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#21『薄明』第4章:名前を呼んで⑥🔞

【大切なお知らせ】​
いつも物語を見守ってくださり、ありがとうございます。
今回と次回のお話は​成人向けの表現が含まれますので、18歳未満の方はご遠慮ください。

正直少し踏み込んだ内容になっているため、有料にした方がいいのか悩みましたが、櫂と茉莉にとって、そしてこの物語にとっての重要なターニングポイントとも言える大切な回で、
自分的にも、ものすごく思い入れがありお気に入りのエピソードですので、二人の覚悟を一人でも多くの方に届けたいと思い、無料公開といたしました。

​二人が初めて結ばれるこのシーンを、私は「ただの性愛」ではなく、「命のやり取り」のような、純粋で圧倒的な大人同士の愛の証明として書きました。

​二人が身分を捨てて、ただの男と女として求め合う、熱く静かな嵐の夜。その温度を、どうぞ感じ取ってください。

ちなみに前回のお話はこちら
かなりもどかしい。

それではどうぞ。



外で大きな雷鳴が轟いた瞬間、マンションの寝室のドアが控えめにノックされた。

​「……櫂…、起きてる?」

扉が少しだけ開き、その向こう側に​枕を抱えた茉莉が、ネグリジェ姿で所在無さそうに立っていた。

櫂は、本を置いて驚いて立ち上がる。

​「……お嬢様…あ、 いえ、茉莉。
どうしたんですか、こんな時間に」

​「……雷が、……やっぱり…怖くて…
その…、昔みたいに、そばにいてほしい…の」

深夜1時

櫂は、ためらう。

今の自分たちが─
いや、"自分"が、

昔のようにただ寄り添うだけでは済まないことを自覚しているからだ

櫂はしばらく押し黙っていたが、意を決して尋ねた

​「……私のベッドは、狭いですよ。

……後悔、

…しませんか」

低く、ゆっくりそう尋ねると、茉莉は一点を見つめしばらく黙っていたが、やがてこくりと頷いた

茉莉もおそらく自分と同じく、覚悟を持ってこの部屋に来ている

「……。では、どうぞ」

​彼は静かにシーツの端をめくって、茉莉を迎え入れた。

隣に収まった茉莉の体温に、彼は生きた心地がしないほど緊張して、ただ、天井を見つめて固まっている…。

​ピカッ、とカーテンの隙間から閃光が走り、一拍置いてズズーン……と腹に響く雷鳴がマンションを震わせる。

その振動に合わせるように、隣で茉莉がびくりと肩を跳ねさせた。

​「……大丈夫ですよ。ここにいます」

​昔、雷の夜はベッドで茉莉をなだめて寝かせたことがしょっちゅうあった

茉莉はまだ幼くて、雷が鳴るたびに怖いと泣いていて
俺はどうしていいかわからず、大丈夫、大丈夫と言い続けた

昔見たDVDを思い出し
ひとつずつ好きなものを順に言い合っていたら、ふたりしてそのうち眠ってしまった。

そしてそれが雷の日の2人の過ごし方になっていった。

──あれはいつまで続いただろうか

「大丈夫…」

あの頃よりも低い声。

天井を見つめていた視線を落とすと、ネグリジェの襟元から覗く茉莉の白い首筋が、吐息がかかるほど近くにある。

あれから…約1ヶ月半。あの日、衝動のままに彼女の唇を奪ってから、彼は鋼の意志で彼女に指一本触れずに過ごしてきた。


「……昔を思い出しますね」 

沈黙に耐えきれず、櫂が言葉を落とした

「うん…。よくこうして櫂のベッドに潜り込んでたね」

「…またやりますか?好きなものを順番に言い合って」

「ふふ、サウンドオブミュージックね。あの映画好きだった。」

茉莉はその映画のワンシーンを懐かしそうに言うと、好きなものをひとつ挙げた

「私の好きなもの。香りのいい石鹸」

「私が好きなもの…、
茉莉の、美しい髪」

「……。

私が好きなもの、…レースみたいに繊細なアイシングクッキー」

「私が好きなもの、お菓子作りが苦手な茉莉」

「ちょっと…櫂」

「私が好きなもの、……茉莉」

「櫂ってば」

「茉莉が好き」

「櫂…、ずるいよ」

「……好きです。茉莉。……心の底から」


今にも泣き出しそうな顔で櫂がそう言うので、茉莉は何も言えなくなってしまった

その代わり、涙があふれた

震える声で、茉莉は、…大切に。

次のひと言を櫂に伝えた


「……私が好きなもの…。

櫂。」



その言葉を聞いた瞬間、櫂は全てを捨てた

征嗣への恩義も、我慢も、役割も、世間体も。

茉莉を抱き寄せ、固く固く、抱きしめた

雨が激しく窓を叩きつけている

茉莉も、おずおずと櫂の背中に手を回した

2人はそのまま長く、その存在を確かめ合うように抱き合っていた。

お互いの呼吸がすぐそこに聞こえる


​「………怖くないですか。」

「……雷が?」

「………。

いいえ…。

私が今からあなたを抱きたいと思っていることが」


櫂は正直に告白した

茉莉は濡れた目で櫂を見上げて瞬きをする

その眼差しに恐れはなかった


「いやだったら……言ってください」


​櫂は躊躇いがちに、彼女の唇に触れた

最初は羽毛のように軽い、遠慮がちなキス。
頬に、鼻に、唇に。

茉莉の頬を包みながら
確かめるように目を見つめ、しばらく何度か繰り返した。

やわらかい。

脳が溶けて無くなりそうだ


茉莉が小さく「……ん…」と喉を鳴らし、櫂のTシャツの裾をぎゅっと掴んだ瞬間

……もうダメだった。

櫂がそれまで鉄のような意志で守ってきた厚い壁に亀裂が入り崩壊してしまう。

​「……っ、……あ……」

​唇に舌を挿入すると茉莉は戸惑いながらそれを受け入れた。

ちゅ、ちゅ、と湿った音を立てて、深く…混ざり合う。

……幸福で、頭が痺れる…

櫂の手が茉莉のネグリジェの裾から滑り込み、柔らかな腰の曲線をなぞった。

自分でも滑稽なほどに指が震えていた。

茉莉の吐息が漏れるたびに、櫂の気持ちが炭のように静かに熱く燃えていく

​「………力…。強くないですか
痛かったりしたらすぐに教えてください」

彼の唇は茉莉の耳朶を食み、鎖骨の窪みを舐めとっていく。

ネグリジェをたくしあげ、白く、柔らかな果実のような胸に唇が到達すると
櫂は吸い寄せられるようにその谷間へと顔を埋めた。

​「……。こうしていると、胸が苦しいほどに…安らぐ…」

我ながら矛盾した言葉で笑える
しかし、そうとしか言えない

​甘い石鹸の香りと、早鐘のような茉莉の愛おしい鼓動。

それを耳元で聞きながら、櫂は大きな手のひらで彼女の胸を優しく包み込み、片手で後ろのホックを外すと指先でその先端を丁寧に、焦らすように弄んだ。

​「……っ、櫂…」

​「………」

櫂は無言で熟れた実を食むように、一方の胸を深く口に含んだ。

赤子のように乳首を吸い上げ、舌先で尖りを転がす。

​「はっ……あっ……櫂、…………っ」

​電気のような刺激が背中を駆け抜け、茉莉は彼の髪に指を絡ませて、無意識にその頭を自分の胸へと押し付けた。

「お嬢様」のこんなにも無防備で甘美な声。

櫂の自制心は、音を立てて崩れ去って砂になり、いとも簡単に遠い彼方へ吹き飛ばされた。

柔らかな胸を唇で愛でながら、櫂の指は腹部をすべり、太ももの内側、最も柔らかい場所を羽先でなでるように愛撫し、やがて、まだ蕾のように閉じている秘部へと辿り着いた。

​「あ……! ……」

​鋭く、甘い痺れ。

櫂の指は、まるで魔法のように、下着の上から茉莉の身体が一番欲している場所を正確に捉えていた。

ショーツをずらして指の腹でくちゅくちゅと音を立てて解きほぐし、甘い痺れを刻み込むように丁寧に刺激する

​「……っ、……っ……あぁ…あ……っ…!」

​「茉莉、リラックスして……全部、私に預けてください」

​長い指がゆっくりと中へ滑り込み、壁を優しく、かつ力強く掻く。

大切に慈しむように、その指を動かしていく

あまりの快感に、茉莉の視界が火花を散らすように白く染まった。

雷の音さえ聞こえなくなるほど、頭の中がその指の与える快楽だけで満たされていく

櫂の指使いは恐ろしく繊細で的確で、まるで地図でも持っているかのように茉莉の快感をピンポイントで突いていく

「櫂…櫂……っ…、っ…はぁっ……はっ…」

浅い息を繰り返し震えながら櫂の腕にしがみつく

次第に​茉莉の身体の内側から、制御不能な大きな波が押し寄せて来た。

それは雷鳴よりも激しく、茉莉の意識をさらっていこうとする

その恐怖に茉莉は櫂の腕を握りしめ、思わず叫ぶ

「……や…櫂っ…櫂…
ぁっ………いやっ…怖いっ……」

茉莉の内側の変化に絶頂を察した櫂は指の動きを止めず、むしろ速めて言った

​「……大丈夫、怖くないですよ。そのまま、私に全部任せて。怖がらずに力を抜いて……そう、上手です」

親指で外側の芯を柔らかく刺激し、中の指が一点を強く、深く突いた瞬間、茉莉の身体はびくんと大きく跳ね上がった。

​「あ……あぁっ!!」

​​身体を弓なりに反らし、茉莉は人生で初めての絶頂に、嵐に翻弄される小舟のように震えた。

ドクドクと痙攣し、内側がぎゅうっと熱く締まり、止めどなく溢れ出す蜜が櫂の指を濡らしていく。

茉莉は、自分が今どうなっているのかさえ分からぬまま、止まらぬ快感に飲み込まれるように、身を震わせている。

​一際大きな雷鳴が轟いたが、今の彼女には、自分の荒い呼吸と、耳元で繰り返される櫂の熱い吐息しか聞こえていなかった。

櫂は、その初々しくも艶やかな反応に胸が焦がれ、愛おしい彼女の額に、頰に、唇に、降るようにキスを落とした

自分の身体に何が起こったのかまだ受け止めきれず震える茉莉の身体を強く抱きしめ髪の毛を撫でる

……この反応は、

もしかして…


「………。もしかして…

イクの…初めて、でした?」


茉莉がピクッと肩を震わせ、耳まで真っ赤になっている

櫂は察して思わず天を仰いだ

(嘘だろ…。。。……可愛すぎる…。……茉莉、なんて愛おしいんだ……)

​彼の瞳には、途方もない慈しみと、そして、もう二度と彼女を離さないという情欲が、混濁して渦を巻く。

両手で茉莉の頬を包み込み、彼女の真っ赤に潤んだ瞳を見つめながら伝えた

「……恥ずかしいことも怖いこともない……あなたは今、最高に綺麗でしたよ。
これから、私が何度だってあなたを天国へ連れて行ってあげます。

…いえ、…行きましょう。一緒に。

これから、何度も、何度でも」



次回は2人がついに心も体も結ばれます。

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