南佳孝とラジの7インチコレクション(12枚)
南佳孝「これで準備OK」

A面「これで準備OK」
B面「忘れられた夏」
作詞作曲:南佳孝
76年9月21日リリースのアルバム『忘れられた夏』の先行シングル
デビューは73年9月21日の俗に言うはっぴいえんど解散コンサート「CITY-Last Time Around」(実際は再集結イベント)にてトップバッターでの堂々たるパフォーマンス(『SHOW BOAT 素晴しき船出』収録)、そして同日松本隆プロデュースのアルバム『摩天楼のヒロイン』をリリース、その後はっぴいえんどの事務所「風都市」も解散、所属していた南佳孝は割りを食ったカッコウとなり(シュガーベイブも同様)、ここから丸3年後にCBSソニーと契約して再デビューとなる、「CITY」という名のイベントでデビューし、『摩天楼のヒロイン』をリリースしたレーベル「SHOW BOAT」のコンセプトは「シティミュージック」であるからして、「噂のシティ•ボーイ、遂に登場!」のコピーに嘘偽りはない、まさに「これで準備OK」、ここから黄金期が始まる
南佳孝「ソバカスのある少女」

A面「ソバカスのある少女」
作詞:松本隆/作曲:鈴木茂/編曲:鈴木茂、坂本龍一
B面「風にさらわれて」
作詞作曲:南佳孝/編曲:鈴木茂、坂本龍一
両面アルバム未収録曲、時期的には76年の再デビューアルバム『忘れられた夏』と78年『SOUTH OF THE BORDER』の間にリリースされたシングル
A面「ソバカスのある少女」は75年ティンパンアレー『キャラメルママ』収録の鈴木茂と南佳孝がデュエットしてるヴァージョンがオリジナル、当時から評判が良い曲だったと思いますが、それを改めて南佳孝がソロでカヴァーしたというわけで、アレンジはオリジナル同様に鈴木茂が担当しつつ、オリジナルのハースマルティネス風の渋さとは変えた印象、同年のアルバム『ティンパンアレー2』テイストに近いということで、明確に75年と77年の時代感が浮き彫りに
B面「風にさらわれて」はデビューLIVEである『SHOW BOAT 素晴しき船出』で1曲目に披露してますが、『摩天楼のヒロイン』には収録されず、このシングルが初出、南佳孝自身思い入れがあったようで、3年後のアルバム『MONTAGE』に再録され、改めてA面でシングルカットもされます、B面の方が評判でシングルAB面を逆にして再リリースというのはありますが、「風にさらわれて」がA面のシングルはそのような事情でもなく、ジャケもB面も違うという珍しいケース

坂本龍一がストリングスアレンジで参加してますが、本来パーソネル的にはキーボードの松任谷正隆が手掛けるはず、しかしこれを機に初めて南佳孝に関わった坂本龍一は次のアルバム『SOUTH OF THE BORDER』で全曲アレンジ、次いで『SPEAK LOW』と『MONTAGE』でもアレンジで参加しています

ラジ「ホールド•ミー•タイト」

A面「HOLD ME TIGHT」
作詞:竜真知子、高橋ユキヒロ/作曲:高橋ユキヒロ/編曲:後藤次利、萩田光雄
B面「愛はたぶん」
作詞:山川啓介/作編曲:高橋信之
同日リリースのファーストアルバム『HEART to HEART』からのシングルカット、10代の頃からROW〜ポニーテールでの活動を経てソロデビュー、但しラジ(相馬淳子)はポニーテールの最初のシングル「チャンスと口紅」で脱退しており、ムーンライダーズが全面的にバックアップしたアルバムには関わっていない、ソロデビューの際にCBSソニーに移籍して高橋ユキヒロと後藤次利(共にサディスティックス時期)のプロデュースになる
B面「愛はたぶん」は日産スカイラインのCMソングで、以前同じくスカイラインのCMソングだったBUZZ「ケンとメリー~愛と風のように~」を手掛けた高橋信之の作編曲
南佳孝「日付変更線」

A面「日付変更線」
作詞:松任谷由実/作曲:南佳孝/編曲:坂本龍一
B面「プールサイド」
作詞:来生えつこ/作曲:南佳孝/編曲:坂本龍一
全曲のアレンジを坂本龍一が手掛けたアルバム『SOUTH OF THE BORDER』(9月21日リリース)からの先行シングルカット(AB面共)
A面は作詞松任谷由実、作曲南佳孝、編曲坂本龍一、コーラス大貫妙子、ある意味シティポップ/ライトメロウ最高峰の布陣で制作された「日付変更線」、珍しくユーミンが作詞で参加してるのはシングルヒットのためと思われるが、残念ながら一般レベルでは次のシングル「モンローウォーク」あたりから漸く郷ひろみ「セクシーユー」経由で注目され始めたと思われる、さらにそこから3枚後のシングル「スローなブギにしてくれ」の大ヒットで全国区になったのではなかろうか、そんなことはともかく名曲には違いない
この時期の坂本ワークス的には『サラヴァ』の後、『イエローマジックオーケストラ』の前、『千のナイフ』レコーディングと並行
アルバム『SOUTH OF THE BORDER』にブラジルというイメージが盛り込まれているのは間違いないと思うが、ロス・インディオス&シルヴィアが本格的にブラジル録音で「日付変更線」をカヴァーしていたとは驚いた(1982年アルバム『SAMBA PINGA MORENA』より)
そして、作詞したユーミンも2003年のアルバム『Yuming Compositions: FACES』でカヴァー
ラジ & 南佳孝「クール•ダウン」

A面「COOL DOWN」
作詞:来生えつこ/作曲:南佳孝/編曲:坂本龍一
B面「THE TOKYO TASTE」
作詞:高橋幸宏、Chris Mosdell/作曲:高橋幸宏、後藤次利/編曲:高橋幸宏、後藤次利、萩田光雄
A面「クールダウン」はラジの78年『Love Heart』からのシングルカットだが、南佳孝とのデュエットということで、であればとB面も前作『HEART to HEART』から同じく南佳孝とのデュエットである「ザ•トーキョー•テイスト」をカップリング、1枚のレコードでCBSソニーのシティポップ2大アーティストを一石二鳥的に推していきましょうってことかどうかわかりませんが、とにかくそのようなことで
B面「ザ•トーキョー•テイスト」は元々サディスティックスのファーストに収録されたのがオリジナルでラジとアレックスが歌っている、アレックスって誰だよって話ですがYouTubeで観られます、どのみち今では珍しい高橋ユキヒロと後藤次利の共作にして和モノDJの定番?かと思いますゆえ、「ザ•トーキョー•テイスト」が収録されたもう1種類の7インチの入手に手こずっているのでございます
なお、このシングルは2019年にAB面を入れ替えてジャケが改変されて再発された(その前にこのオリジナル盤を手に入れていたので個人的にはスルー)
南佳孝「モンローウォーク」

A面「モンロー•ウォーク」
B面「渚にて」
作詞:来生えつこ/作曲:南佳孝/編曲:坂本龍一
79年6月21日リリースのアルバム『SPEAK LOW』の先行シングル、A面「モンローウォーク」(オリコン38位)はその後に郷ひろみが歌詞を変更して「セクシーユー」と改題カヴァーしてヒット(オリコン11位)

「モンローウォーク」のドラムだけで始まるイントロはボズスキャッグス「ロウダウン」からヒントを得たのではなかろうか(曲が似ているわけではない)
B面「渚にて」は3連あるいはハチロク(8分の6拍子)のバラード、両面共にアレンジャーとセッションプレイヤーが同じで、はっぴいえんど+ミカバンド+YMOの混成メンバー(坂本龍一、鈴木茂、高橋ユキヒロ、小原礼他)、時期的にはカクトウギセッションそのままの流れ

ラジ「キャトル」

A面「Quatre」
作詞:森田由美、高橋ユキヒロ/作曲:高橋ユキヒロ
B面「わたしはすてき」
作詞:矢野顕子/作曲:坂本龍一
同時発売のアルバム『キャトル』からのシングルカット
77年から4年連続で高橋幸宏プロデュースによるアルバムをリリースしたラジ、ファーストとセカンドは以前よりソニーCD選書でCD化されていたが、サード『キャトル』(このアルバムから後藤次利は参加していない)以降は2014年にようやくCD化
A面「Quatre」は順当にアルバムタイトルチューン、問題はB面、当Instagramは「問題はB面」がありがち、昔のドーナツ盤はA面さえよければB面は何でもいいオマケ扱いでしたが、今となっては7インチは2曲入り(時には4曲入りEPなど)の貴重なヴァイナル音源ということで、AB両面良いに越したことはないわけで
そのB面「わたしはすてき」は作詞矢野顕子/作曲坂本龍一のナンバー、意外とこの組み合わせはありそうでなく、思いつくのはあと1曲くらい、てなわけでアルバムの中でもよくコレをB面にしていただきました的なお気に入りのナンバー、サウンドストリートで何度もかかったので、多分作った当人もお気に入りのナンバー、同時期のKYLYN「I’ll Be There」とこの曲はセットで考えてます、DJではこの2曲を繋げたいっていうか続けたいが、「I’ll Be There」の7インチがないので是非7インチ企画お願い🙏といったところ
ラジは4人組のフォークグループ「ROW(ロウ)」でデビュー、「LOU(ルウ)」というグループもいるのでややこしいが「ROW(ロウ)」が女性グループ、「LOU(ルウ)」が男性グループ、ROWのシングル「失われたもの達」は名曲ということがバレており(作曲:村井邦彦)、欲しいけど超高値です
その後ROWはポニーテールと改名してシングル1枚リリース、それを機にラジともう1人は脱退、アルバムになった時にはジャケ通り2人組の状態、一方ラジはサディスティックスのコーラスなどで関わった流れで、ソロデビューとなりました
ラジのソニー時代のアルバムはファーストとセカンドしかサブスク解禁されていない、よってサードアルバム『キャトル』は聴けないわけだが、高橋幸宏のコンピレーションに「Quatre」が収録されていることから、その1曲だけ聴ける、早いところ全アルバムがサブスク解禁されるといいのですが
南佳孝「憧れのラジオガール」

A面「憧れのラジオ•ガール」
作詞:松本隆/作曲:南佳孝/編曲:坂本龍一
B面「月に向って」
作詞:松本隆/作曲:南佳孝/編曲:大村憲司、岸本博
80年5月1日リリースの『MONTAGE』の先行シングル(☞アルバムとシングルが同じの親子ジャケ)
A面「憧れのラジオガール」(何かのCMソングだったと思うのだが、ググってもわかりませんでした)、歌では「レイ〜ディオ〜ガ〜ル」と歌っているのだからタイトルが「ラジオガール」なのが気になるが、いかにもメーカーがやりそうなことではある、ジャケ裏の歌詞にならって「憧れのRadio Girl」と英語表記にする折衷案が良かったかも(その上でラジオかレイディオか読む人に任せるみたいな)、シングルのイントロはタムのフィルから入るが、アルバムではいきなり歌から始まるし、終わり方もシングルのようなフェイドアウトではなくカットアップで突然終わる(シンセの余韻あり)、それから何と言っても坂本龍一のボコーダーによるコーラスがふんだんに入っているところがミソ、テレビ出演時の映像がYouTubeにあるが、TV用バックメンバーもちゃんとボコーダーでコーラスしてるところが微笑ましい
B面「月に向って」も『MONTAGE』収録曲、シングル「モンローウォーク」同様B面には8分の6拍子、個人的には『MONTAGE』からであればレゲエチューン「コンポジション・1」か石川セリにも提供した「Midnight Love Call」が良かった
ラジ「ラジオと二人」

A面「ラジオと二人」
作詞:糸井重里/作曲:杉真理/編曲:高橋幸宏、清水信之
B面「ヨジレアンツイスト」
作詞:糸井重里/作曲:鈴木慶一/編曲:高橋幸宏
80年11月1日リリースのアルバム『真昼の舗道』からの先行カット(B面1〜2曲目の曲順通り)、シングルは「偽りの瞳」よりこちらの方が先、作詞は両面とも糸井重里、A面作曲は杉真理の起用が意外ですが、ソニー側からの推薦或いは同時期の幸宏プロデュースのスーザンでも絡んでいるので、その流れかなと、B面作曲は鈴木慶一、まんまこの時期(『カメラ=万年筆』等)のライダーズ風ツイスト
アルバム『真昼の舗道』はプロデューサー幸宏作曲が問題の「偽りの瞳」のみというのがサビしいですが、何せ1980年はYMO絶頂期で忙しく、その上でCBSソニーではラジ、同時にEPICソニーではスーザンをプロデュース
『真昼の舗道』はラジのニューウェイヴ化(またはテクノポップ)とも言われましたが(ジャケのイメージ?)、スーザンと比べても比べなくても個人的にはそれ程でもないかなと、勿論以前のアルバムとはテイスト違いますが、ともかくそういうことがどのくらい関係してるのか分からないながら、4枚に渡った幸宏プロデュースはひとまず終了で、翌年のアルバム『アコースティックムーン』は井上鑑にバトンタッチしてシティポップ路線に戻って自ら出演もしたmaxellのCMソング等々…
ジャケデザインはテストパターンの比留間雅夫が手掛けた
南佳孝「スローなブギにしてくれ」

A面「スローなブギにしてくれ (I want you)」
作詞:松本隆/作曲:南佳孝/編曲:後藤次利
B面「ラプソディ」
作詞:来生えつこ/作曲:南佳孝/編曲:後藤次利
81年2月25日リリースのアルバム『SILKSCREEN』からの先行シングルカット、同名映画(81年3月7日公開)の主題歌ですが、大体こういうのって映画完成後にタイアップとかで決まりそうですが、作中の人物が歌うシーンがあるので、撮影前に曲を完成させたそうで、珍しいのではないかと、撮影に間に合わせるために時間がないこともあったかと思いますが、すぐにイメージが湧いて短時間で出来たとのことで、大体ヒット曲といわれるものはそういう話をよく聞きます、「この曲はどのくらいの時間で出来たのか?」とかの質問がインタビューでありますが、「10日ほどじっくり時間をかけて作りました」みたいなことは3〜4分のポップスではまず聞かない、また聴く方も時間をかければかけるほど良いものが出来上がるみたいなイメージがあるかもしれませんが、時間がかかるということは良くないものを良くするためにコネくり回してるパターンが多く、時間をかけて苦労して作り上げましたみたいな美談を求めるのはやめましょう、働き方改革ではないですが、短時間でイイ曲が出来るに超したことはありません、短時間=手抜きではないのです
さて、映画の中で誰が歌っていたのか、記憶になかったので観直してみたところ、バーのマスター役の室田日出男が徐にレコードをかけ、口ずさむシーンでした、その際ジャケも一瞬だけ映るので写真追加しました、また映画では浅野温子が部屋を荒らすシーンで同じくアルバム『SILKSCREEN』収録の「醒めた部屋」がかかりますが、歌詞が日本語ではなく英語だったので、映画のための仮ヴァージョンだったと思われます、この曲は自分も好きなので、これがB面だったらサントラ盤シングルとして完璧だったのですが!
ということで永遠の名曲、スタンダードナンバーという気がしますが、南佳孝にはこの後「スタンダードナンバー」という曲も生まれました
ラジ「偽りの瞳」

A面「偽りの瞳」
作詞:高橋幸宏、大村憲司/作編曲:高橋幸宏
B面「霧の部屋」
作詞:来生えつこ/作曲:ラジ/編曲:高橋幸宏
A面「偽りの瞳」はYMO絶頂期の80年11月11日にリリースされた高橋幸宏プロデュースの4thアルバム『真昼の舗道』よりシングルカット、これがピンクレディー「ラストプリテンダー」の原曲である、ラジのオリジナルの方が大村憲司のギターがフィーチャーされており、意外とピンクレディーよりテクノっぽくない印象
要はピンクレディーがカヴァーしたことにより、急遽アルバムよりシングルカットして同じ発売日にぶつけた競作盤(本命盤)と思われます
ピンクレディー「ラストプリテンダー」についてはこちらも参照ください
南佳孝「スタンダードナンバー」

A面「スタンダードナンバー」
作詞:松本隆/作曲:南佳孝/編曲:大村雅朗
B面「眠りの坂道」
作詞:来生えつこ/作曲:南佳孝/編曲:井上鑑
A面「スタンダードナンバー」は全日空<青春ブランド沖縄>のCMに使われ、薬師丸ひろ子映画「メイン・テーマ」主題歌と異名同曲(但し歌詞が女性目線/男性目線と書き分けられている)、いわば「セーラー服と機関銃」と「夢の途中」パターン
84年6月21日リリースのアルバム『冒険王』に収録
B面「眠りの坂道」は同じく薬師丸ひろ子のアルバム『古今集』に提供した曲のセルフカヴァー


今回どちらもソニー音源なので、公式YouTube動画が貼り付けられず、Spotifyのリンクを貼ってあります、本来他のレコード会社であれば、YouTubeプレミアム会員でなくともアクセス出来て、他のYouTube動画同様に聴ける(見られる、貼り付けられる)のですが、ソニー音源だけはYouTubeプレミアム会員じゃないとアクセスも出来ない状況で、とても不便です(EPOの7インチコレクショの最後にもこの件は細かく書いています)
それから何故、南佳孝とラジを一緒にしたかということですが、デュエットしてることもありつつ、そもそも同じレコード会社の同じ班のディレクター・高久光雄ということもあり、最近「風雲レコードディレクター回想録 髙久光雄」を読んだことも影響しています
