国の借金をゼロにして、みんなで貧しくなろう!?|やさしい“お金の話”9
◆ 第9回|お金が消える世界
前回は、
国の借金をゼロにするためには、
税金を増やすか、政府の支出を削るしかない
という現実を見てきました。
「借金を返すなら、収入を増やすか、支出を減らすしかない」
――これは家計でも同じ理屈なので、
たしかに一見、まっとうに思えるかもしれません。
でも、
国という存在がそれを実行すると、
話は少し変わってきます。
そこで起きることは、
単なる「借金の返済」ではありません。
それは――
社会の中を流れていた
“お金”そのものが、静かに消えていく、
ということです。
この回では、
その“お金が消えていく”という感覚を、
できるだけやさしく、そして実感をもって
書いていきます。
想像してみてください。
たとえば、あなたが持っている1万円札。
スーパーの売上の100万円。
お給料として入ってきたお金。
そのお金は、もともと、
政府が「国債」という手段で
社会に放ったものでした。
もし政府が「借金をゼロにする」と決めたら、
それらのお金を、
もう一度政府のもとに集めようとします。
税金を通してお金を取り戻す。
支出を削って、
新しいお金を出さないようにする。
そうやって集められたお金は、
国債を“返済する”ために、
帳簿の中で消されていきます。
社会の中を流れていたお金が、
一枚、また一枚と“消えていく”。
お金は、モノや金属ではなく、
「記録された数字」です。
だから「借金を返す」ということは、
帳簿に書かれた“お金の数字”を
消すことになります。
(※よくある誤解ですが、これは紙のお札を燃やすという話ではありません。あくまで、コンピュータ上や帳簿上の数字が消える、という意味です。)
それは、
数字の帳簿から“お金の記録”が
消えるだけでなく、
わたしたちの暮らしの中にあった
現金や預金――
つまり、
給料や買い物で使っていたお金までも、
ゼロになるということなんです。
国の借金がゼロになれば、
社会に存在するお金も、この世から消えてしまいます。
この章では、「借金はゼロが理想」
という思い込みに、
別の視点をそえてみました。
国の借金をなくそうとすることが、
かえってわたしたちの暮らしを
苦しくしてしまう――
そんな逆説が、少し見えてきたかもしれません。
次回は――
これまでの連載から見えてきたことを
前半のまとめとして記事にしていきたいと思います。
📚 このシリーズでは、「お金の仕組み」をできるだけわかりやすく伝えています。
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