かるかん 有限会社トーヨーセイカ 鹿児島県枕崎市 和菓子なスクチャイ306 2026.07.08
和菓子なスクチャイ306 鹿児島県 > 枕崎市
※くまの身長は7.5cm。大きさの参考に。
かるかん 有限会社トーヨーセイカ 鹿児島県枕崎市


1.単純な原材料のかるかん
以前紹介した「黒いこもち(いこ餅)」と同じメーカーの「かるかん(餡なし・棹物)」も仙台駅九州催事場で買っていたので後日食べた。
かるかんは以前「まるや食品」(指宿市)のものを紹介しているが、今回のかるかんはメーカーは違うものの同じく枕崎市であり、餡なしの棹状のものだ。
しかし原材料を見てみると以前の「まるや食品」のかるかんには糖入山芋(山芋、砂糖)、かるかん粉(うるち米、もち米)、トレハロースが使われているのに対し、今回の「トーヨーセイカ」のかるかんの原材料は、砂糖、米粉、山芋だけと非常に単純だ。まるや食品が変なものを使っていると言うわけではないが、吾輩としては純粋な原材料から作られるお菓子の方が好きなので、例えば店頭に両方並んでいたら「トーヨーセイカ」のかるかんの方を選ぶ。



2.餡なし棹状のかるかん
現在全国的に有名なのは丸い饅頭の中に餡が入った「かるかん饅頭」だが、吾輩が手に入れた「餡なしの棹(さお)状のかるかん」こそ、まさに鹿児島の歴史が詰まった伝統の原点スタイルなのだそうだ。
「かるかん(軽羹)」は江戸時代、薩摩藩(鹿児島)で生まれた格調高い祝菓子だ。
「軽い羹(あつもの:羊羹のような蒸し菓子)」という意味から「軽羹」と名付けられたと言われている。
明治〜大正期に餡入りまんじゅう型が考案される前は、大きな四角い型で蒸し上げ、羊羹のように切り分けて食べる「白く素朴な生地そのものを味わうお菓子」だった。
トーヨーセイカでは、この昔ながらの「棹(さお)タイプ」を大切に作り続けていて、生地そのものの旨みで勝負する職人のこだわりが詰まっている。
かるかんを食べると、スポンジケーキのようでありながらしっとりともっちりした独特の弾力を感じる。
吾輩、そこがかるかんの好きなところなのだ。
初見では乾いたパンのようにも見えるが、決してカサカサしておらず、実はしっとりとしているのだ。
そしてその食感を生み出しているのは山芋だ。
かるかんは、小麦粉や卵を一切使わず、すりおろした山芋に、かるかん粉(粗めにおいたうるち米の粉)、砂糖、水を加えて蒸し上げる。
山芋の強い粘りと気泡を抱え込む力によって生地がふっくらと膨らみ、雪のように真っ白で空気を優しく含んだ独特の食感が生まれる。
餡が入っていない分、山芋のほのかな風味とお米の甘み、砂糖の上品な甘さが楽しめるのだ。
3.トーヨーセイカのかるかんの魅力
枕崎のトーヨーセイカが作るかるかんは、地元の家庭で日常のお茶請けとして愛されてきた素朴さと、しつこさのないすっきりとした甘さが特徴だ。
添加物を使わず、蒸し菓子ならではの自然な水分をしっかり保っているため、切り分けたときの断面もしっとりとしていて、一口ごとにやさしい風味が鼻に抜ける。
4.「まるや食品」か「トーヨーセイカ」か?
さて、吾輩は「まるや食品」と「トーヨーセイカ」のかるかんだったらどちらを選ぶか?
食感は似たり寄ったりで、同時に食べていないので比較するのは難しいところだが、吾輩はどちらかと言うと「トーヨーセイカ」を選ぶ。
砂糖、米粉、山芋だけという潔さ(いさぎよさ)でここまで風味豊かで食感の良いお菓子が作れるものかと感心することしきりなのだ。
前回の「黒いこもち」同様に繰り返すことになるが、鹿児島を始めとして九州のお菓子は、素朴な原材料で美味しく作ったお菓子がいろいろあるものだと思う。
もっと九州のお菓子について知りたくなっている。
きっと吾輩の知らない素朴で美味しいお菓子がまだいろいろありそうな気がしている。
誰か知っているのだったらぜひ教えて欲しいところだ。
(おわり)
