とこさんの創作大賞応募作(TALES)ぜんぶ読んだ【感想】
感想をくださった方への恩返しとして、ひとりひとりの作品を深く読み込んでいます。
▼とこさんが書いてくださった感想

読んでくださって本当にうれしかった!
とこさんの創作大賞応募作品(TALES)すべて読んだので感想を書きます。
ふだんは、ひとつずつ感想を書いて、最後に感じたことをまとめているのだけれど、今回はちょっとシェアしたいことがあるので冒頭に持ってきました。
すべて読んでの感想
今回、とこさんの作品を読んで、これまでうっすらと感じてきたことがクリアになり、とても勉強になった。
”理系の男性”が描く文章に感じられた
とこさんの作品を読み進めてすぐに、「男性」それも「理系」の方が書いた文章なのだという実感があった。
削ぎ落とされた、硬派で、どこか論理的ですらある読みやすい文章。淡々とした語り口だけど、そこには静かな熱があり、物語をぐんと遠くへ引っ張っていってくれる。
SFのような話でも地に足のついた感じ、本当に起こりそうなリアリティを感じるのは、その描写力や文体が理由なのかもしれないと思った。同じ内容をわたしが書いたとしたらたぶん、突拍子もない雰囲気になる。
文章にはたぶん4つの軸がある。それが、去年からたくさんの人の文章を読んで感じたこと。
「静」と「動」── 静謐と躍動
「柔」と「硬」── 柔和と硬派
個々の文体がそれらがクロスするマトリクス上に位置していると感じた。
この判断基準はまだ言語化できていない。
テンポ、漢字のひらき、選ぶ言葉といったものなのだろうと思う。
とこさんの文章はたぶん「静」×「硬」
このマトリクスでいうと、とこさんの文章はおそらく、「静謐」×「硬派」に位置するのだろうと思った。
わたしの力不足で、最近気づいたこの感覚をしっかり言語化できていないのだけれど、この組み合わせが”理系の男性っぽい”と感じた理由なのかもしれない。
ちなみにこれまで全応募作を読ませていただいた男性で勝手に考えてみると、こう感じている。
(もちろん作品の雰囲気によっても変わるので、トータルで見た感じ)

▼アルロンさん 「躍動」×「中間(硬派寄り)」
▼コニシさん 「静謐」×「中間(柔和寄り)」
女性らしい文章と男性らしい文章の違いはどこにあるのだろう?
たとえばアイコンを見ずに、そして一人称を統一させた状態で文章を書いたとしても、なんとなく文章の男女さが見えてくるような気がする。もちろん、ここにも”中立”はある。
とこさんの場合、ぱっと見たときに男性らしさを感じた。
いまの時点では答えが出ないのだけれど、もしかすると「硬派」に寄るほど”男性らしい”と感じるのかもしれない。
各作品の感想
ネタバレ無しで書いていく。
猫目は満月のごとく 拓哉/よづきサイド
あらすじ(引用)
獣医、拓哉の初めての患者は保護猫「よづき」だった。 ところが、飼い主が拓哉に惚れてしまい事態は思わぬ方向に…? 満月の夜に起こる奇妙な出来事と保護猫の実態、獣医と飼い主との複雑な恋心を描く、恋愛ドキュメンタリー小説。
獣医さんである「拓哉」、保護猫「よづき」、そして「よづき」の飼い主が出てくる小説。”恋愛ドキュメンタリー小説”とあらすじにあるように、恋愛だけじゃないのが面白かった。
うちにも猫がいるから、ところどころうるうるしながら読んだ。保護猫や多頭飼育崩壊といったテーマにも触れられていて、勉強になる。
とてもリアルだったので「とこさんのお仕事って獣医さんじゃなかったよね……?」と思いながら読んだ。
喫茶ななこの憂鬱
あらすじ(引用)
田中夫妻の経営する喫茶店「ななこ」。ウイルス蔓延による来客減少で店じまいするはずだった。ところが、店を続けると主張するのは名物のパンケーキもうまく焼けない娘、菜々子だった。 菜々子が様々な問題に直面し頭を抱えながら、店を切り盛りしていく様子を描く、お仕事短編。
以前から気になっていた小説。とこさんから事前に聞いていたとおり、他作品にもさりげなく登場していた。
いろいろなメニューを掲げるお店が多い中で、”名物”に力を入れて大事にしているお店は珍しい。喫茶店が好きなので雰囲気を自分の中で想像しながら読んだ。飲食店の経営という、こちらもわたしにとっては未知の世界ですごく興味深かった。
はじめは、ななこが自分のこれまでの経歴を生かして無双していくのかな? と思いながら読みはじめたので、その後の展開が意外で面白かった。最後まで楽しめた。
こちらもとてもリアルだったので「とこさん、飲食業じゃなかったよね……?」と思いながら読み進めた。
コウノドリが運ばなかった子 ─見えない悪魔との契約破棄─
あらすじ:
少子化対策として行われた政府直轄の極秘研究プロジェクトは、AIによる受精卵培養という『悪魔の所業』だった。何もしなければ過成長で寿命が半分になる『悪魔』に翻弄される子ども達を救うべく、手段を選ばず奔走する家族の物語。
こちらの作品は、たぶんつぶやきなどで拝見していた。”悪魔”というワードから、ファンタジーを想像していた。
もちろん実際にファンタジー部門の応募作ではあるものの、なるほど、そのファンタジーか……! と意外な驚きだった。重厚な世界観。これもやっぱりリアルで(略)。
読み終えたあと、1本の海外ドラマを見たような感覚になり、脱力した。
とこさんの作品をたくさん読んだなかでも、こちらの作品が一番の推しかもしれない。
”Mai” lovin’ flavor
あらすじ(引用)
体操で将来を期待される陽希が入った高校には、麻衣という同級生がいた。いつも不思議な行動を取る彼女の笑顔に、陽希はいつしか惹かれていく。気まぐれな彼女に翻弄されながらも、まっすぐに愛を貫いていく青春ラブストーリー。
恋愛小説部門応募作品。読み終えての感想は「青春」。青春とは無縁の生き方をしてきたわたしにとって、眩しい。とくに遊園地のシーンなんてまさに青春!
主人公の陽希は体操で将来を期待されているのだけれど、彼を取り巻く仲間たちもまた個性豊かだ。選択を迫られたときどうするのか。そういう深いテーマにも考えさせられた。
とこさんスポーツもいろいろやってるのだろうか……?
AREA13
あらすじ(引用):
気象庁に務める水野剛(みずのごう)は、海洋物理学を修めた『海オタク』だった。そんな彼を魅了してきた『AREA13』海域の謎。近づく者を寄せ付けない、船乗りお断りの海域を『調査する』という謎の組織がウェブで人材募集をしていた。剛は引き寄せられるように組織の人材募集に応募した。海域の謎は?組織の目的は?自然と人の業が織りなすSFミステリー。
圧巻だった。
こちらも海外ドラマを見たような満足感。読み終えたあと、思わず「AREA13」を検索した。見当たらなかった。
とこさんの引き出しの広さに驚かされる。
この海域の謎も、組織も、本当にありそう。自然、過去の過ち、組織。不穏な中にも野良猫のような優しさが時おり顔を出す。
「ああ、これも伏線だったのか」と驚かされながら読んだ。
街のこころの修理屋さん
あらすじ(引用):
20XX年、電器製品業界はコモディティ化が進み、他国勢の低価格商品に日本勢が駆逐されていった。日本最大の家電メーカー、ヒノデも例外ではなくリストラを敢行。これまで数々のヒット商品を手がけてきた水戸拓朗も40代という年齢と精神疾患歴を理由に肩を叩かれる。拓朗はこれを期にとある事業を始めようと画策するが、妻 凛の反対は苛烈で息子 伊緒を連れて家を出てしまい…? あるひとりの人間として、人生の幸せとは何かを模索していく人間物語。
主人公の拓朗は、長年勤めた会社を退職し、妻の反対にあいながらも”修理屋”をはじめる。
そのお客さん第1号である女性から、対価を尋ねられ、モニターだから……と告げたときの彼女からの台詞。
「水戸さん、あなた、大変な勘違いをしているわ。あなたのお仕事は『修理』よね?私にはこの時計が直ったことにこれだけの価値が、いえ、こんなものじゃ足りないくらいの価値があるの。修理という価値を安売りしちゃダメよ」
ここを読んだあとに、タイトルがしっくり来た。修理には、モノが直る以上の価値があるのだ、と。
すこしだけ話がずれるのだけれど、以前こんな作品を書いた。この中には、写真として恋人(いまの夫)にもらった財布が登場している。これは今も持っている。
数年前まで現役で使っていたものの、汚れが目立つようになった。そこで夫に「買ったほうが安いんじゃないの」と呆れられながらも財布クリーニングに出した。購入したのは2万円。クリーニングも2万円。
すると……。
財布はボロボロになってもどってきた。綺麗にもなっていなかった。ショックで使わなくなってしまい棚の奥に眠っていた。
この数年、適当に買った2000円くらいの財布を使っていたんだけど、何度ファスナーをきちんとしめても鞄の中で小銭が飛び出しばらばらになったり、お札が入れにくかったりとプチストレスを抱えていた。
ボロボロでもいいや。
この作品を読んだあと、やっぱりこの財布がいいと思い直し、財布を出してきた。あとで中身を詰め替えて使うつもりでいる。
あと「!?」となるお名前が多かった。路地裏ファンはきっと楽しい。
最後にとこさん、たくさんの素敵な作品を書いてくれてありがとうございます。どれも読み応えがありました。勉強にもなりました!
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感想について、読みます企画ではないのでご注意ください><
”note”でわたしの応募作品の感想記事を書いてくださった方に限らせていただいています。
理由は3つあります。
1.talesでは通知が届かないためです。
2.感想記事への恩返しのために書いているからです。7月中に全員は書ききれないと思いますが、必ず皆さんの作品を読みにいきます。
3.わたしの持ち時間があまりないので、新しい作品の発掘は諦めました。
とこさんはtalesで書いてくださったんですが、過去に何度も「おうえん詩」を書いていただいたことと、SNSやnoteでもつながりがあるので書いています^^
いつも勇気づけられています。ありがとうございます!
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最後までお読みいただき、ありがとうございます♡