見出し画像

【アマノ文筆クラブ】七転び、やっと起き|エッセイ


七転び八起き、なんて言葉は立派すぎる。
実際は、七転び、やっと起き。
しかも起き上がるたびに、少しずつ動きが鈍くなる。

人生の喫水線は、思っているよりずっと低いところにある。
大丈夫だと思っていた時は、もう水が入り始めていて、
気づいた頃には足元が冷たい。

それでも、不思議と沈まない。
生き残りって、英雄的なことじゃない。
歯を食いしばることでも、前向きな言葉でもない。
ただ「今日は沈まなかった」という、地味な事実の積み重ねだ。

外から見れば、騒いでいるように見えるかもしれない。
不安だ、つらい、もう無理だと。
でも多くの場合、それはコップの中の嵐だ。
世界は何事もなかったように回り続けている。

それが救いでもあり、残酷でもある。

倒れて、転んで、起き上がれなくなって、
それでも時間だけは勝手に流れていく。
その流れに、たまたま浮かんでいただけの自分を
「よくやった」と言っていい気がしてきた。

七転び、やっと起き。
それで十分だ。
立ち上がった回数より、
沈まなかった回数のほうが、
ずっと大事なのだから。

コップの中の嵐
大きな問題ではないが限られた範囲で大騒ぎしている状態や小さな問題を大げさにとらえる様子を表現する言い回しです。


*下記企画に参加させて頂きました*


☆次の作品はこちらです↓↓↓

前回の作品はこちらです↓↓↓


最後までお読みくださり、ありがとうございます😊すず

いいなと思ったら応援しよう!

鈴蘭 読んで下さりありがとうございます!励みになります!