年を重ねてようやくわかったロックフェスの魔法 #ワイバン
最初に野外の音楽フェス、ロックフェスに行ったのは2013年で、40代後半を過ぎていました。
若い頃は東京にいて、行こうと思えばもっとフェスに色々行けたのかもしれません。でも当時の自分には、好きなアーティスト以外の演奏を観ることに、価値を見出していませんでした。
初めて参加したのが、山口県で開催された「WILD BUNCH FEST.(ワイルドバンチ)」です。ほとんど知らないアーティストばかりの中で、ザ・クロマニヨンズだけが、自分にとっての目当てでした。(最前列でヒロトとマーシーを見て感激でした)
そこで不思議なことが起きました。それ以外の、自分が知らないバンドのステージで、ファンたちがサークルを作り、踊り、熱狂する姿を見ているうちに、なんだかこちらまで楽しくなってきたのです。
当時のラインナップで言うと、スペアザ、TOTALFAT、SiM、10-feet、ブラフマンなど、結構良かったんですが当時はすみません、、知りませんでした
涼しい風が吹き抜ける中、太陽は暑くて、ステージからは心臓に響くような爆音が鳴り響く。ボーカルが大きな声でメッセージを投げかける――。
そんな時間が一日の中にぎゅっと詰まっている。言葉にならない充実感がありました。
汗まみれになりながらも、心のどこかふっと軽くなるような感覚を覚えました。
「ロックフェスに年に一度行くことを生きる楽しみにしている」という人の気持ちがわかる気がしました。
それから、フェスに行くことを「年間の恒例行事」と思うようになりました。楽しみがひとつ増えることが、こんなにも人生を豊かにしてくれるとは、当時は思いもしませんでした。
もっと若い頃――たとえば20代や30代のうちに、毎年フェスに行く習慣があったら、自分の人生も少し違っていたかもしれません。
そもそも昔の僕は、「自分が好きだと思い込んでいるもの」以外を、あまり聴いてきませんでした。
知らないアーティストを聴いても、どうしても心が動かず、そこに価値を見いだせなかったのです。なんというか、「好きになること」の出会いを与えられたくなかった。
それが、ワイルドバンチに初めて行ってから変わりました。むしろ、次からは「知らないバンドがたくさん出るイベント」を選んで行ってみたくなったのです。
ラインナップを見て日程を決めるのではなく、まず日付でチケットを取り、あとから出演アーティストが発表されるのを楽しみに待つ。
発表されてからは、その知らないアーティストたちのプレイリストを作って、自分なりに予習していく。
彼らの普段のセットリストまでは見ないようにして、フェス当日の驚きもちゃんと残しておく。
この準備期間が、まるで大人になってからの“夏休みの宿題”のようで楽しんでいます。
タイムテーブルが発表された後も、どのステージを観に行こうかギリギリまで悩んで、直前に予定を変えることもあります。それもまた楽しみの一つです。
僕は基本的に車で行くので、会場ではお酒を飲みません。でも、アルコールがなくても十分に盛り上がれるし、むしろ飲んだら暴走してしまいそうなくらい、心が高ぶっていることがあります。幾つになっても。
本当に10代でフェスを体験できる子がうらやましい。
フェスの会場には、もちろん若い人たちもたくさんいますが、自分と同じくらいの年齢の人も、夫婦や家族連れ、仲間同士のグループ、カップル、そして一人で来ている人もいます。
僕自身は、ほとんど一人で参加することが多いです。大勢で行けばもちろん楽しいとは思います。
今は年に一度その空気の中に身を置き、爆音に体をさらして心を洗い流すような時間を過ごせることが、年に一度の、何よりのご褒美になっています。
「今年もそのために生きててよかった」と思える瞬間が、またやってきます。今年も、ワイルドバンチに行きます。
2025年、次に行けば6回目になります。「WILD BUNCH FEST.(ワイルドバンチ)」というフェスについても、少しだけ触れておきたいと思います。
他のフェスに行った経験は数えるほどしかないので、単純に比較することはできません。ただ、それでもワイルドバンチの会場は本当に素晴らしいと感じています。

まず何より、会場全体が平坦で階段も坂道もなく、移動しやすいというのが大きな魅力です。ステージ間の距離もそれほど離れていないので、観たいライブをはしごしやすく、時間のロスも少ないと感じます。
木陰はほとんどないのですが、それでも広大な平地にすべてが配置されていて、視界が開けているのが気持ちいい。さっき隣にいた人と別のステージでまた出会うような、そんな親近感もあります。
駐車場から会場までも近くて、移動が苦にならない。フェスが終わった後の“脱出”もスムーズで、余韻を持ったまま帰路につけるのも嬉しいポイントです。
新幹線駅からのシャトルバスも近くてアクセス面でも不安がありません。将来、もし足腰が弱くなっても、このフェスだったらまだ行けるかもしれない――そんな希望を感じさせてくれる会場です。
実際に、ワイルドバンチは「行きやすい」「過ごしやすい」と言っている人がとても多いです。僕もそう思います。音楽だけじゃなく、環境ごと楽しめるフェスだからこそ、また次も行こうと思えます。
もう、自分は若い頃のように、ずっと拍手をし続けたり、飛び跳ねたり、走ったりすることは難しくなってきました。歌うことは好きですが、全力で声を出しても、もう長くは続かないかもしれません。
でも、そんな自分でも、たった一曲、5分だけでも信じられないほどテンションがあがり、楽しいと感じる時間がある。それだけで十分です。
なぜこんなにも心が動かされるのか、正直よくわかりません。カラオケで歌っても、ライブハウスで聴いても、YouTubeでヘッドホンを使って聴いても、こんなふうに興奮することはありません。
この感覚は、広々とした野外の空間で、大音量のスネアドラムやベースが体の芯に響き、空を切り裂くようなエレキギターの音、高く抜けるようなボーカルの声、あるいは深く染み渡るような女性ボーカルの声が響いてくる――そんな時に生まれます。
音のひとつひとつが、聞いたことのないメッセージのように降り注ぎ、まるで会場に集まった全員の存在をまるごと受け入れて、許してくれているような気がするのです。
サンボマスターの歌でいえば「愛と平和」「ロックンロール」がそこにあります。
それが、どんなアーティストの組み合わせであっても変わらないというのは、本当に不思議で、そしてすごいことです。
誰が主役というわけではない。ステージに立つアーティストも、客席にいる僕たちも、そこに集うすべての人たちが、それぞれの人生を背負いながら、同じ場所で音に揺れている。そんな瞬間こそが、フェスという空間の一番の魅力なんだと思います。
Edited by REI / with support from ChatGPT , Image generated with Canva
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