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#46『薄明』第9章:楽園③

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テラスに設えられたデイベッドの上、静かな潮騒をBGMに、櫂は茉莉を優しく押し倒し、自分もゆっくりと隣に横たわった。

星明かりが、彼女の白く細い指先を淡く照らし出している。

自分の顔を見て、茉莉が緊張して泣きそうになっているのが伝わる。

​「……茉莉。大丈夫ですよ、リラックスして」

櫂は茉莉の額に優しくキスをする

「ふしだらだなんて、思わないでください。むしろ、あなたがあなた自身を愛し、慈しむことは、私を愛することと同じくらい尊いことです」

​「櫂……でも…」

​「いいですか。あなたのこの指先が、どこに触れると熱くなるのか……。
それを、自分自身で知ってほしい。
私がいない時、あなたが自分を慰めるためのひとつの方法として」

​櫂は茉莉の震える手を取り、そっと彼女自身の胸元へと導いた。

薄いシルク越しに、鼓動が指先に伝わる。

​「……怖がらないで。……その熱は、あなたが生きている証で、私が愛している証拠です」

そう言いながら櫂はサイドテーブルからライチをひとつその手に取った

月光に照らされたその果実は、赤黒い無骨な皮に包まれ、まるで頑なに心を閉ざしたつぼみのようにも見える。

​「これを見てください、茉莉」

茉莉の目の前で、​櫂はそのライチを、自身の親指の爪を使いその硬い皮へとゆっくりと食い込ませた。

パキッ、という小さな、けれど静寂の中では鮮烈な音が響く。

​「皮を剥くまでは、中がどうなっているか……どれほど瑞々しいものが隠されているか、誰にもわかりません。……あなた自身にさえも」

​彼の手によって、粗い外殻が剥がれ落ちていく。

中から現れたのは、驚くほど白く、月の光を透過させるほどに澄んだ、ムーンストーンのような果肉。

溢れ出した透明な蜜が、櫂の指先を濡らし、甘く清涼な香りが二人の間に立ち込める。

「…きれい」

​「ええ…あなたと同じです。
この白さも、秘められた蜜の多さも」

​櫂はその濡れた果実を、茉莉の唇へとそっと寄せた。

彼女が戸惑いながらも小さな口を開けると、ひんやりとした果肉が滑り込む。

​「……噛まずに、舌の上で転がしてください。……そう。……ゆっくりと、その形を確かめるように」

​茉莉の口内に、ライチ特有の洗練された甘みが弾ける。

「美味しい……」
そう漏らそうとした彼女の唇を、櫂の指が人差し指で優しく塞いだ。

​「感じてください。……その瑞々しさが、あなたの熱で溶けていくのを。……あなたが自分に触れるときも、同じです。
無理にこじ開けるのではなく、ただ慈しむように、……溢れ出す自分の蜜を、指先で愛でてあげればいい」

​櫂は、茉莉の口内に残るライチの種を、自身の指でそっと受け止めた。

そしてそのまま、蜜で濡れたその指を、彼女の胸元へ……シルクのキャミソールの隙間から滑り込ませる。

​「……今、あなたの口の中で溶けた甘さと、……今から私があなたの指で教える熱。……どちらも、あなたが等しく愛し、受け入れるべき『あなた自身』です」

茉莉は、口の中に残るライチの余韻と、身体の奥からせり上がる未知の疼きに、ただ胸を震わせることしかできなかった。

​「……さあ、茉莉。……私を想いながら、…その美しい指で…魔法をかけましょう。」

​夜の海が、二人の吐息を飲み込むように、静かに、深く凪いでいく。


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焦らすねえ🫠
櫂は茉莉が拒否反応を示さないようにかなり慎重に、美しい表現で頑張っています
明日は多分18禁になります

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