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ビジネスを、学びにする ― FLP②

前回は、「社会と共創する熟達」の最初の実践となるFLPについて、その概要をお話ししました。

FLPの実践編として、今回から「FLPセットアップ」に入っていきます。
ここからは、実際に手を動かしながら、学びを“自分ごと”として立ち上げていく段階に入ります。
まずは、自分の現在地を丁寧に見つめ直し、「どこから始めるのか」「なぜそこからなのか」を考えるところからスタートです。
うまくやるよりも、素直に向き合うこと。
小さくても、自分の意思で踏み出す一歩が、この先の学びを支えてくれます。そんな準備の時間を、一緒につくっていきましょう。



FLPのセットアップ

IFDを修了し、FLPを始めるにあたって、以下4つのFLP準備を行います。

FLP set-up

  1. エントリープロダクトの設定

  2. 「誰に何を」の言語化

  3. FLP目標の設定

  4. プリミティブDBの設定

詳しくみていきましょう。

1.エントリープロダクトの設定

まず最初にFLPで実践する事業(エントリープロダクト)の設定を行います。社会と共創する熟達のエントリーにおいては以下の6つの要件があります。

エントリープロダクトの6要件

  1. 陳腐であること
    ここでいう陳腐とは新奇性や創造性がない・少ないことを指しています。
    すでに似たような事業やサービスが世の中に存在しており、競合も一定数いる状況であることが望ましいです。すでに成立しているにもかかわらず、手を入れれば改善余地がある、そんな「磨かれていない」領域が理想です。
    加えて、特別な資格や高度なスキル、特定の人脈などを必要としない点も重要です。つまり、自分ひとりでも始められるくらい参入障壁が低いビジネスであることが求められます。

  2. 市場が小さく、競争が緩いこと
    市場規模としては数億円程度、大きくても20-30億円程度のマーケットサイズであることが望ましいです。また陳腐であるが故に競合は存在しますが、その競争相手は特に目立った創意工夫をしておらず成り行きで事業を行っており、それでも収益が成り立っているような環境が好例です。
    こうした市場では、そもそも競争が激しくないため、失敗のリスクが低く、試行錯誤がしやすいのです。

  3. トランザクションが多いこと
    顧客に対するマーケティングやセールス・取引の機会が日常的に発生し、短期間で成果とフィードバックが得られるような構造が理想的です。取引の頻度が低かったり、特定の時期に集中するようなビジネス(例:卒業式用レンタル袴など)は、初期の学習には適していません。
    日々の改善と検証を繰り返すためには、高頻度なトランザクションが欠かせません。

  4. アセットライトであること
    初期投資が大きくないビジネスであることが大切です。目安として、500〜1000万円程度の資本を元手にして収益化が見込めるような事業が適しています。
    高額な設備や在庫が必要なビジネスは、撤退のハードルも高く、初学者には不向きだと考えています。

  5. ノックアウトファクターが少ないこと
    一見よさそうに見えても、法律的・倫理的にグレーゾーンがあったり、技術進化による代替リスクが高い業界は避けるべきです。また、競争が激化している業界、すでに効率化が極まった市場も、学習の余地が少ないため適していません。

  6. 自我や情動が揺れにくいこと(任意条件)
    この条件は必須ではありませんが、自分の思い入れが強すぎる領域では、冷静な意思決定が難しくなることがあります。情熱が裏目に出てしまうと、自己満足に陥り、本質的な学習や仮説検証が疎かになってしまうからです。

以上の6つの条件を目安に、自分にとっての「陳腐なビジネス」を見つけ出すことが、第一歩となります。

2. 「誰に何を」の言語化 

エントリープロダクトを特定したら、「誰に何を」提供するプロダクトなのかを言語化します。「誰に、何を」を定めることは、仮説検証を動的に回し、事業を育てていくためのベースになります。そしてこれは、一度設定すれば終わりではなく、実践を通じて永遠に磨かれ続けるものでもあります。

「誰に、何を」は、仮説の起点であり検証の対象 
「誰に、何を」は、起業家が初期学習の中で立てる仮説の一つです。この仮説がなければ、何を検証し、何を改善すべきなのかが見えません。また、あいまいな状態のまま進めてしまうと、目の前に現れたチャンスに飛びつきやすくなり、事業の軸がぶれてしまいます。
たとえば、「誰に、何を」を定めないままに営業を始めると、顧客の反応に過剰に振り回され、全体像を失ってしまうことがあります。結果として、仮説検証ではなく"場当たり的な対応"に終始し、学びの深さが得られなくなってしまうのです。

「誰に」を定める 
「誰に」の定義とは、ファネルの最上流、つまり見込み顧客の初期仮説を定めることを意味します。最初は仮のターゲットで構いません。まずは仮説を立てて当たりをつけ、実際に接点を持ちながら外側の反応も取り込んでいきます。その中で徐々に精緻化し続けます。
たとえば、「東京23区の美容室経営者で、1店舗5名以下のスタッフ規模」といった形で、地理や属性、業種、ニーズを具体化することで、「誰に」が明瞭になっていきます。

「何を」を定める 
「何を」も誰にと同様に、最初は仮説として設定し、実践を通じて精緻化し続けます。「何を」精緻化するにおいて重要なのは、それを数字で言語化するということです。たとえば「業務を効率化する」では抽象的すぎます。「月20時間の作業を削減できるテンプレートを提供する」といった形で、具体的な成果をイメージできる表現に落とし込む必要があります。これは単に顧客に伝わりやすくするためだけでなく、データベースの設計や、後々のチームとの共有にも役立ちます。また、数字を使うことで、自分自身の過去の経験や情動による曖昧な「これなら良さそう」という発想から距離を取ることができます。

ここまでFLPのセットアップとして、エントリープロダクトの設定と「誰に何を」の言語化をご紹介しました。
次回は、FLPの目標設定についてご紹介します。


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