チャン、チャン!
なにかが終わったことを音であらわす時よく使われる「チャン、チャン」。アルゼンチンタンゴの曲のほとんどはこの終わり方です。そのせいか、タンゴというと反射的に「タラッタラタター、チャン、チャン!」と口ずさむ人もいたりして。
この曲の終わり方、英語でもスペイン語でも chan-chan、アルゼンチンではその他に chum-chum、chin-pum などと呼ぶ人もいます。4分の4拍子でかくと、チャン・チャンは最後の小節の2拍目と3拍めにあたっていて、
(……タラッタラタ)ター、チャン、チャン、ン
さいごの「ン」は四分休符と考えてくださいネ(タイトルイメージ参照)。このチャン・チャン、楽団ごとに演奏の仕方に特徴があって、タンゴ音楽通の人たちはここだけでどの楽団の演奏かわかるとか。「チャン」ごとのコード進行にもいろんな工夫があるそうで、「ロムート楽団はドミナント(一つ目のチャンのコード)が減七、トニック(二つ目のチャンのコード)はトライアドの高音にちょっとアクセントあって上昇して消える感じですよね🎵」とか聞くと、自分のわかってなさがちょっと情けなくなってきますが(E君、丁寧に説明してくれてどうもありがとう。でもまだイマイチ理解できてなくてゴメン)、ダリエンソ楽団はチャン・チャンのどっちもアクセントはっきりだなとか、プグリエーセ楽団はソフトでだんだんゆっくりだなー、くらいはワタシにもわかります。他にも「チャン」ごとに装飾音符が入ってたり、「チャン」が一つしかなくって、二つ目をまっててフェイントかけられた気になるバージョンとか、いろいろありますね~。
たった二つの音なんですが踊るときも大変重要な音で、ここでどうまとめるかでダンスの印象も大きく変わってきます。ステージでは華やかなポーズでフィニシュ! などとなるわけですが、狭い場所でたくさんの人が踊っているミロンガではそういう派手な動きはできないので(ステージとミロンガでの踊り方の違いについての関連記事はこちら)、控えめの動きで且つステキな余韻を残したエンディングになるよう、タンゲーロスが工夫を凝らすところでもあります。大事なのはわかってるんですけど、最後まで気が回らなくて~、とか、なんかマンネリになっちゃうんですよねー、というアナタ、わかります。たった2音でいろんなニュアンスを表現っていうのはホント難しい。そこで、今回はちょっといいカンニング・ビデオをこっそりシェアしちゃいましょう🌹
そのビデオは日本でも人気の Yanina Quinones とNeri Piliu がYouTube で公開している「タンゴの終わり方ーその違いについて」。
まず代表的な楽団ごとに終わり方の違いの説明があって、次に、じゃあそれを踊るとしたら、といろんな例を実演してくれていて超親切(どうやら彼らこの話題でいくつかビデオをつくっているみたいなので、ご興味の向きは他のも要チェック)。ミロンガでは4曲程度がひとまとまりでかかり(タンダといいます)、一つのタンダの曲は同じ楽団のもののことが多いので、楽団ごとのチャン・チャンを知ってて踊ると一気に通な感じが増すかも。
そして忘れちゃいけないのが最後の休符。この休符を演じきれるかがダンスのエレガンスを決定するといっても過言じゃない! 曲がおわりロンダの動きが止まったあと、残り香のようにピスタから立ちのぼる情感……。終わり良ければ総て良し、皆さん、今宵もご一緒にエレガンスあふれる瞬間をつくりだしましょう🌹
©2005 Rico Unno, CC BY-ND
