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精神障害者の定着率49.3%——平均という便利な数字に振り回されないでほしい。|届かない人にどう届けるか。

「精神障害者の1年定着率は49.3%」。この数字を見て、就職活動が怖くなった人もいると思う。

僕もそうだった。

「半分が辞めるのか」
「自分も辞める側に入るんじゃないか」。

働きたいのに怖い。

でも、この数字の中身を知ったら、見え方が変わった。

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平均値のからくり

49.3%という数字は平均値だ。平均値は、極端な値に引っ張られる。

たとえば、受け入れ体制の整った職場で5年以上働いている人がいる一方で、配慮のない職場に入って1ヶ月で辞めた人もいる。

両方をまとめて「平均」を出すと、実態からずれた数字になる。

本当に知りたいのは「自分がどちら側に入るか」。

そしてそれは、自分の能力や病状だけで決まるのではなく、環境によって大きく変わる。

残念ながら、この定着率を「どういう条件の職場で高いか」まで掘り下げた公的データはまだまだ少ない。

平均の数字だけで、自分の未来を悲観的に考える材料としては不十分である。


環境で結果が変わる

定着率を左右する要因は研究でもいくつか示されている。

支援機関の介入があるかどうか。

就労移行支援やリワークを経て就職した人と、支援なしで就職した人では、定着率に差が出る。

間に立つ人がいることで、企業との認識のズレを早い段階で修正できる。

業務内容のマッチング。

自分の特性に合った業務を任されているかどうか。マルチタスクが苦手な人にマルチタスクを求める職場に入れば、当然続かない。

上司や同僚の障害理解。

「精神障害って何に配慮すればいいの?」がわからないまま受け入れている職場では、お互いが疲弊する。

逆に、具体的な配慮事項を共有できている職場では、長く働けているケースが多い。


数字に振り回されない

「半分が辞める」という印象は、

裏を返せば「半分は続いている」ということでもある。

そしてその「続いている半分」がどういう条件で働いているかを知ることのほうが、ずっと大事だ。

定着率の数字を見て「自分には無理だ」と感じたら、一度立ち止まってほしい。

その数字は「あなたが辞める確率」ではなく、

「あらゆる条件の人をまとめた平均」にすぎない。


自分に合った環境を選ぶ

じゃあ、定着しやすい環境をどう見つけるか。

トライアル雇用を使う手がある。

最大12ヶ月の試用期間で、自分に合うかどうかを確認できる。

合わなければ辞められるし、企業側にもリスクが少ない。企業側にも補助金がでる。

お互いの「お試し期間」だ。

職業センターでは、職業準備支援やジョブコーチ制度を使って、自分の特性に合った仕事や職場環境を一緒に探してくれる。

「なんとなく求人に応募する」のではなく「自分に合う条件を言語化してから探す」ほうが、結果的に定着率は上がる。

就労移行支援事業所でも、企業実習やマッチングの支援がある。

実際に働いてみてから判断できる機会があるだけで、ミスマッチのリスクは大きく下がる。


辞めることは失敗ではない

それでも合わない職場に入ってしまうことはある。

そのとき、辞めることは「失敗」ではない。

合わない環境にいることで症状が悪化するほうが、よほどリスクが大きい。

定着率の「49.3%」に含まれている「辞めた人」の中には、より良い環境に移って今は安定して働いている人もいる。

1社目で辞めたことだけを切り取って「失敗」とカウントするのは、その人のその後の人生を無視している。

大事なのは、「続けられる場所を探し続ける」ことだ。

1回で見つからなくても、2回目、3回目で合う場所に出会えることはある。

僕のリワーク仲間にも、1社目では合わなかったけれど、2社目で自分に合った業務と出会い、3年以上続いている人がいる。

その人は「1社目を辞めた経験があったから、自分に何が合わないかがはっきりした」と言っていた。


まとめ

「精神障害者の定着率49.3%」は、あなた個人の未来を予測する数字ではない。

環境が合えば長く働ける。

合わなければ環境を変えればいい。

定着率はただのごちゃ混ぜのただの数字でしかない。

数字に振り回されるより、自分に合った条件を言語化して、支援機関を使って探すこと。

それが定着への一番の近道だと僕は思っている。

あなたの未来は、統計の平均値ではなく、あなたが選ぶ環境で決まる。

あなたの能力の問題ではなく、障害の受容と、環境調整の問題だ。


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