【第二話】アサシン・スパイダー【漫画原作】
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本文 二話シナリオ
○病院・紡の病室内
・ベッドの上で目を覚ます紡。
紡(ここは……病院……?)
紡(俺は……確かアラクネに襲われて……それで……)
・ベッドの横に目を向けると、そこには目に涙を浮かべた茜の姿が。
紡「……茜?」
茜「――紡ッ!!」
・突然抱きついてくる茜。
紡「うぉおおお!?」
茜「もう! ばか! 死んだかと思ったじゃない!」
・抱きつかれたままもがく紡。ふと、ベッドの横にもう一人いることに気が付く。それは同じ交番勤務の先輩警官、菅原。
菅原「よ、起こしちまったか?」
紡「す、菅原さん……?」
・そこでようやく紡から離れる茜。少し恥ずかしそうにことの経緯を説明し始める。
茜「菅原さんが私に連絡してくれたの。紡がアラクネに襲われたって……」
菅原「お前、警察手帳持ってただろ? だからウチに病院から連絡が来たんだよ。茜ちゃんにも伝えたほうがいいと思って」
紡「そうだったんですか……ありがとうございます」
・礼を述べる紡。その後すぐにハッとして。
紡「あ、すいません、仕事……」
菅原「なーに言ってんだ。お前が無事でよかったよ」
・ワハハと脳天気に笑う菅原。
茜「ひどい怪我だったんでしょ? 看護師さんが『助かったのは奇跡だ』って」
・心配そうに紡を見る茜。一方、紡は自分の体に違和感を感じている。
紡(……? おかしいな……)
紡(なんだか、体の調子がいい気がする。大怪我をしてるはずなのに……)
・不思議そうに首を捻る紡。その間に、持ってきたリンゴを切ってくれる茜。
茜「はい、紡あーん」
紡「!」
・ちょっと照れて頬を赤くしながら口を開ける紡。「ヒューヒュー」と古い冷やかしをする菅原。
・そのとき、茜の手が包丁に当たり、包丁が床に落下する。
・次の瞬間、紡の体が高速で動き、落下した包丁の刀身を人差し指と中指で挟んでキャッチする。
紡「……!」
菅原「うお……! スゲェ反射神経……!」
・そのとき、ノックの音がして真宵が部屋に入ってくる。
紡「! アンタは……」
真宵「やぁ、紡くん。気分はどうかな」
ーー 時間経過 ーー
・真宵は紡の体温を測ったり怪我の具合を見ながら、昨夜のことを三人に説明した。ただし、自分がWASPの研究員ということと、手術の内容については伏せている(代わりに自分は医者であると説明している)。
紡「――じゃあ、俺が助けたアンタが偶然医者で、俺を助けてくれたってことですか?」
真宵「そうなるね」
真宵「しかし、アラクネに生身で挑む人間なんて見たのは初めてだよ。怖くなかったのかい?」
紡「いや、もちろん怖かったですけど……」
・一コマ回想 車の中で怯えたような表情の真宵。
紡「あのときはそれ以上に――助けなきゃ、って思ったんです……」
・検査を終え、部屋を出ていく真宵。最後に振り返って告げる。
真宵「キミは命の恩人だ。治療費はまけておくよ」
・そう言い残して立ち去った真宵。ドアの方を見ながら菅原がポツリと言う。
菅原「……すげぇ綺麗な人だったな」
紡「ですね」
茜「!!」
・ムッとしたような顔で紡を見る茜。
茜「……はぁ、思ったより元気そうだから今日は帰るわ。明日着替えとか持ってきてあげるから、とにかく安静にしてなさいよ」
・病室を出ていく菅原と茜。立ち去る直前、思い出したように茜が振り返る。
茜「そういえば……解から連絡があったんだけど」
茜「解、隊長に昇格したって」
紡「!! ……そっか」
・紡、ニッと笑みを浮かべて言う。
紡「『おめでとう』って伝えておいてくれ」
茜「! うん……」
・どこか寂しそうな顔を残して、病室から出ていく茜。
○街中(夜)
・『南進ハイスクール』と書かれた看板のビルから出てきた、中学生くらいの少女。
少女(……近道しよっかな)
・大通りから外れて、人通りの少ないビル街の裏手に入る。しばらく一人で歩いていると、スマホの着信音が鳴る。足を止め通話に出る少女。
少女「あ、お母さん。うん、ちょっと遅くなっちゃって。今帰ってるところ」
少女「うん、大丈夫。はーい、じゃあね」
・ピッ、と通話を切る少女。ふと、なんとなく横を見る。
・ビルとビルの隙間、体長4メートルほどのアラクネが壁に張り付くようにして潜んでおり、じっと少女を見つめている。
○病院・紡の病室内(夜)
・電気の消えた病室。ベッドで眠っている紡。その脳内に突然声が響く。
謎の声(――殺せ!)
・びくんと体が跳ねる紡。
謎の声(殺せ! 殺せ!)
・ドクン! ドクン! と鼓動が激しくなる。ベッドの上で眠ったまま、汗をかき苦しそうにもがく紡。
謎の声(クモを――殺せ!!)
・目を見開く紡。同時にベッドから飛び跳ね、クモのように天井に張り付く。
看護師「――紡さん? 大きな音がしましたけど、どうかされましたか?」
・ドアが開いて、看護師が部屋を覗く。
看護師「……あら?」
・が、部屋に紡の姿は無い。開け放たれた窓から吹き込む風で、カーテンがわずかに揺れている。
・病院の外。外壁に張り付いて二本足で立っている紡。満月に照らされながら、異形の姿へと変身していく――。
○街中・立体駐車場(夜)
・息を荒げて立体駐車場のフロア(4階)を走っている少女(先の電話をしていた少女と同一人物)。その顔は恐怖に怯えている。
・少女、停めてあった車高の高い車の下に潜り込み、口を手で押さえる。少女は息を潜めたまま、そっと様子を伺うために顔を出そうとする。
・その瞬間、少女の隠れる車の上に移動していたアラクネの顔が逆さまに少女の目の前に現れる。
少女「きゃあああああ!!」
アラクネ「キシャアアアア!!」
・悲鳴を上げて後ずさる少女。車の下に伸ばされたアラクネの前脚が、少女を引き摺り出そうとガリガリと車の底を引っ掻く。
少女「だ、誰か、誰かぁッ!!」
・助けるを求めるが、立体駐車場には誰もいない。アラクネの前脚が次第に少女へと迫り、引き摺り出されるのは時間の問題。
・そのとき、なにかが外から立体駐車場へ飛び込んでくる。ダン! と音を立てて着地したそれに、アラクネの視線が移る。
・それは、異形の姿――『クモ人間』へと変身を遂げた紡だった。全身を甲殻のようなもので覆われている。顔には八つの複眼と、牙の生えた口がある。
アラクネ「――キシャアアアア!!」
・アラクネが少女から紡へと狙いを変え襲いかかる。紡の眼前へとアラクネが迫る。
紡「コ……ロセ……」
・呟く紡。
紡「クモヲ……コロセ……!!」
・一コマ回想 先日アラクネに襲われたとき、生身の状態でアラクネを殴ってまともにダメージがなかったコマ。
・紡はグッと拳を握ると、正面からアラクネに殴りかかる。
ゴシャ!
・紡の数倍はあるアラクネがパンチによって数十メートル吹き飛び、停めてあった車に激突して動かなくなる。
・フシュウウウウ――と息を吐き出す紡。
・そんな戦闘の様子を、立体駐車場の外を飛ぶドローンが撮影している。
○WASPの研究施設・真宵の研究室内
・ドローンからリアルタイムで送られてくる映像をモニターで観ている真宵。
真宵(やはり、適合している……)
真宵「……さぁ、見せてくれ。紡くん――いや、被験体3号」
・興奮気味にモニターに向かって大きな声を出す真宵。
真宵「長きにわたって適合者が存在しなかったSM――『アゴダチグモ』の力を!!」
○再び街中・立体駐車場(夜)
・紡のパンチにより吹き飛ばされたアラクネだが、まだ死んでいない。起き上がり「キシャアア!」と威嚇する。その背後から、立体駐車場の壁を登ってもう一匹別のアラクネが現れる(サイズ・種別は一匹目と同じ)。
・二匹のアラクネを前に、戦闘の構えをとる紡。
ナレーション『【アゴダチグモ】――南半球のわずかな地域にのみ生息する全長1センチに満たないこの小さなクモは、二つの異名を持つ』
ナレーション『一つはその特徴的な外見から名付けられた。まるで首のように長く縦に伸びた頭胸部。それゆえに――「ペリカン・スパイダー」』
・葉の上にいるアゴダチグモのカット。
ナレーション『アゴダチグモは、この頭胸部から真下に向けて生えるサーベルのような鋏角を用いて狩りを行う』
・ズリュ、と紡の両腕、その上腕部分からサーベルのようなものが生える。
・雄叫びを上げたアラクネの一匹が、紡に突撃してくる。
ナレーション『その狩猟方法は――実にシンプル!』
・サーベルを構える紡。
ナレーション『獲物に向けて鋏角を突き刺し!』
・突っ込んできたアラクネの頭胸部へサーベルを突き立てる紡。
ナレーション『突き刺し!』
・サーベルでアラクネの前脚を切断し、滅多刺しにする。
ナレーション『突き刺し――そして突き刺す!!』
・今度こそ絶命するアラクネ。
紡「シュウウウウ――!」
・サーベルについたアラクネの体液を切り払い、もう一匹のアラクネへと視線を向ける紡。
アラクネ「――!!」
・危険を察知したもう一匹が逃げ出す。立体駐車場の外に飛び出し、外壁を登っていく。
・一才の迷いなく、アラクネを追って走り出す紡。
ナレーション『――そしてもう一つの異名は、このクモが持つ特殊な習性から付けられた』
紡「コロセ……クモヲ……」
ナレーション『その習性とは――いわば「同胞殺し」』
ナレーション『どういうわけかアゴダチグモは、「クモを狩る」という習性を持っている』
・アラクネと同じように外壁を駆け上がる紡。屋上に出たアラクネ、反対のビルに飛び移るため、糸を伸ばして空中へと飛び出す。
・ダン! と壁を蹴って、空中のアラクネへと跳躍する紡。
ナレーション『アゴダチグモは――クモを殺すクモ! それゆえにこのクモはこう呼ばれるッ!』
・大きく『アサシン・スパイダー』の文字と、満月を背景に上空でアラクネをバラバラに切り刻む紡のカット(見開き)。
続く
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