生もみじ(もみじ饅頭) にしき堂 広島市 和菓子なスクチャイ143 2025.10.24
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※くまの身長は7.5cm。大きさの参考に。
生もみじ(もみじ饅頭) にしき堂 広島市


1.漫才ブーム
もみじ饅頭と言えば昔の漫才ブームだ。
漫才ブーム(1980-82年)の頃の広島&岡山出身の漫才コンビB&B(3代目)の広島出身の島田洋七(後に佐賀在住)が岡山出身の相方島田洋八の岡山を田舎臭いと腐すネタで言っていたギャグだった。
広島が岡山を田舎臭いと腐す構図が微妙に面白かった。
なぜか自慢げにもみじ饅頭が出てくるのが毎度面白く、広島自慢の「もみじまんじゅう〜!」と言うときに両手を大きく動かしてもみじ饅頭の輪郭を表すのが特徴だった。
子供だった吾輩はそれが目に焼き付きもみじ饅頭の存在を強烈に記憶した。
たぶん当時の日本国民のほとんどすべてがそうだったのではないだろうか。
この漫才によってもみじ饅頭の宣伝効果が抜群だったはずだ。
2.広島で食べたもみじ饅頭は・・・
後年、旅人になった吾輩は広島でついにもみじ饅頭を買って食べた。
B&Bのギャグを思い浮かべながら念願のもみじ饅頭をようやく食べることになった感動は深かった。
美味しかった。
しかし、どら焼きのような生地でもみじの葉の形をしていて中にあんこが入ってるだけで味は一般のどら焼きみたいなもん、という感想だけだった。
ま、フツーに美味しく形がもみじでちょっと珍しいだけのお土産ね。
ということで「もみじ饅頭」の初体験は終わった。
3.「生」を発見
それから数十年後・・・
今回「生の」もみじ饅頭「生もみじ」というのを見つけたのだ。
場所は近所のイオンモールの食品売り場だった。
その食品売り場では定期的に全国の物産品を置くのだ。
そこで「生もみじ」の箱を目にした吾輩は「こんなんあるんや〜」と見つめてしまっていた。
すると、傍から店員さんに連れられたひとりのおばちゃんがやってきた。
おばちゃんは息を切らせながら「あ“〜!これ〜!そうそう!これなのよ〜!どこにあるのかとさんざん探したのよ〜!」と言いつつ嬉しそうに一箱を手に取って買い物籠に収めた。
その場所はいつも物産品を売っているワゴンから少し離れた別の売り場だったのだ。
吾輩も先にいつものワゴンを覗いていたが、そこには別の小袋入りもみじ饅頭がバラ売りされていただけだった。
隣には吉備団子も売っていた。
小袋入りのもみじ饅頭は明らかに以前食べてフツーに思ったやつで、よく見かけるやつだった。
それでそこではもみじ饅頭は買わなかったのだが、隣には吉備団子のパッケージがあった。
ふーん、今回は広島と岡山の物産なのね(まるでB&Bだ)とわかり、岡山の吉備団子の方は包み紙が可愛いという理由だけで買うことにした。
レジでの精算後、帰りがけに別の催事場を覗いてみると今回の「生もみじ」の箱が積まれていたのだ。
いつものワゴンに置けないのは幅をとるせいかもしれなかったが、ともかくこんなところまで広島の物産が続いているとは誰も思わないだろう。
きっとチラシにも載せていた商品かもしれないが、それを見て買いたくて来たおばちゃんがいつもの物産品ワゴンを見てもこの「生もみじ」がないので探してまくって最終的に店員に訊いたというわけだ。
「あ“〜!これ〜!」と高音で叫んだおばちゃんの子供のような喜びようだったが、そんなに喜ぶってことはよっぽど美味しいもみじ饅頭なの?
「生」が気になるし、賞味期限を見るとほんの一週間程度なので確かに生っぽい。
ただし丁寧に包んだ箱入りなので中身はわからない。
一方の、さっき見たワゴンの個別包装バラ売りの賞味期限は1か月はあったように思う。
賞味期限が長いのはいろいろな要素で「ザ・みやげもの」なので食指は動かない。
その「ザ・みやげもの」と比べたら、キリストが復活した時のような雄叫びをあげたおばちゃんがカゴに入れた「生もみじ」が只者ではないことは明白だ。
そもそもそのおばちゃんは岡山出身か?
なんでそんなにもみじ饅頭が食べたかったん?
しかもあっちの日持ちする安いバラ売りではなくて、こっちの高もんの箱入り「生」でなかったらあかんのん?
疑問だらけだったが、おばちゃんは箱をカゴに入れたら急いでいるようですぐにレジに消え失せ、残念ながらインタヴューが出来なかった。
さて、吾輩ももう一度レジに行く覚悟でこの「生」の箱を手に取った。
吾輩にとっては、B&Bの「もみじまんじゅう〜!」のパフォーマンスもおばちゃんの「あ”〜!」のパフォーマンスも同類だった。
どっちも気迫がこもっていたのだ。
そもそもB&Bのもみじ饅頭もこっちの「生」の方だったのかもしれない。
味には期待できそうだ。
そもそも高いのだ。
6個入りで税込1,060円。
4.お菓子のグリーン車




厳かに包み紙を破ると、中はやっぱり人様にあげる仕様の柄入りの立派な箱だった。
その箱を開けると、個包装が6個整然と並んでいた。
お菓子が上品にゆったりと収まっているそこはお菓子のグリーン車だった。
ちゃんと振動を吸収してくれる緩衝材も敷いてあった。
お菓子のグリーン車の乗客で、大事にされているお菓子なのだ。
粒あん、こしあん、抹茶あんの3種の餡の饅頭が2個ずつで合計6個だ。
5.食べる


3種類の味を見るために開けて並べてみた。(写真)
形が少し崩れているのかもともとそんな形なのかわからない形をしていた。
特にこしあんはマンボウみたいな形だった。
触ってみてわかったが、生地はふんわりして柔らかい。
ケースに入って個包装の袋に覆われているが、この柔らかさでは、少し傾けても変形してしまうだろうと思った。
グリーン車に乗ってやって来た理由がわかった。
こんな柔らかさでは、別のワゴンで売っているような個包装のバラ売りはできない。
あちらは本体がもっとしっかり締まっているのだ。
そして吾輩がずっと以前に広島現地で買って食べたもみじ饅頭も、生地がしっかりしたものだった。
だからその時は、一般のどら焼きと同じと思ったわけだ。


しかし今回の「生」は違う。
か弱い生地だけでも美味しいし、その柔らかい生地の中にはきめ細かな餡が入っていた。
粒あんもこしあんも抹茶あんもなめらかで明らかに上等な餡だった。
こりゃ美味しい!
思わずB&Bの「もみじまんじゅう〜!」のギャグをしそうになるほどだったが、広島の島田洋七が主張していたのはこのもみじ饅頭だったのか!
・・・とギャグから45年経った今ようやく気づいたのだった。
6.もみじ饅頭解説
もみじ饅頭は広島県を代表する銘菓でありその歴史と多様性から多くの観光客に愛されている。
7.もみじ饅頭の基本情報と歴史
7.1.誕生の経緯
発祥地は広島県宮島(厳島)だそうな。
誕生時期は明治時代後期(明治39年/1906年頃)。
考案者は宮島の和菓子職人高津常助氏で、宮島の紅葉の名所「紅葉谷公園」にある旅館の女将から「紅葉谷にふさわしいお菓子を」と依頼されたことが発端とされている。
7.2.逸話
初代内閣総理大臣の伊藤博文が宮島を訪れた際、茶屋の娘の手を見て「紅葉のような可愛い手を食べるなら、これを焼いてくれ」と冗談めかして話したことが、もみじの形をヒントにしたという説があるそうだ。
7.3.形
広島県の県花・県木であるもみじの葉をかたどった可愛らしい形が特徴だ。
7.4.生地
卵をたっぷり使ったカステラ生地が一般的で、ふんわりとした食感。
7.5.餡
もともとはこしあんが主流だったが、後につぶあん(岩村もみじ屋が元祖とされる)が加わり、現在では多様な餡が使われている。
8.現代のもみじ饅頭の多様性
もみじ饅頭は、考案者の高津常助が商標を独占しなかったため、現在では多数のメーカーが独自の工夫を凝らして製造販売しており、その種類は非常に豊富だ。
8.1.多様な餡(フレーバー)
定番のあんこ以外にも、洋風のフレーバーが人気だ。
定番和風:こしあん、つぶあん、抹茶あん、栗、いも
洋風:チョコレート、クリーム(カスタード)、チーズクリーム
季節限定:さくらんぼ、かぼちゃ、メープルチョコレートなど
8.2.進化した生地と食感
主要メーカーの競争により、従来のふんわりとしたカステラ生地から進化した「生もみじ」「手焼きもみじ」「桐葉菓」が生まれている。
8.3.「生もみじ」
今回紹介した「にしき堂」の「生もみじ」は進化系もみじ饅頭の代名詞となっている商品で、広島県産の米粉と餅粉を使用し、もちもちしっとりとした生地が特徴の生菓子タイプだ。
8.4.「手焼きもみじ」
「高津堂」や一部の老舗は手焼きにこだわる「手焼きもみじ」を製造しており、独特のしっとりとした食感が楽しめる。
8.5.「桐葉菓」
「桐葉菓」はもみじ饅頭とは異なるが、例えば「やまだ屋」はもっちりとした生地で粒あんを包んだお餅のような和菓子を製造販売している。
9.もみじ饅頭の有名メーカー
もみじ饅頭の有名メーカーはそれぞれ生地や餡の甘さ、食感に違いがある。
9.1.「やまだ屋」
スタンダードな味に加え、餡の種類が豊富。
9.2.「藤い屋」
生地や餡が上品で、粒あんは粒々感がしっかりしているのが特徴。
9.3.「高津堂」
元祖の製法を復活させた店舗。葉脈がはっきりした型と、時間が経っても硬くならないもっちり生地が特徴。
10.まとめ
もみじ饅頭は、そのまま食べるだけでなく、揚げもみじ(揚げて提供される)、冷やして食べるなど、様々な楽しみ方があるのも魅力らしい。
結構たくさんのメーカーがあってそれぞれの特徴もあるので、いっそのこといろいろなメーカーを食べてその違いを楽しんでみるのもいいかもしれない。
調べてみるとこんなに多種多様なもみじ饅頭があってしかも進化型もあるということで、結局45年前にB&Bが言っていたもみじ饅頭がどのもみじ饅頭かを特定する試みなどは意味のないことと気づいた。
ただ、あの頃食べたもみじ饅頭よりも今のもみじ饅頭の方が数段美味しくなっていることは間違いはなさそうだと思った。
(おわり)
