びの中心は化学と生物。
理工学部・農学部の教育資源を利用し、実験やPBLで実践力を伸ばせる点は魅力。
一方、2026年開設のため就職実績はまだないが、業界への期待と実績を分けて考え、カリキュラムが希望職種に合うか確認しよう。
2. この学部に向いている人
この学部に向いている人の概要
化粧品への興味を入り口に、化学や生物を深く学びたい人に向いています。
成分の働きや安全性を科学的に考え、実験やチーム活動を通じて、化粧品・化学関連産業に貢献したい人と相性のよい学環です。
「好き」を科学の言葉で解き明かしたい人
化粧品の成分表示を読むのが好き
クリームや乳液が混ざる仕組みに興味がある
肌と化粧品の関係を科学的に知りたい
単に化粧品を使うだけでなく、「なぜ効果が期待できるのか」「安全性をどう確かめるのか」を追究したい人に適しています。
将来、研究開発や品質管理、安全性評価などに携わりたい人の関心を、専門性へと育てられます。
化学と生物を武器にしたい人
化学反応や物質の性質を考えるのが好き
細胞や微生物、人体の仕組みに関心がある
高校の化学・生物を実生活に役立てたい
有機化学、生化学、微生物学、皮膚科学などを学ぶため、理科への興味と基礎学力が重要です。
化粧品をテーマに化学と生物の両方を学び、原料開発、製品開発、分析、品質・安全性評価などの技術系職種を目指したい人に向いています。
実験と試行錯誤を楽しめる人
実験結果を記録して原因を考えられる
失敗しても条件を変えて再挑戦できる
化粧品の試作や成分分析を体験したい
学環では低学年から実験に取り組み、PBLでは成分調査や化粧品の試作などに挑戦します。
思いどおりにならない結果も学びとして受け止め、改善を重ねられる人に適しています。
製造や研究開発の現場で求められる、粘り強い検証力につながります。
科学とアイデアを製品に結び付けたい人
新しい化粧品の企画を考えるのが好き
消費者の悩みを製品で解決したい
科学だけでなくデザインや市場にも興味がある
化学・生物だけでなく、マーケティング、デザイン、知的財産なども学べる点が特徴です。
科学的根拠を土台に、誰にどのような価値を届けるかまで考えたい人に向いています。
技術と消費者視点をつなぐ商品企画や開発職にも生かせる学びです。
仲間や企業と一緒に成長したい人
グループで意見を出し合うことが好き
自分の考えを相手に分かりやすく伝えたい
企業や地域と関わる実践的な学びに興味がある
PBLや実験、インターンシップでは、周囲と協力して課題に取り組む姿勢が求められます。
専門知識だけでなく、異なる考えをまとめる力や発信力も磨きたい人に適しています。
企業での研究開発や製品づくりはチームで進めるため、協働する力が将来の強みになります。
逆に向いていないかもしれない人
次のような考え方の人は、別の学部を検討した方がいいかもしれません。
「コスメが好き」だけで理科を避けたい人
化学式や計算には取り組みたくない
実験やレポートをできるだけ避けたい
メイク技術や美容実技を中心に学びたい
名称から美容やメイクの実技を想像しやすいものの、学びの中心は化学と生物です。
有機化学や生化学、分析化学などにも向き合う必要があります。
美容技術そのものを身につけたい場合は、美容系専門学校など別の進路の方が希望に合う可能性があります。
進路や資格の確実性を最優先したい人
国家資格の取得を大学選びの第一条件にしたい
卒業生の就職先を見てから進学を決めたい
決められた仕事に直結する課程を希望している
この学環は2026年開設のため、卒業生の就職・進学実績はまだありません。
また、薬剤師など特定の国家資格取得を目的とする課程でもありません。
新しい分野を自ら開拓する姿勢より、資格や過去の実績を重視する人は、他学部とも慎重に比較しましょう。
元「中の人」のチェックポイント
コスメへの関心に、化学・生物を学ぶ意欲と、実験を続ける粘り強さが加われば十分な志望理由になる。
新しい学環だからこそ、前例を待つのではなく、自分が最初の実績をつくるという気持ちで挑戦してみよう。
3. 学びの特徴
アドミッションポリシー
化粧品や関連産業に強い興味を持っている
国語・英語などを含む幅広い基礎学力がある
数学・理科を使って科学的に考えられる
化学と生物の知識を深める意欲がある
仲間と協力し、課題に主体的に取り組める
例えば、成分表示を見て「どのような働きがあるのだろう」と調べたり、実験結果が予想と違っても原因を考え直したりできる人です。
コスメへの関心を出発点に、科学と社会の両面から課題を解決したい学生を求めています。
カリキュラムポリシー
教養、英語、情報などから始まり、化学・生物の基礎、コスメの専門科目、実験、PBL、インターンシップ、卒業研究へと段階的に学びます。
全学生に指導教員が付き、学習記録を活用して履修や学修を支援する仕組みもあります。
高校段階ですべてを理解している必要はありませんが、数学・化学・生物の基礎を大切にし、入学後も自ら学び続ける姿勢が必要です。
ディプロマポリシー
化学・生物を土台とした専門知識を身につける
必要な情報を集め、分析して考察する
日本語や英語で考えを伝え、発表する
仲間と協力して課題の発見・解決に取り組む
多様な価値観を理解し、倫理的に行動する
卒業後は、科学的根拠と社会的責任を意識しながら、化粧品の研究開発、製造、品質管理、安全性評価などに貢献できる職業人を目指します。
カリキュラムの特徴
1年次
教養と数学・物理・化学・生物の基礎を固め、コスメティックサイエンスの全体像を学びます。
2年次
有機化学、生化学、皮膚科学、コスメ開発論や実験へ進みます。
3年次
機器分析、微生物学、毒性学など専門性を高め、実験やインターンシップにも取り組みます。
4年次
卒業研究で学びを統合します。
学内でコースに分かれず、理学系・農学系・周辺分野を横断して学ぶ構成です。
PBL・実習
コスメティックサイエンスPBLでは、成分を調べたり、指定された素材で化粧品や香りを試作したりする課題にグループで挑戦します。
高校の探究学習を、商品開発に近い形へ発展させるイメージです。
実験Ⅰ~Ⅳ(実験Ⅰが基礎技能、Ⅱが化粧品に直結する分析、Ⅲが複数分野の応用、Ⅳが卒業研究への準備)や企業インターンシップを通じ、知識を実際に使う力も養います。
企業インターンシップS:佐賀県内企業によるキャリア教育や企業研修に参加し、企業から提示された課題への企画提案や共同制作に取り組む
企業インターンシップL:化学関連企業で就業体験を行い、企業研究や情報収集、振り返りを通して、企業分析力・自己分析力・表現力を養う
特色ある授業
「コロイド・界面化学」では、水と油が乳液やクリームとして混ざる仕組みを科学的に解明します。
「コスメ開発論」では、乳液、リップ、パウダーなどの成分や処方、製品設計を学びます。
このほか、肌の構造や紫外線の影響を扱う「皮膚科学」、原料を調べる分析機器の原理を学ぶ「機器分析学」、自然由来成分を扱う「天然物化学」もあります。
マーケティングやデザイン、知的財産、倫理まで学ぶことで、研究成果を安全で魅力ある製品として社会へ届ける視点が身につきます。
元「中の人」のチェックポイント
基礎から専門へ進み、PBL、実験、インターンシップ、卒業研究へつながるため、「知る」だけでなく「試して確かめる」学びが中心。
コース分岐がない分、化学・生物から皮膚科学、商品開発、マーケティングまで幅広く向き合う。
大学が求めているのは、入学時からコスメに詳しい人ではなく、身近な疑問を科学的に考え、失敗しても仲間と試行錯誤できる人。
その好奇心があれば、専門知識は入学後に段階的に伸ばせるだろう。
4. 研究
主な研究分野①:肌に「届ける・とどめる」を科学する
有効成分が皮膚へ浸透・吸収される仕組み
皮膚のバリア機能と成分の関係
乳液やクリームの乳化構造と安定性
ドラッグデリバリーシステムの化粧品への応用
成分は、肌に塗れば必ず内部へ届くわけではありません。
皮膚表面にとどめるのか、必要な場所まで届けるのかを考え、コロイド・界面化学や皮膚科学の視点から製品を設計します。
効果と安全性を両立する処方開発につながる研究分野です。
主な研究分野②:新しい化粧品原料を見つけ、つくる
植物や農林水産物からの有用成分探索
ハーブ、果物、薬用植物などの美容機能評価
香りや保湿成分など有機化合物の研究
紫外線カット材や色素に使われる無機材料の研究
天然物化学、有機合成化学、生物無機化学などを組み合わせ、新しい原料の可能性を探ります。
佐賀・唐津の地域素材を対象に、成分の抽出や構造解析、安全性・有効性の確認を経て、原料化や商品化へつなげられる点も特徴です。
主な研究分野③:成分と品質を正確に「測る」
化粧品に含まれる有効成分の分離・定量
原料や製品の化学組成・分子構造の解析
乳化構造、安定性、塗布感の科学的評価
皮膚の水分量、油分、弾力性、pHの測定
分析化学や溶液化学を基盤に、FTIR、アミノ酸分析装置、示差走査熱量計などを使って、目に見えない成分や変化を数値化します。
製品の品質と安全性を科学的根拠で支える、研究開発・品質管理に欠かせない分野です。
主な研究分野④:細胞・微生物・生体反応から安全性を考える
皮膚に存在する微生物の観察・分析
化粧品を汚染する微生物と防腐成分の研究
細胞や三次元培養皮膚モデルによる素材評価
化学物質に対する生体反応や生理活性の測定
生化学、分子生物学、微生物学、毒性学などを通じ、成分が細胞や人体へ与える影響を調べます。
「効果があるか」だけでなく、「安全に使い続けられるか」を検証する研究であり、安全性評価や機能性研究を担う人材につながります。
主な研究分野⑤:地域・企業・情報技術を研究につなぐ
佐賀県産天然素材を活用した原料開発
化粧品関連企業との共同研究
原料探索から細胞評価、製品化までの検討
AI・統計学を活用した化粧品情報の分析
佐賀県、唐津市、企業、ジャパン・コスメティックセンターなどと連携し、社会や企業が抱える課題を研究テーマへ発展させます。
研究室の中だけで完結せず、消費者保護、地域産業、国際市場まで視野に入れられる実践的な研究環境です。
卒業研究テーマ
学環は2026年4月開設のため、2026年7月現在、学環生による卒業研究題目はまだ公表されていませんが、教員の専門分野や実験科目から考えられるテーマ例は次のとおりです。
乳液・クリームの乳化条件と安定性の評価
有効成分の皮膚浸透とバリア機能の関係
佐賀県産植物に含まれる美容機能性成分の探索
化粧品中の成分を測定する分析方法の検討
皮膚微生物と化粧品の抗微生物性の研究
AI・統計解析を用いた化粧品安全情報の分析
実際のテーマは、3年次の実験Ⅳで希望する指導教員の下、卒業研究に近い研究を経験したうえで設定されます。
佐賀大学コスメティックサイエンス学環だからできる研究
佐賀大学の強みは、化粧品を一つの製品として見るのではなく、
「原料を探す」
「成分を分析する」
「肌への働きや安全性を確かめる」
「処方を考える」
「社会へ届ける」
という流れを横断して研究できることです。
①6学部の専門性を、化粧品というテーマで結び付ける
研究の土台となるのは、理工学部と農学部の化学・生物学です。
そこに医学部の皮膚・人体に関する知識、芸術地域デザイン学部のデザイン、経済学部のマーケティングなどを組み合わせます。
例えば、植物由来成分を見つけるだけでなく、肌への作用、安全性、製品の安定性、消費者への伝え方まで、一つの研究を多方向から発展させられます。
②地域素材を、化粧品原料へ育てられる
佐賀県や唐津市は、地域の農林水産物や未利用資源を生かしたコスメ産業の育成を進めています。
佐賀大学も唐津キャンパスや化粧品科学共同研究講座を拠点に、地産天然素材の探索、試験的な原料製造、細胞評価、製品化に向けた研究を重ねてきました。
地域にある植物や食品素材を「美容に役立つ原料にできないか」と考え、成分の抽出から機能性評価まで取り組めるのが特色です。
③肌への効果を、感覚ではなく数値で確かめる
皮膚機能測定装置、アミノ酸分析装置、示差走査熱量計、FTIR、高圧乳化機など、化粧品の研究に直結する機器が整備されています。
肌の水分量や弾力性、角層のアミノ酸、原料の化学組成、乳化状態などを測り、「しっとりした気がする」ではなく、科学的なデータとして効果や品質を検討できます。
研究開発だけでなく、品質管理や安全性評価にもつながる視点です。
④企業の課題を、研究テーマに変えられる
佐賀県、唐津市、ジャパン・コスメティックセンター、化粧品関連企業との連携基盤があります。
共同研究は2015~2024年度に29件締結されており、学環設置前から研究の蓄積があります。
企業が抱える原料、製造、品質、安全性などの課題を知り、PBL、インターンシップ、卒業研究へ発展させられる可能性があります。
研究室内で完結せず、研究成果を製品や地域産業へつなげる過程まで意識できます。
⑤少人数で、研究の入口から卒業研究まで進める
定員は30人です。
実験Ⅰ~Ⅳでは、器具操作や滴定から始まり、成分分析、乳化、微生物検査、生理活性測定へ進みます。
実験Ⅰ:器具の扱い、秤量、滴定、化合物の精製、実験ノート・レポート作成
実験Ⅱ:成分の分離・分析・定量、乳化やコロイドの作製、皮膚微生物の観察、化粧品の抗微生物性評価
実験Ⅲ:化学合成、材料物性、成分分析、生理活性測定、微生物分析などをグループで経験
実験Ⅳ:希望する指導教員を選び、実験計画を修正しながら卒業研究に近いテーマを継続的に研究
実験Ⅳでは希望する指導教員の下で、卒業研究に近いテーマを継続的に研究します。
大学の設置資料では、卒業研究は基幹教員1人当たり3人程度を担当する想定で、徹底した少人数による専門的な指導が計画されています。
こうした希少性と実践性が、人気を集めた背景と考えられます。
開設前の説明会には全国31都道府県から321人が参加し、高校生参加者の約85%が女子でした。
初年度入試では、前期18人に132人、後期5人に128人、総合型選抜Ⅱの7人に120人が志願しています。
「コスメが好き」という身近な関心を、化学・生物学を基盤とした研究や職業へ結び付けられること、国公立大学で専門的に学べる希少性、少人数教育、企業・自治体との距離の近さが重なったことが、高い注目につながったとみられます。
元「中の人」のチェックポイント
コスメの研究は、製品を試作するだけではなく、なぜ水と油が混ざるのか、成分は肌のどこまで届くのか、植物にどんな物質が含まれるのか、安全性をどう証明するのかなど、身近な疑問が研究の入口になる。
化学が好きなら成分合成や分析、生物が好きなら細胞や微生物、地域課題に関心があれば天然素材の開発に挑戦できる。
「不思議だから調べたい」という気持ちを社会に役立つ研究へ育てられる。
5. 学生生活
男女比
1期生30人の内訳は、男子2人(6.7%)、女子28人(93.3%)です。
※ 大学ポートレートには学環単独のデータがまだ掲載されていないため、サガテレビの大学取材による数値を参考にしました。
化学・生物系は理系の中では女性が比較的多い傾向がありますが、本学環の女性比率は特に高くなっています。
出身地
大学ポートレートでは、学環単独の出身県トップ5は未公表です。
大学取材によると、1期生は福岡県が12人(40.0%)で最多、佐賀県は2人(6.7%)。
大阪府、和歌山県、長崎県などからの入学者も確認でき、地元中心というより、県外から学生が集まる全国型の学環といえます。
留学制度
学環独自の留学制度は公表されていませんが、学環生も佐賀大学の全学留学制度を利用できます。
交換留学では、協定校に1学期間または1年間在籍し、休学せずに学ぶことが可能です。
留学先で修得した単位は、学環での審査を経て卒業単位として認定される場合があります。
提携大学
佐賀大学は、2026年5月現在、海外大学等と大学間76件、部局間46件、計122件の学術交流協定を結んでいます。
協定先は韓国、中国、台湾、東南アジア、欧州、北米などに広がります。
学生交流の対象校では、専門科目や語学、現地文化を学ぶ交換留学のほか、夏季・春季の短期研修に参加できます。
留学支援
国際交流推進センターでは、留学相談、協定校資料や体験報告の閲覧、語学教材の貸出し、オンライン英会話などを用意しています。
交換留学者は、JASSOの給付型奨学金や大学・校友会の海外派遣奨励金の候補になる場合があります。
制度や支給額は年度によって変わるため、募集時の確認が必要です。
地域連携
佐賀県、唐津市、ジャパン・コスメティックセンター、地域企業と連携し、県産の農林水産物や天然素材を生かした化粧品原料の探索・開発に取り組みます。
PBLでは企業課題への企画提案や共同制作、インターンシップでは県内企業での研修や化学関連企業での就業体験を行います。
地域の素材を調べ、分析し、製品化を考える過程を通じて、課題設定力、協働力、企業分析力を養えます。
元「中の人」のチェックポイント
1期生は大多数が女性であるものの、学びの対象や入学資格に性別は関係ない。
また、佐賀県出身者は2人だけで、多くが県外から集まっているのも特徴的で、新しい土地での生活に不安があっても、周囲にも同じ立場の学生が多い環境。
全学生に指導教員が付く学修支援に加え、全学の留学制度や地域・企業との交流機会も利用できる。
性別や出身地より、コスメを科学的に学びたいという意欲を大切にしよう。
6. 入試方法
選抜方式
募集は総合型選抜Ⅱ7人、一般選抜前期18人、後期5人です。
学校推薦型・中期日程はありません。
総合型Ⅱは共通テスト475点と書類25点で判定し、面接・小論文は実施しません。
前期は共通テスト575点、個別の化学200点、特色加点25点。
後期は共通テスト470点、個別は数学・化学から高得点1科目を200点換算し、特色加点30点で判定します。
難易度
河合塾Kei-Netの2027年度ボーダーは、前期が共通テスト得点率64%・偏差値50.0、後期が得点率66%・偏差値55.0です。
地方国公立大学の理系としては標準からやや高めで、佐賀大学農学部前期の55%・45.0を上回ります。
初年度の高倍率も踏まえると、ボーダーを超える余裕が必要です。
各教科の重要度と得点源
数学
重要度:★★★★☆
得点源度:★★★★☆
共通テスト:利用あり/個別学力検査:後期で利用あり
前期・後期とも共通テストで100点。
後期は個別試験で数学または化学を受験でき、2科目受験した場合は高得点科目が採用されます。
後期で数学を選ぶ受験生には最重要教科となるため、典型問題を確実に処理する力を伸ばしましょう。
英語
重要度:★★★☆☆
得点源度:★★★★☆
共通テスト:利用あり/個別学力検査:利用なし
各方式で共通テスト英語100点を利用し、リーディング75点、リスニング25点に換算します。
個別試験はありませんが、外部検定の成績を共通テスト英語の得点として利用できる制度があります。
早めに資格を取得すれば、安定した得点源になります。
国語
重要度:★★★☆☆
得点源度:★★★☆☆
共通テスト:利用あり/個別学力検査:利用なし
前期・後期、総合型Ⅱのすべてで共通テスト国語を100点に換算して利用します。
理系学環でも国語を捨てることはできません。
現代文の根拠確認と古文・漢文の基礎知識を固め、理科や数学で失敗した場合にも支えとなる得点を確保しましょう。
理科
重要度:★★★★★
得点源度:★★★★★
共通テスト:利用あり/個別学力検査:前期は化学、後期は化学を選択可能
前期は共通テスト理科2科目200点に加え、個別試験の化学が200点で、最大の比重を占めます。
後期は共通テスト理科1科目100点で、個別では化学も選択可能です。
学環の専門とも直結するため、前期志望者は化学を最優先で仕上げる必要があります。
社会
重要度:★★☆☆☆
得点源度:★★★☆☆
共通テスト:利用あり/個別学力検査:利用なし
共通テストで地理歴史・公民から1科目を利用し、50点に換算します。
配点は高くありませんが、必要科目を受験していなければ出願資格を満たせません。
早めに得意科目を決め、教科書と資料集、共通テスト形式の演習で安定して得点しましょう。
情報
重要度:★☆☆☆☆
得点源度:★★★☆☆
共通テスト:利用あり/個別学力検査:利用なし
「情報Ⅰ」を前期・総合型Ⅱでは25点、後期では20点に換算します。
配点は小さいものの、未受験は出願資格に関わります。
用語、情報モラル、データ活用、アルゴリズムを一通り押さえれば得点を安定させやすく、最後まで取りこぼしたくない教科です。
元「中の人」のチェックポイント
一般選抜前期日程は「共通テストで逃げ切る入試」ではなく、個別学力検査の化学200点が合否を大きく左右する。
共通テストでは理科2科目を軸に、数学・英語・国語を安定させ、社会と情報では失点を抑えたい。
後期日程は数学と化学の両方を受験し、高得点科目を採用してもらう戦略も有効。
総合型前抜Ⅱも配点の95%が共通テストなので、書類だけで逆転する方式ではない。
まずは共通テストで7割前後を目標にし、前期は化学を明確な得点源にすることが合格への近道となる。
7. 進路
進級と留年の状況
2026年開設のため、進級率や留年者数はまだ公表されておらず、「留年しやすい学環」とは判断できません。
ただし、卒業には124単位が必要で、有機化学、生化学、実験Ⅰ~Ⅳ、卒業研究など段階的に続く科目があります。
実験は出席、操作、実験ノート、レポートまで含めて評価されるため、欠席や提出遅れを避け、1年次から化学・生物の基礎を確実に身につけることが重要です。
大学院進学
学環は卒業生をまだ輩出していないため、大学ポートレートに進学者数・進学率はありません。
進学先としては、佐賀大学大学院の先進健康科学研究科、理工学研究科、農学研究科などが想定されています。
化粧品科学、皮膚への成分浸透、機能性素材、分析化学、生化学などを深め、化粧品・化学・食品メーカーの研究開発職を目指す進路です。
主な就職先
2026年7月現在、学環独自の就職者数、就職率、業種別・職種別人数は大学ポートレートに掲載されていません。
大学が想定する主な進路は、化粧品メーカー、化粧品関連のスタートアップ、原料・化学メーカー、食品・飲料メーカー、自治体の産業振興部門などです。
職種は研究開発、製品開発、処方設計、品質管理、安全性評価、商品企画、マーケティングなどが考えられます。
大学公式サイトには資生堂、コーセー、ファンケル、アルビオン、東洋ビューティなどが「佐賀大学の過去の求人・就職実績企業」として掲載されていますが、学環卒業生の就職先ではありません。
科学と消費者視点を横断して学ぶことが、技術職から企画職まで進路を広げる強みです。
進路先の都道府県
卒業生がいないため、大学ポートレートに学環の就職先都道府県データはありません。
佐賀県内ではコスメ関連企業の進出や産学官連携が進み、地域企業や自治体で学びを生かす道があります。
一方、国内の主要化粧品・原料メーカーは関東、関西、東海などにも多いため、進路は佐賀県内に限定されず、全国型になる可能性があります。
元「中の人」のチェックポイント
現段階では、就職型か大学院進学型かを実績で判断できないが、品質管理、製造、商品企画などは学部卒、専門性の高い研究開発職は修士修了が有利になる傾向がある。
まず4年間で実験・分析・PBLを経験し、研究を続けたいか、早く現場で製品づくりに関わりたいかを見極める学環と考えよう。
コスメ業界を目指す場合も、企業名だけでなく希望職種から逆算して進学を判断することが大切。
8. 学費・生活費
学費
入学料は28万2,000円、授業料は年53万5,800円です。
初年度は計81万7,800円、2年次以降は各53万5,800円です。
現行額が4年間変わらない場合、入学から卒業までの納付額は計242万5,200円です。
追加費用
学費以外に、教科書・参考書、ノートパソコン、白衣、保護眼鏡、実験用品、学生保険、通学費などが必要です。
PBLやインターンシップ、学外実習では、交通費や宿泊費が発生する可能性もあります。
具体的な教材費・実験費は公表されていないため、入学案内や各授業の指示を確認しましょう。
日本学生支援機構の奨学金
佐賀大学では、日本学生支援機構の返済不要の給付奨学金と、返済が必要な第一種・第二種奨学金を取り扱っています。
高校在学中の予約採用と、大学入の在学採用があり、家計急変時の申請制度も利用できます。
大学独自の奨学金・支援制度
「かささぎ奨学金」は返済不要で、年30万円を原則4年間給付します。
コスメティックサイエンス学環では、一般選抜前期の成績優秀者1人が採用予定です。
また、家計維持者の失業や死亡、災害などで修学が困難になった学生には、校友会の緊急支援奨学金5万1,000円があります。
授業料免除制度
日本学生支援機構の給付奨学金と連動する「高等教育の修学支援新制度」があり、支援区分に応じて入学料・授業料の全額、3分の2、3分の1が免除されます。
多子世帯として認定された学部生は、所得にかかわらず授業料等全額免除の対象です。
アパート相場
学環が学ぶ本庄キャンパス周辺では、ワンルーム・1Kを中心に月3万~5万円台の物件が見つかります。
ちなみに、SUUMO学生版が示す佐賀駅周辺の相場は約4万4,000円です。
家賃以外に共益費、敷金・礼金、仲介手数料、保証料、火災保険、家具・家電代も見込む必要があります。
卒業までの費用シミュレーション
現行学費が4年間続く場合の概算です。
実家暮らし:約427万円
学費243万円+教材・PC等40万円+交通・昼食・日用品月3万円×48か月一人暮らし:約802万円
学費243万円+教材・PC等40万円+家賃月4万4,000円×48か月+食費・光熱通信費等月6万円×48か月+引っ越し初期費用20万円
奨学金、免除、物件条件、生活スタイルは反映していない目安です。
元「中の人」から保護者の方へ
国立大学のため、現行の4年間の学費は約243万円ですが、一人暮らしでは家賃と生活費が大きな負担になります。
合格後ではなく、出願前から日本学生支援機構の給付・貸与奨学金、授業料等減免、多子世帯支援の対象になるか確認しておくと安心です。
前期日程の成績優秀者には、年30万円を4年間給付する「かささぎ奨学金」の可能性もあります。
家計急変時の支援もあるため、困ったときは学生生活課へ早めに相談しましょう。
9. 入学後のサポート
リメディアル教育
「リメディアル教育」という名称の学環独自プログラムは、現時点では確認できません。
ただし、1年次には物理・化学・生物・数学・情報などの基礎科目を配置しています。
高校での得意・不得意を整理しながら、化粧品科学の専門科目に進むための土台をつくれます。
学修支援
学生一人ひとりに教員のチューターがつき、履修、学修方法、進路などを相談できます。
学修ポートフォリオを活用した指導に加え、実験科目ではTAを配置した少人数・個別指導も計画しています。
自分で課題を見つけ、計画的に学ぶ力を養える体制です。
取得できる資格
卒業により「毒物劇物取扱責任者」の資格要件を満たすほか、薬機法に基づく「化粧品総括製造販売責任者」の申請資格を得られます。
後者は就職先の事業者が置く責任者に関する資格要件であり、卒業時に免許証が交付される資格ではありません。
資格取得サポート
資格要件に対応した化学・生物学、毒性学、品質管理、化粧品関連法規などをカリキュラムの中で学びます。
単なる試験対策ではなく、原料や製品の安全性を科学的に判断し、法令に沿って適正に管理する力を身につけられることが強みです。
キャリア・就職支援
全学のキャリアセンターでは、就職ガイダンス、求人情報の提供、進路相談などを実施します。
学環では化粧品関連企業との産学官ネットワークや企業インターンシップも活用し、研究開発、製造、品質管理、安全性評価などへの進路形成を支援する計画です。
ICT・図書館サポート
本庄キャンパスの附属図書館には、ラーニング・コモンズ、グループ学習室、パソコンなどを整備しています。
資料・文献の探し方に関する相談や他大学からの文献取り寄せも利用できます。
学生向けMicrosoft製品など、レポート作成を支えるICT環境も用意されています。
学生相談・生活支援
教員のチューターに加え、「なんでも相談窓口」、学生カウンセラー、保健管理センターが、修学、進路、心身の健康などの相談に対応します。
新入生アドバイザーや学習アドバイザーといった学生同士の支援もあり、大学生活に慣れない時期にも相談先を確保できます。
学生寮
本庄キャンパス近くに楠葉寮があり、定員は男子100人・女子50人、寄宿料は月額5,300円です。
光熱水料などは別途必要ですが、住居費を抑えながら通学できます。
自宅からの通学時間や家計状況などを基に選考され、原則2年間、延長が認められれば最長4年間入寮できます。
その他学生サポート体制
入学直後には、先輩学生による新入生アドバイザーが履修登録やキャンパス生活を支援します。
大学での勉強方法は学習アドバイザーに相談でき、障害のある学生にはノートテイクや手話通訳などの支援も用意しています。
困り事に応じて複数の窓口を使い分けられます。
元「中の人」のチェックポイント
コスメティックサイエンス学環は2026年度開設のため、卒業生の実績や学環独自の支援制度は、これから見えてくる。
一方、基礎科目から始まるカリキュラム、教員チューター、少人数の実験指導、全学の相談・キャリア支援など、学びを支える仕組みはそろっている。
苦手科目や進路の悩みを一人で抱えず、早い段階で教員や支援窓口に相談することが大切。
大学のサポートを自分から利用する姿勢が、専門性を伸ばし、希望する仕事へ近づく後押しに。
10. この学部を一言で表すと?
美しさを、科学と社会につなぐ学環
佐賀大学コスメティックサイエンス学環は、化学・生物学を土台に、皮膚科学、薬学、工学、安全性評価、マーケティング、デザインまで横断して学ぶ教育組織です。
実験やPBL、企業インターンシップを通して、化粧品を「使う側」から「科学的根拠をもって開発・評価する側」へ。
佐賀県や企業との連携を生かし、美と健康を支える新しい価値を社会へ届ける人材を育てます。
この学部に向いている人
コスメを科学の目で探究したい人
成分の働きや肌との関係、安全性を化学・生物学から理解したい人に向いています。理系と文系の両方に関心がある人
実験だけでなく、デザイン、文化、知的財産、マーケティングにも興味を広げられます。手を動かし、仲間と課題を解決したい人
実験、PBL、企業との連携活動を通して、試行錯誤を楽しめる人に適しています。美と健康を支える仕事に就きたい人
化粧品の研究開発、製造、品質管理、安全性評価などを目指す人に合う学環です。
今の知識量よりも、「なぜだろう」と調べ続ける姿勢が大切です。
コスメへの関心を科学的な探究心へ変えたい高校生には、挑戦する価値があります。
元「中の人」から伝えたいこと
学環が求めているのは、コスメティックサイエンスに強い興味を持ち、国内外の化粧品・関連産業の発展に貢献したい人です。
その土台として、幅広い教科の知識に加え、特に数学・理科を使って筋道立てて考える力が重視されます。
高校生活では、化学や生物の用語を暗記するだけでなく、「この成分はなぜ混ざるのか」「安全性はどう確かめるのか」と疑問を持って考えましょう。
数学の計算力、実験結果を読み取る力、国語や英語で情報を正確に理解して伝える力も役立ちます。
大学では専門知識と実践力を身につけ、化粧品を中心に、化学、医薬品、食品などの研究開発、製造、品質管理、安全管理へ進む道が考えられます。
コスメが好きという気持ちを、社会に役立つ技術へ育てられる学環です。
この学部を一言で表すと?
美しさを、科学と社会につなぐ学環
コスメへの憧れは、立派な探究の出発点です。
数学・理科と向き合い、好奇心を実験と行動へ変えられるなら、あなたは美と健康の未来をつくる側に進めます。
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