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第十一話 好きかも|新しい春

第三章 ユウ先輩編 
第十一話「好きかも」

お昼休み。

ユリとナナと三人で、
外のベンチでご飯を食べていた。

「そういえばさ。」

サンドイッチを食べながら、
ユリがふいに言った。

「リオ、最近よく一人でどこ行ってるの?」

「え?」

「帰り。」

一瞬、言葉に詰まる。

「……校舎裏。」

「猫いるんだっけ?」

ナナが聞く。

「うん。最近ちょっと懐いてくれてて。」

そこまで言って、
少し迷った。

「……ユウ先輩も、たまにいる。」

「ユウ先輩?」

ユリが私を見る。

「猫、可愛がってるみたいで。
会ったら少し話すくらいだけど。」

「リオさ。」

ユリが少し笑った。

「なに?」

「なんか、ユウ先輩の話するとき嬉しそう。」

「え?」

思わずナナを見ると、
ナナも小さく微笑んでいた。

「……そう?」


昨日のことが頭に浮かぶ。

風に流れた髪。

その髪に触れた、
ユウ先輩の手。

『猫みたいな髪だな。』

思い出しただけで、
また少し恥ずかしくなる。

「……好きなんじゃない?」

ナナが言った。

私はすぐに答えられなかった。

好き….

その言葉を、
頭の中で一度だけ繰り返す。


昨日のことを思い出す。
髪に触れられた瞬間。

ユウ先輩が来たとき、
嬉しかったこと。

いなかったとき、
少しがっかりしたこと。

ひとつずつ思い返していたら、
否定する理由が、
見つからなかった。

「……うん。」

小さく答える。

「好きかも。」

自分の口から出た言葉に、
自分でも少し驚いた。

「そっか。」

ナナが笑う。

ユリも、
嬉しそうに笑った。


昨日までは、
「もしかして」
だった気持ち。

声に出したら、
少しだけ、
本当になった気がした。

次に会ったら、
きっと今までと同じようには
見られない。


第十二話へ続く



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