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【専門学校卒の理学療法士】大学院受験できるの?→入試まで一気にドーン!

理学療法士のジローです。
私は、専門学校卒の理学療法士として働きながら、さらにキャリアの中で、2回の大学院生活を経験しています。

この記事を読んでいるあなたは、タイトルから
「専門学校卒の理学療法士でも、大学院に進学できるのか?」
この疑問を、検索してここにたどり着いた方も多いのではないでしょうか。

先に結論から言います。
専門学校卒でも、理学療法士は大学院に進学できます。
私は、その道を実際に歩いてきました。

この記事では、
「どうやって進学したのか」
「何が一番大変だったのか」
「行って、何が変わったのか」

を、行った本人の視点で、包み隠さず解説します。

✒️筆者紹介
理学療法士/修士(リハビリテーション学・公衆衛生学)


 回復期リハビリ病院では病棟主任・教育主任を歴任。脳卒中後の機能回復と栄養管理の臨床・研究に携わる。

 リハビリテーション医学の科学的根拠を追求すべく、大学院にてリハビリテーション学の修士号を取得。さらに、臨床研究・疫学・統計解析の実力を体系的に習得するため、公衆衛生学修士(MPH)を取得し、医療データの分析にも軸足を置く。

 現在は、 医療リアルワールドデータ活用人材プロジェクト 東京大学履修コースで、医療の現場から得られる大規模データを用いた実証研究に取り組む。

 臨床と疫学をつなぐ視点から、介入効果の可視化と医療政策への応用を目指している。臨床現場を離れ、医療研究開発センターのプロジェクトマネージャーとして新たな挑戦を始める。



🔶 なぜ臨床研究をやろうと思ったのか

「目の前の患者さんにしっかり向き合うことが大切。
ならば、臨床研究は必要ないのでは?」

そう思う方もいるかもしれません。実は、学生時代の私自身が、まさにそう考えていました。

私が臨床研究に向き合うようになった原点は、20年以上前の学生時代、臨床実習で出会った恩師(SV)の言葉にあります。

その方は後に大学教授になられました。今でもそのやり取りを鮮明に覚えています。

実習中、SVは私にこう言いました。

「臨床に出たら、必ず並行して臨床研究をするんですよ」

正直、戸惑いました。

「理学療法士は、目の前の患者さんをしっかり診ることが一番大事なんじゃないんですか?」

するとSVは、静かに問い返してきました。

「じゃあ、その“しっかり診る”って、何をベースにしているの?」

当時の私は、
「理学療法学です」
と答えるのが精一杯でした。


当時の理学療法概論
これで、学びました!

SVはこう続けました。

「君たちが学んでいる理学療法学は、先輩たちが一つひとつの臨床実践を振り返り、考え、積み重ねてきた知識の集合体なんだ。
それを、私たちは無料で使わせてもらっている」

治療がうまくいった理由。思ったような結果が出なかった理由。
それを考え、公表し、共有してきたからこそ、今の理学療法学がある。

「理学療法の研究は、理学療法士にしかできない。
だから、君らの世代の理学療法を、成功も失敗も、きちんと形にして後輩につないでいってほしい」

この言葉は、20年以上経った今でも、私の中に深く残っています。



🔶専門学校卒でも大学院に行けるのか?

一般病院に就職後、私は「研究を学ぶ環境がない」という壁にぶつかりました。そのとき、改めて思いました。どこで学べばいいんだろう?

そのことを、前述したSVに相談しに行きました。別の職場に就職していたのですが、快くレクチャーをしていただけました。

「理学療法の臨床には、臨床のプロがいる。技術は、先輩をしっかり見て学びなさい」
「臨床研究にも、臨床研究のプロがいる。大学院に進学して、プロから手ほどきを受けなさい」と。

ただ、私は専門学校卒でした。
多くの理学療法士と同じように、「そもそも無理なのでは」と思っていました。

私:進学の方法はあるのでしょうか?

SV:方法は2つありますよ!



🔶専門学校から大学院に進学する2つの方法

❶入学資格審査を受ける

大学院には、専門学校卒でも受験資格を得られる「入学資格審査」という制度があります。今までの臨床現場の功績や、学会発表などの学術の実績などから判定されます。

ポイント

  • 各大学院で審査基準が異なるため、志望校の要件を必ず確認する。

  • 一度落ちると、再チャレンジは翌年以降になる可能性がある。

  • 最近のリスキリングの流れで、基準が緩和されつつある大学もある。

もし審査を通過できる可能性が高ければ、この方法で直接大学院受験を目指すのも良いでしょう。専門学校卒でも、審査を通過すれば受験資格が得られる場合があります。


もう一つが、私が選んだ方法です。


❷通信制大学で学士を取得する

私:「大学?仕事を辞めて通うのですか?」

SV:「違う違う。通信制の大学なら働きながら学べるよ。」

大学院の受験資格を得るためなので、学部は問われません。


私の選択例

目的は、大学院受験資格を得ることと割り切りました。そのため、学費が安く、学位認定の要件が比較的易しい大学を選択しました。

  • 学費:約15万円/年(2年間で取得)。

  • 3年次編入で2年間通学。

  • 学部は医療経営系を選択(リハビリとは直接関係なし)。

このとき学んだ組織論やマネジメントの視点は、後に病棟主任として働く中で、確実に役立ちました。遠回りに見えて、無駄はなかったと思います。


例外)すでに学士を持っている場合

リハビリとは全く関係なく、すでに何らかの大学を卒業してから専門学校へ進学した人は、その学士が有効です。この場合、入学資格審査なしで大学院受験が可能になるため、すぐに試験対策へ進めます。



🔶研究室訪問について

まず、大学院に行きたいと思ったら、最初にやるべきことは研究室訪問です。これは、理学療法士に限らず、一般的な大学院進学ではほぼ必須のプロセスになります。

大学院は「試験に受かれば入れる場所」ではありません。実際には、その前段階として、指導教員になり得る先生と直接面談し、研究の方向性や受け入れ可否を確認するという工程があります。

具体的には、自分が興味を持っている研究室のホームページを確認し、
研究テーマや教員の専門分野を調べたうえで、メールなどでアポイントメントを取ります。
そして、実際に研究室を訪問し、対面あるいはオンラインで面談してもらいます。

この面談では、
「どんなテーマに関心があるのか」
「その研究室で、それが扱えそうか」
「働きながら通学できるか」
といった点をすり合わせます。

ここで、「入学資格審査を使えそうかどうか」が話題になります。

もし、これまでの職歴や実績、取得資格などから、入学資格審査で受験資格を得られる可能性がありそうであれば、そのルートで大学院受験を目指すことになります。

一方で、
「この条件では、審査はかなり厳しい」と判断される場合もあります。審査に通らなければ、次のステップは無いので、そのときは無理に突っ込まず、粛々と通信制大学などで学士を取得するという判断が、結果的に一番早く、確実な道になることも多いです。

何であれ学士を持っていれば、「審査がどうの…」といった内容は一切不要になります。



🔶大学院進学で本当に難しいこと

大学院受験というと、英語や専門科目など、試験勉強が大変だと思われがちです。確かに勉強は必要ですし、楽ではありません。

しかし、実際に一番難しいのは、試験そのものではありません。本当にハードルが高いのは、タイミングと環境調整です。

私自身、1回目と2回目の大学院進学で、まったく正反対の反応を経験しました。

1回目の進学時、直属の上司Aはこう言ってくれました。

「おお、そんな向上心があるのか。できるだけ協力するから、しっかりやってきなさい」

勤務の調整や、授業日の休みについても、比較的スムーズに話が進みました。「学びに行くことは、いずれ職場にも還元される」そんな暗黙の理解が、組織の中にあったように思います。


一方で、2回目の大学院進学は、まったく違いました。

直属の上司Bから最初に返ってきた言葉は、

「大学院より、まずは病院内の仕事を頑張ってほしい」
「ジローさんだけ休みを固定するのは、不公平になるよね」

というものでした。

こちらとしては、
「業務量は変えない」
「大学院だからといって特別扱いを求めているわけではない」

という説明をしても、なかなか理解は得られませんでした。

結果的に、話はすぐには前に進まず、他の管理職やキーパーソンにも間に入ってもらい、何度も説明を重ね、時間をかけてようやく折り合いがつきました。

このとき強く感じたのは、大学院進学の可否は、制度や理屈だけでは決まらないということです。同じ職場、同じ勤務条件、同じ人間でも、上司や組織の状況が変わるだけで、難易度は一気に跳ね上がります。

働きながらの大学院進学は、「個人の努力」だけで完結する話ではありません。必ず、職場という環境と向き合う必要があります。

実際に行こうとした人間、そして、行った人間にしか分からない現実です。

だからこそ、大学院進学を考え始めた段階で、

「いつなら動けるか」
「今の職場環境で現実的か」

を冷静に見極めることが、とても重要になります。

試験勉強は、努力すれば何とかなります。しかし、タイミングと環境調整は、自分ひとりではコントロールできない要素です。ここを甘く見ないことが、働きながら大学院に通ううえで、最初で最大のポイントだと感じています。



🔶働きながら通えるか、研究はできるか

授業日に休みが取れるかどうかは、大学院進学を考えるうえで極めて重要なポイントです。
これは、合格してから考える話ではなく、研究室訪問の前段階で、ある程度整理しておくべき事項だと感じています。

実際、私の周囲でも、他の病院で同じ勤務条件で働いていた理学療法士が、
「もし授業日に固定で休みを取るなら、常勤から外れてほしい」
と言われ、進学を断念したケースを見てきました。

本人の能力や意欲の問題ではありません。
制度と運用の問題です。

大学院側は、「授業に出られるか」「研究を進められるか」を前提に話をします。
一方で、職場側は、「現場のシフトが回るか」「他の職員との公平性が保てるか」を見ています。

この二つの論理は、必ずしも自然に噛み合いません。

だからこそ、研究室訪問に行く前に、少なくとも次の点については、職場内で感触を確かめておく必要があります。

たとえば、
授業日にあたる曜日に、定期的な休みが取れそうか。
勤務形態(常勤のままか、パート扱いになる可能性はあるか)。
進学によって、業務内容や評価が大きく変わらないか。

このあたりを全く確認せずに研究室訪問に行くと、
「大学院側では受け入れOK、でも職場がNG」という、最も苦しい状況に陥ります。

大学院進学後も、学費・書籍・学会参加など、かなり大量のお金が飛んでいきます。落としどころがどのあたりなのかは、個々人によりますが、現職をすっぱり辞めて、お金なしで行くのも、かなりのリスクです。

また、私の2回目の大学院進学では40代手前、子どもが2人いる状況で、仕事を辞める選択肢はありませんでした。

学費は、私立大学院では年間80万円近く、国立大学院でも決して安くはありません。お金の面は、後でよくケンカになる話なので、家族とよく話をしておきましょう
(私も、大学院に行きたい→妻:OK、OK!みたいな流れでは一切なく、年単位で話し合いが必要でした)。



🔶研究として成立するのかという観点

また、忘れてはいけないのが、
大学院は「勉強しに行く場所」ではない、という点です。

大学院は、研究をしに行く場所です。

そのため、指導教員との面談では、必ず次のような点を確認されます。

院内のデータを研究に使える可能性があるか。
所属先に倫理委員会は設置されているか。
自施設でデータが集められない場合、他にデータを使う選択肢はあるか。
そして、2年間で完結できるテーマかどうか。

これらは、合否以前に、「そもそも研究として成立するか」という話です。

ここで重要なのは、研究室訪問の場で「全部これから考えます」と答えることではありません。

完璧な答えは不要ですが、
「職場ではこの程度なら調整できそう」
「データはこういう形なら使えるかもしれない」
といった、現実に即した見通しを持っているかどうかが見られます。

まず、この記事を読み終わったら研究テーマの「草案」を自分の手で書いてみましょう

書式は気にしなくて構いません。
Wordでも、Googleドキュメントでも、メモ帳でもいいので、
とにかくPCの文書作成ソフトを立ち上げて、
「自分は何を明らかにしたいのか」
「どんなデータを使って、それをどう検証したいのか」
を、拙くてもいいから言葉にしてみてください。

なぜなら、研究室訪問の面談や、受験当日の口頭試問では、
ほぼ確実にここを突っ込まれるからです。

↓↓  自分の大学院時代は、この本に一番お世話になりました


↓  他の人は、これをよく使ってた(東大 康永先生)


もし、手が止まったら、このアカウントの他の記事も参考にしてください。研究の立ち上げから、注意すること、運用までのtipsを多数紹介しています。私は、このブログ内の他の記事も、ぜひ参考にしてみてください。

研究の立ち上げ方、テーマの絞り方、倫理やデータの扱いでつまずきやすいポイント、実際に研究を回しながら気づいた運用上の注意点まで、私自身が悩み、失敗し、遠回りしてきた経験をもとに書いています。

↓↓ 研究仮説の作り方


↓↓ パブメドでの論文検索の仕方


↓↓ 論文の批判的吟味とは?


↓↓ 倫理委員会の突破方法


↓↓無料ソフトでの統計解析

正直に言うと、
私が臨床研究を始めた頃、
「これで合っているのか?」
「誰に聞けばいいのか?」
を相談できる相手はいませんでした。

研究室に行く前も、進学を考え始めた頃も、ほぼ手探りです。

だからこそ、今これを読んでいるあなたが、同じところで立ち止まらなくていいように、少しだけ先を歩いた人間として、情報を残しています。

大学院進学も、研究も、特別な才能がある人だけのものではありません。

ただ、
「どう動けばいいのかが分からない」という理由で諦めてしまう人が多いだけです。

この記事や、このブログが、あなたにとって「一人じゃない」と感じられる材料になれば、それだけで書いた意味はあります。

大学院進学は、
試験勉強 → 研究室訪問 → 合格
という一直線のイベントではありません。

職場、研究室、そして自分自身。
この三者の条件が、同時に成立するかどうかを見極めながら進める、現実的なプロジェクトだと考えた方が、うまくいきます。



🔶研究室選びの決定打(私の場合)

私が最終的に公衆衛生大学院を選んだ最大の理由は、

いくつか行った大学院説明会で、結果的に後にお世話になることになった先生がかけてくれた一言でした

「その課題なら、うちの研究室で対応できます。一緒にやってみますか?」

逆に同じ場で、「そのテーマなら、他の研究室の方がいいですね」
と言われている人もいました。

だからこそ、この一言は決定打でした。

さらに、実際に授業に参加し、教室の雰囲気も確認しました。

医師だけでなく、看護師、助産師、臨床工学技士、薬剤師など、多職種が自然に学んでいる教室でした。その時点で、まだ理学療法士は一人も居なかったのですが、体験授業後に、先輩たちが声をかけてくれました。

ここなら大丈夫だ。
そう思えました。



🔶 試験は、ちゃんと準備する

当然ですが、行きたい気持ちだけでは意味がありません。今年は、絶対に大学院入試をしてやると、研究室も決まってはいなかったのですが、

「大体は8月頃の入試」

「どこの試験でも英語は必須」という状況を加味して、

8月の前期試験に向けて、3月頃から英語の勉強を始めていました。普段使わない英語脳を呼び起こすのには、かなりの立ち上げ時間がかかりました。この辺りは、このような進学を考えているような方は、早めに取り掛かっておいて損はないと思います。

大学院受験は、勢いと準備の両方が必要です。



🔶 私の進学ステップ

  1. 臨床経験2年目で通信制大学進学で3年目に学士取得。

  2. 4年目:呼吸療法認定士試験(中休み)。

  3. 5年目:大学院受験。

  4. 6年目:大学院進学!

この方法なら、専門学校卒でも大学院進学の道が開けます。ちなみに、最初はリハ系の大学院に進学しました。この時は、介入研究を頑張ったのですが、経験を積んでいくうちに実際のリハビリテーションの臨床現場をより反映している観察研究や、予防医療の知識が必要と考えて、37歳の時に、公衆衛生大学院の門を叩きました。

公衆衛生大学院を修了した後は、様々な面で道が開けました!

↓↓ 東大RWD


↓↓  異業種転職

今は、40歳を過ぎて臨床現場を離れて、医療研究開発に関わるセンターで治験の支援をする部署に居ます。新しい薬や、医療機器の承認に向けたプロジェクトの中で働いています。

大学院で学んだスキルを、現場だけでなく幅広く還元できる場所を探しての転職です。

まだ転職したばかりで、見習い程度なのですが、いずれは、臨床現場との研究の架け橋になれるように引き続き頑張っていきたいです。



🔶まとめ:専門学校卒でも、大学院は目指せる

専門学校卒だからといって、大学院を諦める必要はありません。
必要なのは、正しい情報と準備、そして少しの勇気です。

大学院に行く前と後で、
同じことができていたかと聞かれたら、答えは明確です。

No。

視野と選択肢は、確実に広がりました。

この学位や経験を持っているということで、様々な新しいチャレンジもたくさんさせてもらいましたし、その経験が、また新たな高みに連れて行ってくれたと思っています。

この記事が、
「専門学校卒だけど、大学院を考えてみようかな」
そう思っている誰かの、現実的なモデルケースになれば幸いです。


↓↓  無理に大学院でなくとも、学べる場所は増えてきた。相談できる様々なプロが所属(私も、こちらに参加しています)


↓↓  公衆衛生学に興味ないですか?理学療法士とは、とても親和性が高いと思っています


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