リハビリで結果が出にくい人に共通する5つのこと|理学療法士が解説
「同じくらいの状態だったのに、回復に差が出るのはなぜ?」
「うちの親は、なかなか良くならない」
「リハビリを頑張っているのに、結果が出ない気がする」
こういった声を、本当によくいただきます。
理学療法士として働いてきて、たくさんの方を見てきました。
その中で、「結果が出やすい方」と「なかなか結果が出にくい方」には、いくつかの共通点があるように感じています。
この記事は、誰かを責めるためのものではありません。
「もう少しここを意識すれば、結果が変わるかもしれない」というヒントを、お伝えできればと思っています。
はじめに
こんな悩みはありませんか?
・リハビリを頑張っているのに、思うように良くならない
・回復のペースが、人と比べて遅い気がする
・家族のリハビリを支えたいけど、空回りしている
・リハビリの効果が、本当に出ているのか不安
・モチベーションが続かない
リハビリは、すぐに結果が出るものではありません。
「良くなっているのか分からない」と感じる時期も、必ずあります。
だからこそ、結果が出やすい人の特徴を知っておくことが、ヒントになると思っています。
結果が出にくい方に見られる共通点
たくさんの方を見てきた中で、「結果が出にくい方」に見られる傾向は、次の5つです。
・目標があいまいで、何を目指しているか分からない
・リハビリの時間以外、ほとんど身体を動かしていない
・「やってもらう」姿勢になっている
・生活全体の習慣が整っていない
・周りとのつながりが少ない
どれも、本人だけの問題ではありません。
環境や周りのサポートで、変えられる部分も多いと感じています。
ここからは、それぞれについてお伝えしていきます。
① 目標があいまい
リハビリで結果が出にくい方の多くは、「何のためにリハビリをするか」が、はっきりしていません。
「歩けるようになりたい」
「元気になりたい」
こういった言葉も、確かに目標です。でも、「何のための目標なのか」までは見えていないことが多いです。
大事なのは、その目標の奥にある「目的」の部分です。
目的:最終的に何を実現したいか
目標:目的を達成するための具体的な到達点
似ているようで、この2つは役割が違います。
例で見てみると、分かりやすいです。
例①:脳卒中の方の場合
目的:自宅で安全に生活できるようになる
目標:
・2週間以内に、杖で50m歩行できる
・1か月以内に、トイレ動作を自立レベルで行える
「自宅で生活する」という目的があるからこそ、そこに向かう具体的な課題が「目標」として見えてきます。
例②:人工膝関節置換術(TKA)後の方の場合
目的:趣味の旅行を再開する
目標:
・膝関節の屈曲120°を獲得する
・階段昇降を、手すり使用で自立する
・30分連続で歩行できる
「旅行に行く」という目的があると、身体機能や動作レベルでの到達点が、自然と決まってきます。
結果が出やすい方の目的
実際にリハビリで結果が出やすい方は、目的がとても具体的です。
・孫の運動会に行きたい
・近所のスーパーまで一人で買い物に行きたい
・お墓参りに行きたい
・友人と旅行に行きたい
・トイレに自分で行けるようになりたい
どれも、「できたら嬉しい」と心から思える内容です。
こういう目的があると、リハビリへの取り組み方が変わります。
「何のために頑張るのか」が、はっきりしているからです。
これは、リハビリを進めるうえで、本当に大事なことだと感じています。
② リハビリの時間以外、動いていない
これも、よく見るパターンです。
週に2回、1回40分のリハビリを受けていても、それ以外の時間ずっと座っているか寝ているか、という方は、なかなか結果が出ません。
シンプルな計算
1週間は168時間あります。
そのうちリハビリは1時間ちょっと。
残りの166時間以上を、どう過ごすか。
極論ですが、この166時間で、どれくらい身体を動かすかが、回復のスピードを大きく左右します。
結果が出やすい方の特徴
・テレビを見ながら、足踏みをしている
・トイレに行くたびに、軽くスクワット
・家事を少しずつ取り入れている
・1日に何度か、立ち上がる時間を作っている
「生活そのものが、リハビリになっている」というイメージです。
特別な運動ではなく、日常の中に動きを増やすこと。
これだけで、結果は大きく変わります。
リハビリだけではなく、大事なことです。
③ 「やってもらう」姿勢になっている
リハビリは、「自分でやるもの」です。
でも、長く入院していると、「やってもらう」感覚になってしまう方がいらっしゃいます。
「リハビリの先生が、何とかしてくれる」
「やってもらえれば、良くなる」
この感覚のままだと、なかなか結果が出にくくなります。
結果が出やすい方の特徴
・「自分の身体は、自分で良くする」という意識がある
・リハビリの内容を、自分でも覚えようとする
・分からないことを、自分から質問する
・自宅でできる運動を、自分から聞いてくる
セラピストは、あくまで「サポート役」です。
主役は、ご本人。
この意識があるかないかで、回復のペースは大きく変わります。
④ 生活全体の習慣が整っていない
意外と見落とされがちなのが、「生活習慣」です。
リハビリの内容ばかりに目が行きがちですが、結果が出るかどうかは、
生活全体の整い方で大きく変わります。
結果が出にくい方によく見られる生活
・食事が偏っている、量が少ない
・睡眠が浅い、夜中に何度も起きる
・水分摂取が少ない
・お風呂に入らない日が多い
・1日中、家の中だけで過ごしている
身体は、食事と睡眠で作られます。
ここが整わないと、リハビリだけ頑張っても、なかなか身体が変わりません。
整えてほしい習慣
・1日3食、できるだけ規則正しく
・タンパク質を意識して摂る
・水分をこまめに摂る
・夜はしっかり寝る
・できる範囲で、毎日外の空気を吸う
地味ですが、本当に大事なポイントです。
⑤ 周りとのつながりが少ない
最後にお伝えしたいのが、「人とのつながり」です。
一人で頑張ろうとする方には、本当に頭が下がります。
でも、「一人だと続かない」のが、リハビリの難しさでもあります。
結果が出やすい方の特徴
・家族や友人と、定期的に会っている
・デイサービスや教室など、外に出る機会がある
・「頑張ったね」と言ってくれる人がいる
・リハビリの成果を、誰かに見せられる
「人に見てもらえる」「話を聞いてもらえる」という感覚は、続ける力になります。
逆に、家にこもって誰とも話さない時間が長いと、モチベーションも気力も落ちていきます。
身体だけでなく、心の状態も、リハビリの結果に大きく関わります。
ご家族にお伝えしたいこと
ここまで読んで、「うちの場合はどうかな」と感じた方も多いと思います。
ご家族としてサポートするときに、意識してほしいことが3つあります。
1つ目:本人の、リハビリの目的を一緒に見つける
「歩けるようになろう」ではなく、
「あの場所に行こう」
「あれができるようになろう」
と、具体的な目的を一緒に考えてあげてください。
2つ目:日常の中に動きを増やす
「リハビリの時間だけ」ではなく、「生活の中で動く時間」を増やす工夫を一緒に考えてください。
ちょっとした声かけや、家事のお手伝いをお願いするだけでも変わります。
3つ目:頑張りを、言葉にして伝える
「頑張ってるね」
「前より動けるようになったね」
という声かけは、想像以上に力になります。
小さな変化を見つけて、言葉にしてあげてください。
結果が出ない時期もある
最後に、お伝えしたいことがあります。
どんな方でも、「結果が出ない時期」は、必ずあります。
頑張っているのに、変化が見えない。
そんな時期は、誰にでも訪れます。
でも、見えていないだけで、身体の中では確実に変化が起きていることもあります。
筋肉が育つには時間がかかりますし、神経の回復にも時間が必要です。
「今、結果が出ていない=この先も出ない」ではありません。
また、どれだけよくなるかは、個人差が本当に大きい部分です。
同じ病気でも、年齢や性別、既往歴や合併症など、様々な要因で回復の度合い、スピードは大きく異なります。
焦らず、続けていくことが、結局は一番の近道だと思っています。
まとめ
今回は、リハビリで結果が出にくい方の共通点を、5つお伝えしました。
・目標があいまいで、何を目指しているか分からない
・リハビリの時間以外、ほとんど身体を動かしていない
・「やってもらう」姿勢になっている
・生活全体の習慣が整っていない
・周りとのつながりが少ない
逆に言えば、この5つを意識すれば、結果は大きく変わる可能性があります。
・具体的な目的を持つ
・日常の中で、できるだけ動く
・自分でやる、という意識を持つ
・食事、睡眠、水分などの生活習慣を整える
・人とのつながりを大事にする
リハビリは、特別なことではなく、
「生活そのもの」だと、私は思っています。
頑張りすぎず、でも諦めず。
ご本人とご家族のペースで、続けていってほしいです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
少しでも参考になれば嬉しいです。
私は、理学療法士として、病院・デイサービス・訪問リハビリの現場で働いてきました。
このnoteでは、リハビリや介護に関する情報を、できるだけわかりやすくお伝えしています。
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