第十三話 知らなかったこと|新しい春
第三章 ユウ先輩編
第十三話 「知らなかったこと」
サークルが終わったあと。
荷物をまとめていると、
ショウタが近づいてきた。
「リオ。」
「ん?」
「……ちょっといい?」
いつもと少し違う雰囲気に、
手を止める。
「なに?」
ショウタは、
すぐには答えなかった。
少し迷ってから、
「この前、ハヤト先輩に聞いたんだけど。」
「何を?」
「ユウ先輩のこと。」
その名前を聞いただけで、
胸が少し跳ねる。
「なんで?」
「いや……前にちょっと気にしてたじゃん。
それにリオわかりやすいし。」
「……。」
「リオのことは何も言ってないよ。」
そう言ってから、
ショウタは少し言葉を止めた。
「彼女とかいるのかなって、
それとなく聞いてみた。」
「……聞いてくれたの?」
「まあ、ついでにね。」
そう言ってから、
ショウタが黙った。
その間で、
なんとなく分かってしまった。
いい話じゃない。
「……いるの?」
私から聞いた。
ショウタが、
少し言いにくそうに答える。
「……うん。」
「いるみたい。」
胸の奥が、
きゅっとなった。
「高校の頃から付き合ってるって。」
「……そっか。」
思ったより、
普通に声が出た。
「今は遠距離らしいけど。」
「遠距離?」
「大学がお互い遠くになったみたい。」
「そっか。」
ショウタは、
それ以上何も言わなかった。
少しして、
「……ごめん。」
小さく言う。
「なんで謝るの?」
「いや……。」
ショウタが少し困ったように笑った。
「余計なお世話かなって。」
その顔を見て、
私に言うかどうか、
迷ってくれていたんだと思った。
「ううん。……教えてくれてありがとう。」
「うん。」

ユウ先輩のことを、
もっと知りたいと思っていた。
だけど、こんなことは、
知りたくなかった。
高校の頃から付き合っている、
遠距離の彼女。
さっきまで、
私の中にはいなかった人が、
突然、
ユウ先輩の隣に現れた。
ユウ先輩には、
彼女がいる。
その言葉だけが、
頭から離れなかった。
それでも、
心のどこかで思っていた。
もしかしたら、
何かの間違いかもしれない…と。
第十四話へ続く
私の高校時代の恋は
こちらから🌸
