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〜第60夜〜『夜の教室の、もう一人』

🕯️ はじめに

えぇ……みなさん。
今回はね、ちょっと、「時間の流れ」がズレてるんじゃないか……って、そんな話でしてね。

定時制高校って言うと、夜に授業があるでしょう?
昼間とは違う静けさ、日が落ちた後の校舎……あれがね、妙に“音を吸い込む”ようで……。

そんな場所でね、「ひとり多い」って噂が、昔からあったんですよ。
今日は、その続きを……お聞きいただきましょうか。

えぇ……怖いですよぉ……。



◆ 本編

これ……私の知り合いの先生から聞いた話なんですよ。
その方、定時制高校に勤めてましてね。
夜の授業なんて、やっぱり普通の学校とは雰囲気が全然違うんですね。

――授業中は静かなんですが、
廊下はやけに暗くて……音が遠くまで響くんです。

ある年の冬、
最後の授業が終わる頃。

先生が出席を確認していると、
どうもね、人数が合わないんですよ。

欠席は1人のはずなのに、
教室の端っこに座ってる生徒の数が合わない。

「あれ……?」
と思ってよく見ても、
生徒たちは普通に自分の席に座ってる。

でもね、教室の後ろで……
じっと、俯いて動かない“誰か”がいたんです。

長い黒髪で……顔が見えない。

先生は反射的に、
「あ、○○さん? 来てたの?」
と聞いたそうですが……返事がない。

不思議に思って出席簿を確認する。
――でもその名前だけ、やっぱり欠席になってる。

「誰だ……?」

そう思った瞬間ですよ。

バタンッッ!!

教室のドアが突然、ものすごい勢いで閉まったんです。

生徒たちが驚いて振り返ったとき、
先生は気づいた。

教室の後ろに座っていた“それ”が……
もういない。

でも、足音もしない。
気配もない。

なのに……

教室の隅だけ、
妙に空気が重くて冷たい。

生徒のひとりが震えた声で言ったんですよ。

「せ、先生……
さっきの……女の人、教室に入ってきてませんよ……?」

じゃあ、どうして……
後ろに座っていたんでしょうねぇ……?

その夜――

学校の見回りをしていた教頭先生が、
階段の踊り場で、うずくまって泣いている女性を見たそうです。

声をかけたら、ふっと姿が消えた。

その後の調査でわかったんですがね……
昔、この学校に通っていた生徒さんで……

夜間授業の帰り道、
交通事故で亡くなった女性がいたんですって。

最後に出席した日、
ちょうどその教室だったんですよ……えぇ……。

それから、その先生……
授業が終わるたびに教室の後ろをそっと見る癖がついちゃったらしいんです。

「今日も……来ているのかな」
ってね。

あなたの後ろにも……
ほら……もう誰か、座ってませんか……?

えぇ……怖いですねぇ……。




◆ あとがき

定時制高校という“夜の学校”は、
ただでさえ静けさが深く、影が濃い世界です。

昼とは違う雰囲気は、
人の気配を錯覚させることがあります。

……ですが、
“ひとり分多い”というのは、偶然では済まないのかもしれませんね。

もしあなたが夜の学校を歩くなら、
どうか振り返るときは、ゆっくり……そっと。

ついてきている“誰か”が、
ついてこられないようにね。



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それでは――
裏へ、どうぞ。


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