しおせ 甘栄堂 弘前市 和菓子なスクチャイ171 2025.11.28
和菓子なスクチャイ171 青森県 > 弘前市
※くまの身長は7.5cm。大きさの参考に。
しおせ 甘栄堂 弘前市







1.日本三大饅頭の「しおせ」?
先の記事の甘栄堂の「うんぺい」と一緒に買った、同じく甘栄堂の和菓子「しおせ」のお話だ。
待てよ、「しおせ」と言うとどこかで聞いたことがある・・・そうだ!日本三大饅頭「大手まんぢゅう」「薄皮饅頭」「塩瀬饅頭」の「塩瀬(しおせ)」だ!
あとで書くが、吾輩自身も最初は単なる偶然で「塩瀬饅頭」とは何ら関係がないと思っていたものの、実は弘前甘栄堂の「しおせ」は、奈良から三河へと移って当時江戸にあった「塩瀬饅頭」の「しおせ」に由来していたのだ。
2.さっそく食べる



掌(てのひら)いっぱいに載るほどの大きめの紅白饅頭ほどの大きさのドーム形で、ずっしり重いのは中にあんこがぎっしり固まって詰まっているからだろう。
外皮は言ってみたらちょっと塩が効いた「塩落雁」あるいは「しおがま」だ。
尤も吾輩は切るまで中にあんこが入っているとは想像もしていなかった。
買ったお菓子については食べる前にネットで調べたりしないのが吾輩のやり方で、その方が新鮮な発見や驚きが増えて楽しいからだ。
丸のまま齧っても良かったが断面の撮影をするためにまな板の上に置いて果物ナイフを入れた。
落雁やしおがまのように刃を当てたところからポロポロと欠けるのだろうと思っていたが案外柔らかくスッとナイフの刃が入って切れた
売り場にあった味の種類をすべて買ってきたが、白の「プレイン」(素)と「ごま」と「抹茶」だった。
特に「抹茶」は包みを解くと香ばしいお茶の香りがぱあっと広がった。
原材料表示によると人工着色料は使っているようだが香料は使ってないので抹茶本来の香りが漂ったわけだ。
吾輩は気分が良くなり、薄く切ったものに齧りついた。
少し甘さが際立つが、落雁好きな吾輩は大いに気に入った。
お値段はこんな大きくて(直径8-9cm)中にこし餡が詰まっていて一個税込300円だ。
「塩瀬饅頭」とは名前繋がりだけで品物はまったく別物だが、「塩瀬饅頭」はいつも一緒に写真を撮っているナガノのクマのぬいぐるみ(身長7.5cm)の顔よりちっちゃくて一個税込216円だ。
別物なので比較すべきではないが、吾輩は単純に美味しさと食べ応えの点で、どうせお金を出すのだったら圧倒的に甘栄堂の「しおせ」の方を買う。・・・ま、同時に両方売っていることはまずあり得ないし意味のない名前繋がりだけの比べっこなので、もとよりほとんど参考にならない考察だ。
「ごま」の丸ごとの写真を撮る前にうっかりナイフで切断してしまったのでそれをくっつけた形での姿だ。
「ごま」も香ばしくてとても美味しく、たいへん気に入った。
「プレイン(素)」も言わずもがなでやっぱり相当うまいのだった。
落雁(あるいはしおがま)としっかり固めたこし餡の妙で、白のプレインも吾輩の好みに合致した。
甘味が強いと感じるものの、これは逆にパクパクといっぺんに食べてしまわないためのブレーキになっていいかもしれない。
濃くて苦い緑茶か抹茶を飲みながら食べるととても相性がいいように思った。
それで吾輩は抹茶を立ててみた。

なあに、吾輩の抹茶の立て方はガブガブ飲める大盛りで「うら万家」のお作法だ。(家元は吾輩)
3.「しおせ」について
「しおせ」は弘前の甘栄堂だけでなく、津軽地方で見られるお菓子とのことだ。
甘栄堂の「しおせ」は「落雁生地でこしあんを包んだドーム型のお饅頭」だ。
肉まんやお椀を伏せたような丸くこんもりとしたドーム型をしており、一般的な温泉饅頭などより一回り大きくずっしりとした存在感がある。
皮の部分はもち米の粉(みじん粉など)と砂糖、そして少量の塩水で練り上げられている。
そのため、カチカチの干菓子ではなく、「しっとり、ホロホロ」とした独特の柔らかい口どけがある。
そして中にはこしあんがたっぷりと詰まっている。
4.「3種の味(色)」について
「3種」は以下の定番ラインナップだ。
白(プレイン)
最も基本的な味。砂糖とほんのりとした塩気が効いた、シンプルで上品な味わい。
緑(抹茶)
生地に抹茶が練り込まれており、お茶の香りと苦味があんこの甘さを引き立てている。
灰色(黒ゴマ)
生地に黒ゴマがたっぷりと練り込まれていて、食べた瞬間にゴマの香ばしい風味が口いっぱいに広がる。
春には季節限定で「ピンク(桜)」が登場することもあるようだが、通年では上記の3色が基本となっている。
5.歴史と名前の由来
なぜこのお菓子が「しおせ」と呼ばれるのか?
それは、日本で初めて「饅頭」を作ったとされる東京の老舗「塩瀬総本家」に由来すると言われている。
江戸時代、参勤交代などを通じて「塩瀬の饅頭(山芋を使った高級な薯蕷饅頭)」の名が津軽にも伝わった。
しかし、寒冷な津軽地方では山芋が入手しにくかったり日持ちを良くする必要があったりしたため、地元で手に入る「米の粉(落雁の材料)」を使って、その「塩瀬饅頭」を再現、アレンジしたのが始まりと考えられている。
その結果、名前は「しおせ」だが、中身は津軽独自の「あんこ入り生落雁饅頭」というユニークなお菓子として定着した。
6.用途と地元での愛され方
この「しおせ」は、単なるおやつ以上に、儀礼的な意味合いを強く持っている。
仏事・法要
津軽地方では、葬儀や法事の引き出物、お供え物(盛菓子)として「しおせ」が欠かせない存在だ。
その落ち着いた色合いと、日持ちの良さ(生菓子よりは持つ)、そして「塩」が入っていることが清めの意味にも通じるため重宝されている。
お茶席
しっかりとした甘さと口の中の水分を吸う落雁生地の特徴が濃い抹茶や渋い緑茶と非常に相性が良いため、お茶会のお菓子としても親しまれている。
このお菓子を食べる際は吾輩のように少し温かく濃いお茶を用意して、ホロホロと崩れる食感とあんこの甘さをゆっくり楽しんでみるのがいいかもしれない。
(おわり)
