日本は財政破綻しないのか?ギリシャ・アルゼンチンとの違いを“3つの条件”で解説|やさしい“お金の話”11
◆ 第11回|他の国は破綻したのに、日本は大丈夫なの?
「でもギリシャって破綻したよね?」
「アルゼンチンもレバノンも、すごいインフレになってるし」
そんな声を、ニュースやネットで目にすることがあります。
たしかに、そう感じるのは自然なこと。
けれど――ちょっと待ってください。
それらの国と日本とでは、“前提条件”がそもそも違うんです。
【破綻を防ぐ「3つの条件」】
お金のしくみを考えるうえで、
財政破綻を防ぐには、最低でもこの3つが不可欠だと言われています。
通貨:自国通貨で国債を出せること
為替:変動相場制で通貨の柔軟性があること
供給:モノやサービスを国内で生み出せる力があること
この3つが揃っていれば、国は通貨の量を自分で調整できるため、
「お金がなくて破綻する」という状況にはなりません。
じゃあ、日本以外の国ではどうだったのでしょうか?
よく話題になる3つの国を、この3条件で比べてみましょう。
【ギリシャ】
・通貨 → ×(ユーロ。自国で通貨を出せなかった)
・為替 → ×(固定相場制)
・供給 → △(観光業は強いが、産業の基盤は弱かった)
→ ユーロ圏というルールの中で、自分で通貨を出せず、為替も動かせない。
お金のコントロールが、ほとんどできない仕組みだったのです。
【レバノン】
・通貨 → ○(レバノン・ポンドを発行していた)
・為替 → ×(実質的にドルと固定)
・供給 → ×(外貨への依存が強く、モノを生み出す力が弱かった)
→ 自国通貨はあっても、信用が崩れたら通貨は通貨でなくなる。
ハイパーインフレと預金封鎖が現実になりました。
【アルゼンチン】
・通貨 → ○(ペソ建てで国債を出していた)
・為替 → △(かつて固定、現在は変動だが不安定)
・供給 → △(農業は強いが、外貨での支払いが多く脆い構造)
→ 自国通貨はある。でも対外債務や輸入支払いに追われ、
何度もインフレや通貨暴落をくり返してきました。
【日本】
・通貨 → ○(円建てで国債を発行できる)
・為替 → ○(変動相場制)
・供給 → ○(モノやサービスを国内で生み出す力がある)
→ この3つがすべてそろっています。
そして歴史を見ても、この条件を満たした国が破綻した例は、今のところありません。
「他の国が破綻したんだから、日本も…」
そんなふうに思うのは自然かもしれません。
でも、その“他の国”と日本とでは、土台からちがっているのです。
これが、日本が破綻しないと言われる理由のひとつです。
参考までに、実は、財務省としても財政破綻はありえない、と明言しているページがあります。
◆ 補足:供給力が失われたら、話は変わってくる
たしかに、日本は「通貨・為替・供給」の3つの条件を満たしています。
だからこそ、「構造的には破綻しない」と言われるわけですが――
実はいま、その“供給力”がじわじわと弱ってきているのです。
たとえば、水道管の老朽化で道路が陥没した事故がありました。
地方では病院やバスが減り、暮らしを支えるインフラが崩れ始めています。
その背景には、「借金を減らそう」という緊縮財政の方針があります。
支出を抑えるあまり、必要な投資が止まり、モノやサービスを生み出す力が失われているのです。
つまり、
借金を返せば返すほど、経済はかえって弱くなり、
破綻に近づいてしまう
――そんな皮肉な現実が、すでに進行中なのです。
もちろん、「じゃあ無限にお金を出せるの?」という疑問もありますよね。
次回は、そこにかかわる「インフレ」の話を、やさしくお届けします
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