神話の月 桂月堂 島根松江 和菓子なスクチャイ108 2025.08.29
和菓子なスクチャイ108 島根 > 松江
※くまの身長は7.5cm。大きさの参考に。
神話の月 桂月堂 島根松江







1.「神話の月」の形態
文化6年(1809年)創業の桂月堂が作る「神話の月」はいわゆる錦玉(きんぎょく)を主体としたお菓子で、寒天を主原料とする透明なゼリー状の和菓子だ。
そこに白い小豆を浮かべることで月夜の情景を表現している。
この錦玉に香り付けとして使われているのが島根県斐川町(旧出西村)特産の出西(しゅっさい)生姜だ。
出西生姜といえば以前紹介した来間屋の生姜糖にも使用されており、一般的な生姜よりも香りが強く辛みがまろやかなのが特徴なのだ。
この独特の風味は他の生姜にはない上品さを持ち、「神話の月」では錦玉の澄んだ甘さと相まって菓子全体を格調高い味わいに仕上げている。
この希少な生姜を用いることでただ美しいだけでなく味覚にも記憶に残る特別な菓子となっているのだ。
2.食感と味
表面に薄く乾燥した砂糖が覆っているので僅かにカリッとした感触があり、次いで中のプルプルしたゼリーを感じる。
甘さの中に生姜を感じるが生姜の風味は弱く、意識していないと感じないほどだ。
もう少し生姜の香りと味のパンチを効かせてもいいのではないかと吾輩は思った。
3.神話と月夜が織りなす情景
この丸いお菓子は単に月を模しただけではなく、中に浮かぶ白小豆を月や星に見立て、透明な錦玉は夜空や月光が降り注ぐ水面を表しているのだ。
古代の出雲は神々のふるさとであり、夜になると神々が静かに集う場所と信じられていた。
このお菓子はそんな神話の時代に思いを馳せながら静謐な月夜の情景を愛でるためのものなのだ。
桂月堂はこのお菓子を通して出雲の自然美とそれにまつわる豊かな神話の世界観を表現しているわけだ。
「神話の月」は、お茶席のお菓子としても人気が高く、冷やして食べるとより一層のどごしが良く爽やかな風味を楽しむことができる。
4.桂月堂の歴史と「神話の月」
桂月堂は、文化6年(1809年)に創業した200年以上の歴史を持つ非常に古い和菓子店だ。
「神話の月」は昭和48年(1973年)に誕生した。
桂月堂のその長い歴史の中では比較的新しいお菓子だ。
出雲の神話と宍道湖の月夜をテーマに、伝統的な和菓子の技術と新しい感性を融合させて作られた。
5.桂月堂のお菓子
桂月堂の菓子は「茶の湯の心を伝える」ことを大切にして派手さや奇を衒うことはせず、素材の持ち味を最大限に引き出した素朴で品の良い味わいが特徴のお菓子が多い。
特に風流堂や彩雲堂と同様に「朝汐」や「若草」も製造販売している菓子店である。
桂月堂はこれらの伝統的なお菓子を今も職人が手作りで守り続けており、松江の茶の湯文化とともに育まれた繊細で奥深い味わいを楽しむことができるお菓子屋さんなのだ。
6.購入場所と値段
島根県アンテナショップ「日比谷しまね館」で購入。
路芝6個入り税込972円
(おわり)
