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カラスに睨まれたあの日、ちゃんと覚えられていた

ゴミ捨ての帰り道、
電線の上から、
カラスにジロッと見られた。

何かしたっけ、と
考えてみても思い当たらない。

気のせい、気のせい。
そう言い聞かせて家に入ったあの日のことを、
最近ふっと思い出した。

たぶん、気のせいではなかった。

ワシントン大学の、原始人マスクの話

2008年ごろ、
アメリカのワシントン大学に
ジョン・マーズラフという生物学者がいた。

この人、
原始人みたいな顔のゴムマスクを被って、
野生のカラスを数羽捕まえて、
タグを付けて、
すぐ放した。

カラスたちは怒った。
それはまあ、捕まえたから怒る。
わかる。

問題はそのあとで、
キャンパスを「原始人マスク」で歩いてみると、
通り道のカラスが
カァカァと激しく騒ぐようになった。

捕まえた本人ではないのに、騒ぐ。
しかも、何年経っても騒ぐ。

5年経ってから「原始人マスク」で歩いても、
カラスは怒っていた。

つまり、
あの「原始人」は、
危ない人間だ、と覚えている。
顔単位で、年単位で、覚えている。

仲間にもちゃんと言いふらしている

ここでもうひとつ恐ろしいのが、
捕まえる現場を見ていなかったカラスまで怒り出したこと。

「あの顔、危ないらしいで」が
群れの中で共有されていた、
ということになる。

カラスは、
自分の体験だけでなく、
仲間の体験も学習している。

5年単位で覚えて、
群れに伝えて、
場合によっては子に伝える。

カラスの寿命は10年〜20年。
人間でいうと、
中学のときに嫌な思いをした相手の顔を、
社会人になっても覚えている、
くらいの時間感覚だ。

「鳥頭」と笑っていたのは、
こちら側だった。

データで見る「カラスの記憶」

・ワシントン大学のマスク実験(マーズラフ研究): https://www.nationalgeographic.com/animals/article/animals-birds-crows-memory-faces
・カラスが顔を覚える期間: 少なくとも5年以上
・カラスの寿命(野生): 約7〜10年
・カラスの脳重量比: 体重比でチンパンジーに近い

たぶん、こちらも観察されてきた

ここまで聞くと、
ゴミの日にこっちを見ていたあのカラスも、
ただボーッと止まっていたわけじゃない、
と思えてくる。

「お、あの袋の人や」
「ちゃんと網かぶせてくる人や」
「網ガチャガチャやって面倒くさい人や」
くらいは、たぶん識別されている。

観察するのは人間の特権だと思っていたけど、
こっちもずっと観察されていた

ということだったらしい。

カラスを敵にしたら5年は持ち越される、
と思って眺めると、
ゴミ捨て場のカラスの顔が、
急にちょっと真面目な顔に見えてくる。

「鳥頭」と笑っていたのが、
こちらの早とちりだった、
というだけの話なのだけれど、
明日のゴミ出しは、
心なしか丁寧になりそうだ。

Q. カラスに嫌われるとどうなるの?

A. 一度「危ない」と認識されると、
通るたびに警戒の鳴き声を出されたり、
仲間に共有されたりします。
攻撃まで発展する事例は限定的ですが、
巣の近くで攻撃された場合は数年単位で続くことがあります。

Q. 仲良くすることはできる?

A. できます。
餌付けされた個体は、特定の人を覚えて、
プレゼント(光るゴミ、貝殻など)を持ってくる
事例が報告されています。
ワシントン大学のマーズラフ氏も、
別の研究で
「優しいマスク」の人にはカラスが寄ってくることを示しています。

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#カラス #日常観察 #動物の知能 #記憶 #ゴミ捨て

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