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日々のごはんしたくは笑顔を引き出す給食の「試作」 時間 / 松丸奨先生

3月6日(金)に新刊『台所には薬箱とスパイスがあるといい』を発売します。こちらを記念して、さまざまなライフスタイルやお仕事の10名に、ごはんしたくについてインタビューする連載企画【十人十色の薬箱とスパイス】をはじめました。


第2弾となる今回は、テレビ出演や全国での講演会もされている管理栄養士の松丸奨先生にお話をうかがいました。




松丸奨先生プロフィール


©︎松丸奨先生

管理栄養士・学校栄養士。
東京都の公立小学校で日本一の給食を目指す管理栄養士。2,266校が出場した「第8回全国学校給食甲子園」で男性として初の優勝を果たす。
TVドラマの監修のほか「マツコの知らない世界」などメディア出演多数。
全国での講演活動も行なう。『給食の謎』(幻冬舎新書)など著書多数。働きながら大学院で栄養学のリスキリング中。
Instagram:https://www.instagram.com/matsumaru.susumu/?hl=ja


凛花:

まずは、どうして松丸先生にお話を聞きたいと思ったのかお伝えしたいと思います。
ひとことで言うと、本を読んで感動したからなんです。


私は同じことをくり返しするのが苦手です。日々の食事作りにも、なにかあたらしいことを取り入れたい……。その一貫で給食レシピの本を探していた時期がありました。

松丸先生の本に出会ったのは、そんなときでした。

日々のごはんしたくが苦痛になっていた私に動くちからをくれた本です。

テーマは家庭料理ではなく給食。私とは環境が違います。でも「食」にかける熱い思いが伝わってきて、キッチンに立ちたくなったんです。

それから本をたくさん読ませていただき、SNSもフォローしてずっと拝見しています。

だからシンプルに先生のお話をお聞きしてみたかったのもあるし、「子どもたちのための給食」に人生を捧げるような熱い生き様にも勇気をもらっているので、ぜひシェアしたくて、企画への参加を依頼させていただきました。



試作したい献立は1,000以上! 夕飯づくり=試作時間


凛花:

さて、まずは、松丸先生のふだんの暮らしについてお聞かせください。


松丸先生:

日中は本業の学校栄養士をしています。
毎日小学校で子ども達の給食献立を考えたり、休み時間は一緒に逆上がりの練習をしたりしています。子ども達に囲まれて幸せを感じながら働いています。

帰宅するとレシピ本の執筆、監修、テレビやラジオ出演、雑誌の連載、撮影などの仕事をしています。
あと大学院にも夜に通っていて、常に動いている感じです。


凛花:

SNSを拝見していると、先生はほんとうに休む間もなく動かれているイメージです。週末はよく遠方での講演会に参加されていますし、夜の大学院での勉強のあとに試作をされていたり……。

日々のごはんしたくと試作がいっしょになっているのでしょうか?


松丸先生:

はい。やってみたい新作献立が1,000以上あるので、毎日試作をしています。私の頭の中は給食でいっぱいです。

ということで毎日の夕飯は試作品。
朝食は余りものを食べています。
お昼は給食です。

今はチーズインハンバーグの試作中です。

©松丸奨先生 試作中のハンバーグ


凛花:

松丸先生の『給食が教えてくれたこと』を拝読したのですが、あげパンのエピソードにすごく驚かされたのを覚えています。

1週間で100個近い試作を重ねて理想のレシピを完成させたのですよね。本のレシピでつくるあげパンは、わが家の定番おやつになりました!

わが家ではじめて作ったときの写真です(凛花撮影)

超人気で、一気に売り切れてしまいます。
子どもたちと買いものに行くと「揚げパンつくって」とパンをカゴに入れられていることも。

ちなみに、先生のこのpostがきっかけで、偏食の息子がはじめてお魚を食べました。今では鮭が大好物です。


子どもたちの笑顔のために。給食「だから」がんばる


凛花:

松丸先生は、いつごろから自炊をされているのでしょうか?


松丸先生:

自炊を始めたのは25歳の学校栄養士になったころからです。
調理員さんに献立を見せるにも料理のことを知らないと話ができないので、積極的に自炊をするようになりました。

次第に新作献立もやってみたい気持ちになり、試作を家でする毎日が始まりました。


凛花:

はじめから自炊や試作をされていたわけではなく、調理員さんとのコミュニケーションのための努力から試作がはじまったのですね!


松丸先生:

よく給食なのになんでこんなに頑張るの?と言われます。
「なのに」ではないんです。

「給食だから」頑張るんです。

子ども達が笑顔で食べてくれる様子は最高の景色です。
これ以上の景色はありません。この笑顔を崩してはいけない。そんな思いから毎日が勝負なんです。



日々の夕飯メニューは「給食の献立」を一式つくっていく


©︎松丸奨先生 夕食の写真

凛花:

夕飯に給食の試作をするとき、その日につくるものはどんなふうに決めることが多いですか? ひとつのメニューに注力するのでしょうか?


松丸先生:

献立に沿うようにしています。

献立は、学校給食の献立です。
パン、魚が週に1回で、和洋中がバランスよく、揚げ物が続かないように、主食、主菜、副菜、汁物、デザートがあるように。

細かいですよね。
なので、今日は魚の試作をしたら、明日は肉で中華風の試作、という感じにしています。

汁物や副菜も、主菜に合うような味付けにしたり、足りない食品群や栄養価が充足できるようなものにしています。


凛花:

なるほど……! たとえば、どんなものを足したりされるのでしょうか?


松丸先生:

豆腐が摂れていないなとか、サラダに海藻類を入れてみようとか、そういったことをしています。


ストレスフリーだから、料理したくなる環境づくり


©︎松丸奨先生

凛花:

松丸先生の、料理の「薬箱」について教えてください。ここでいう薬箱というのは「ラク」にするための工夫です。


松丸先生:

料理におけるストレスを極力排除するようにしています。

例えば家電やキッチンツールなどの買い替えです。
あれがない、これがないから作れない、不便だ。ということがないように、おたまやヘラや保存容器やら全て買います。

アルミやラップも切らさないようにします。

冷蔵庫も入らない、使いにくい、がないように厳選した使いやすい機能満載の大きいのを買います。
オーブンやトースターもです。


凛花:

『給食が教えてくれたこと』の中で、自宅での試作の際にもなるべく給食室と同じ条件になるようにされているとあったので驚きました。オーブンも業務用を使っていらっしゃるんですよね。


松丸先生:

私が予算をかけるのはここです。
洋服とかは何年も使いまわしていますが、キッチン関係は費やします。

だって使いやすいから作りたくなるわけじゃないですか。
だから居心地の良いキッチンにしています。

もっと言うと、引っ越しも自炊基準で考えます。


凛花:

引っ越しも!?


松丸先生:

キッチンの広さや使いやすさ、動線、コンロとシンクの形状など家のことから、スーパーマーケットまでの距離、そのスーパーマーケットがお気に入りか。

あっ、あとコンビニやドラッグストアも近いと色々足りないものの時に便利です。

相当な料理オタクですいません……。

でもそれくらい料理って私の人生で多くを占めています


凛花:

今のお話、私のなかではかなり "目からウロコ” かもしれません。

限られた環境のなかで、どうやって使いやすくするかを考えてきました。たとえばワンルームの狭いキッチンだったとき、何をどう置いたらいいかとか、ものを厳選したりとか。

先生の場合は、居住環境を料理ベースで決めるということなんですね。だからこそ最大限の快適さが叶っているんだ……。



大好きなお気に入りの道具に囲まれてする料理は、ラクで楽しい!


©︎松丸奨先生

松丸先生:

それから、家では「楽しく料理をする」ことですかね。
料理って作りたて出来立てが一番美味しいじゃないですか。だから味見という名のつまみ食いもガンガンしますし、時にはお酒を飲みながら料理もします。

あとはご褒美の日をたくさん作っています
誕生日とかだけじゃなくていいんです。仕事をがんばった日、なんか疲れたけど帰ってこれた日、こんな日は宅配を頼んだり、ケーキを買って帰ったり、ご褒美は食べ物っていう風にしていますよ。


凛花:

そのお話、もう少し詳しく聞きたいです!
松丸先生の、ごはんしたくの「スパイス」はなんですか?ここでいうスパイスというのは料理を「楽しくする」工夫のことです。

たとえば、お気に入りのキッチンツールなどありますか?


松丸先生:

お気に入りの道具は、えっどうしよう、好きな質問すぎて……。

好きな道具に囲まれてるんです。ではいくつか。

まずはフライパン!
料理におけるフライパンって本当に重要なんですよ。フライパンって一番料理している感じがするキッチンツールだと思うんです。だって振ってるだけで楽しいじゃないですか!
料理している気になる!最高!

すいません、熱くなりすぎました……。

改めておすすめは、

アイリスオーヤマのダイヤモンドコートフライパンです。こびりつかないのが最高です。目玉焼きも油なしで焼けちゃいます。


凛花:

こびりつかないんですね! 私はごはんをつくる一連の流れで、洗いものが一番苦手なんです。特に、こびりついたりして、ただスポンジで洗うだけじゃだめなとき。

ほかにもおすすめはありますか?


松丸先生:

炊飯器のおすすめは、タイガー土鍋ご泡火炊きJRX-S060。

すごいです。
とにかくお米が美味しい、お米だけで全然食べられる。毎日感動する。お米の概念変わります。

お店で食べるより家で炊くご飯の方が圧倒的に美味しくなります。


凛花:

き、気になります……! 今使っているのがあまり満足できていないので、買い替えるとき検討したいです。


松丸先生:

無印良品シリコーンスプーン調理ヘラもいいです。これね、便利なんですよ。きれいにすくえるし軽いしでおすすめです。
同じシリーズでフライ返しとか色々そろえておくと捗ります。

カインズまな板シートは、肉を切る時に便利なんですよ。お肉は食中毒リスクがある食材でもあります。同じまな板で野菜や果物を切るのは抵抗がある。でもまな板2枚はかさばる……。
そんなときにこのシートです。これの上でお肉も切れて、使い捨てられる。便利すぎ!ラップの横に置いといてほしいです。


凛花:

お気に入りの調味料はありますか?


松丸先生:

お気に入り調味料は、桃屋のきざみにんにくと刻みしょうがの瓶です。炒め物でも和え物でもこれを入れるだけで美味しくなってしまうズルい調味料ですよね。常備必須です。


凛花:

おろししょうがのほうは常備しているんですが、「刻み」は買ったことがなかったのでさっそく買ってみますね。



お気に入りメニュー「ビスキュイパン」レシピ


©︎松丸奨先生

松丸先生:

大好きなお気に入りメニューは、「ビスキュイパン」です。本当に美味しいです。メロンパンみたいなパンで、帽子パンやUFOパンと呼ぶ地域もあるんですよ。

かんたんな作り方を紹介しますね!


凛花:

ありがとうございます! 実際にお聞きしたレシピでやってみたので写真を載せていきます。


【材料】
・丸いパン 4個
・薄力粉 30g
・アーモンド粉 30g
・溶いた卵 30g
・砂糖 40g
・溶かしたバター 40g 

〈ポイント〉
バターは、有塩バターがいいです。
パンは、できたらライ麦パンの丸を用意しましょう。
はじめにオーブンを180℃に予熱しておきましょう。


用意してみました!(ここから凛花撮影)


1.バターをレンジ500Wで20秒。溶かしておきましょう。卵はといておきましょう。30gをはかっておきます。
 

2.材料を全部混ぜて、パンの上に塗ります。溶けて下に落ちるので、上の方を中心に塗ればオッケーです。



3.あとはオーブン180℃で15分焼けば完成!

冷めるとカリカリになります!とてつもなく美味しいのでぜひ作ってみてくださいね。


▼先生のInstagramはこちら。



料理には人生を変える力がある


松丸先生:

実は私は好き嫌いの激しい子でした。

給食は大の苦手。そんな時、優しい栄養士さんに出会い、給食が好きになりました。


凛花:

給食のちからってすごいですよね!

先生のお話を聞いて思い出したことがあるので、すこし話させてください。

新刊のなかで触れたのですが、私も少食でした。でも、小学生になって、急に、食べられるものが増えたんですよ。

というのも、給食が最高においしくて!

だから、実家の冷蔵庫に貼られた給食の献立表を見るのが楽しみでした。
特に好きだったのはハッシュドビーフ。あと、これは手作りではないのですがカップに入った「ココアババロア」が大好きで人気メニューだったんです。業務用だったのかなぁ。りすのパッケージで可愛かったです。

似たようなものを作りたくて情報を探したのに、見つからない

検索してたら同じように探して、情報がなく困っている地元・青森県民の方を結構見かけました(笑)

給食って、毎日、長い間食べるものだから、そこには思い出がぎゅっと詰まっているんですよね。給食の話が好きなのでついたくさん話してしまいました……!

先生は、いつごろ料理に夢中になったのでしょうか?  自炊を本格的にはじめた就職後ですか?


松丸先生:

給食の栄養士さんを志してから、料理にもはまり、学生時代のバイトではキッチン仕事を2つもかけもちして働いていました。

料理ってその人の人生を変える力があると思っています。

ほんの少しの努力と工夫を重ねることで、「苦手」は「食べられた」「美味しい!」になり、その瞬間、子どもの中で何かが変わる。

私は、あのとき救われた一人として、今度は救う側でいたいと思っています。

給食や食事は毎日の何気ない当たり前のことかもしれない。 でも、その一回が、その子の未来をそっと支えることもある。料理は、人生の脇役ではなく、人を育てる、静かな主役だと思うのです。



©松丸奨先生 夕食の写真

凛花:

松丸先生、ありがとうございました!

子どもたちと給食、そして料理にかける「熱い思い」! お話をお聞きしているだけでスーパーに走りたくなってきたので、これから向かおうと思います。

ちなみに先生の情熱ですごいなと思ったことを最後にシェアさせてください。こちらです。

お借りした美しい写真たち。
なんと、先生ご自身が撮影されているんです。喜ばれる給食のために、あらゆるスキルを習得されている。熱い心にストイックな姿勢の松丸先生にお話を聴けてよかったです。

本当にありがとうございました!


▼3月6日(金)に発売した私の新刊『台所には薬箱とスパイスがあるといい』についてはこちらから。1食のごはんしたくはなんと30アクションも必要だった。そんな気づきをベースに「ラク」と「楽しい」を調合する実用エッセイです。


▼松丸先生のInstagramをもっと見る

▼noteはこちら。


松丸先生の薬箱とスパイス

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三條 凛花 最後までお読みいただき、ありがとうございます♡