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110日目:仲間と豊かになるために―お金を「信用と投票」として考える

安い大手の商品と、少し高い知人の商品が並んでいたら、どちらを選ぶでしょうか。

当然、安い方を選ぶのも一つです。仲間だからという理由だけで、必要のないものを買い続けるわけにもいきません。

ただ、お金を使うことは、物を受け取るだけではありません。

「この仕事を続けてほしい」
「次の商品も作ってほしい」
「あなたなら、もっと良いものを作れると思う」

そんな意思を相手へ伝える行為でもあります。

そう考えると、お金は交換のための道具であると同時に、信用であり、未来への投票でもあるのかもしれません。

今回も記事を開いていただきありがとうございます。

これまで、お金や資産を「自分の人生を豊かにするためのもの」として考えてきました。今回は少し範囲を広げて、自分一人ではなく、仲間と豊かになるためのお金の使い方について考えてみます。

【仕組み】お金は信用であり、残したい未来への一票

一万円札は、紙そのものに一万円分の価値があるわけではありません。

それでも一万円として使えるのは、渡す側も受け取る側も、その次に受け取る人も「これは一万円として使える」と信じているからです。

つまり、お金の土台には信用があります。

そして私たちは、お金を使うたびに、その信用を誰かへ渡しています。

個人の店で食事をすれば、店主が次の料理を作るためのお金になります。
知人へ仕事を頼めば、その人の収入になるだけでなく、経験や実績も残ります。
好きな作品を買えば、続編や次の作品を作るための理由になるかもしれません。

買い物は、その商品を手に入れる行為であると同時に、「この仕事や商品に残ってほしい」と意思表示する小さな投票なんですね。

もっとも、政治の選挙が一人一票なのに対して、市場は一円一票です。
お金を持つ人ほど多く投票できますし、売れているものが必ず正しいとも限りません。

それでも、自分がどこへお金を渡すかによって、残る店や育つ仕事が変わります。

何を買うかは、どの未来へ資金を渡すかでもあるのだと思います。

【実例】華僑の商業ネットワーク―仲間の中で育つお金と信用

仲間の中でお金と仕事を回す例として、華僑の商売が紹介されることがあります。

もちろん、華僑と一括りにして、全員が同じ考え方を持つとは言えません。地域も時代も仕事も違います。

そのうえで海外の中国系商業ネットワークを見ると、家族、同郷者、友人など、互いの信用を確認しやすい関係から商売を始め、仕入れ先や販売先、資金のつながりを広げてきた例があります。

銀行から簡単に融資を受けられない環境では、仲間同士でお金を出し合い、順番にまとまった資金を受け取る仕組みも使われてきました。
日本の頼母子講や無尽にも近い考え方です。

ここで面白いのは、信用があるからお金を渡せるだけではないことです。

お金を渡す。
約束した商品や仕事を返してもらう。
その実績によって、さらに信用が増える。

お金と信用が、互いを育てながら回っています。

ただし、「身内だから無条件で買う」という話ではありません。

価値の低いものを義理だけで買い続ければ、仲間全体が弱くなります。
仲間へ仕事を頼む側にも、良い仕事を選ぶ責任がありますし、お金を受け取る側にも、その信用へ価値で応える責任があります。

仲間だから甘くするのではなく、仲間だから最初の機会を渡す。
そして、次の機会を得られるかは仕事で示す。

この関係が続けば、お金だけでなく、経験、技術、人脈まで仲間の中へ蓄積されていきます。

【実践】自分たちが最初の利用者になる―ソフトバンクに見る社内実践

以前、ソフトバンクでは新しいサービスを、まず社内やグループ内で使うという話を聞きたことがあります。

一方で、ソフトバンクが自社で実践した業務改善やAI活用を、法人向けサービスとして外部へ展開している例はあります。


まず自分たちで使うことには、いくつか利点があります。

一つは、最初の利用者を確保できることです。
まだ実績のないサービスを、外部の顧客へいきなり売るのは簡単ではありません。
社内なら、実際の業務で使いながら改善できます。

二つ目は、作った側には見えない不便が分かることです。
開発者は仕組みを知っているので、多少分かりにくくても使えてしまいます。
しかし別部署の人が使えば、「どこを押すか分からない」「この機能は不要」「実際の業務に合わない」といった問題が出てきます。

三つ目は、自分たち自身が実績になることです。
「業務を効率化できます」と説明するだけでなく、「実際に自社で使い、これだけ時間を減らしました」と言えれば、信用の重さが変わります。

自分で食べたことのない餃子を、人に美味しいですよと売るのは難しいですからね。

まず自分たちが最初の利用者となり、時間やお金を投じる。
その結果を示して、外部の顧客にも投票してもらう。

自分たち自身が、最初の一票を入れる仕組みなのだと思います。

【再評価】「お金を儲ける」は悪いことなのか?利益が次の挑戦を支える

「お金を儲ける」という言葉に、少し悪い印象を持つ人もいるかもしれません。

誰かから奪うことや、必要以上に高く売ることを想像するからでしょうか。

ですが本来の商売は、相手が欲しい価値を渡し、その対価としてお金を受け取るものです。

売上は、提供した価値に対して集まった投票です。

そして利益は、商品を改善したり、人を雇ったり、次の挑戦をしたり、失敗へ耐えたりするための余力です。

利益がなければ、良い商品でも続けられません。

だから、お金を儲けること自体が悪いのではなく、何を提供して儲けたのか、その利益を何へ使うのかが重要なのだと思います。

仲間の店で食事をする。
仲間へデザインや開発を頼む。
仲間のサービスを最初に使い、改善点を伝える。

それによって、お金が移動するだけでなく、仕事と経験と実績が残ります。

ただし、仲間の中だけで形ばかりの売買を繰り返しても、全体は豊かになりません。

仲間の外にいる人にも価値を提供し、外から得たお金を、次の仲間の仕事や挑戦へ回す。そうして仲間全体が提供できる価値を大きくしていく必要があります。

【結び】仲間へ投票し、自分も投票される人になる

お金を払うことは、「あなたを信用します」という投票です。

お金を受け取ることは、「その信用に仕事で応えます」という約束です。

仲間と豊かになるというのは、仲間だから無条件で助け合うことではないと思います。

互いに価値を作り、その価値へ正しくお金を払い、受け取った側はさらに良い仕事で返すこと。

自分が仲間へ投票すると同時に、自分も投票してもらえる人になること。

一人でお金を抱えるのではなく、仲間の挑戦へ回し、回ってきた信用へ価値で応える。

そうして、お金だけでなく、経験や技術、人間関係、できることまで増えていく状態が、仲間と豊かになるということなのではないでしょうか。


今回も最後までご覧いただきありがとうございました٩( 'ω' )و

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