『家族の崩壊』──最後のメール
息子が、
SNSで『自殺募集』をして、
消息を絶ってから──
すでに1週間が、
経過していました。
妻の意識がないことが、
唯一の救いでした。
今の状況を妻が知ったらと思うと、
それだけで寒気がしました。
警察からは、
「スマホの位置情報は、
まだ特定できていない」
との連絡があり、
生存確認には至っていませんでした。
ただ、私が電話をかけたときには、
息子のスマホは時折、
呼び出し音が鳴っていました。
充電が切れていないことから、
見知らぬ誰かが触っていない限り、
息子はまだ生きている
──私はそう感じていました。
これまで、息子に何百回も電話をかけ、留守電やメール、LINEで、
連絡を試みてきましたが、
一切の反応はありませんでした。
事態が動いたのは、
それから2日後。
息子が姿を消してから
10日ほどが経っていた頃でした。
──けれど、
その頃には、
私自身が限界を迎えていました。
極度のストレスと睡眠不足で、
ほとんど食事も喉を通らず。
倒れた妻の看病や、
日常の生活すらも、
まともに送れない状態になっていました。
このままでは、
何もかも壊れてしまう。
私はそう判断し、
もう会えなくても仕方ないと、
半ば諦めながら──
ただ、生きていてることを願い、
最後のつもりで、
そのメールを送りました。
※《そのとき送ったメールの原文です》
『もうこれ以上は連絡しないから、
安心して良い。
ただお前がいないと知ったら、
ママは何て思うだろうか。
ママの看病すら、まともに出来ない状況をお前は望むのか?
頼むから普通に看病させてくれないか。
もう帰って来なくても良い。
ただ安否ぐらい教えて欲しいかな。
死んでたら無理だろうが』
しばらくして、
息子からの返信⸻
『ママの看病できないなら帰るよ』

『家族の崩壊』
──最後のメール【完】
▼この話は『終わらない崩壊』へ続きます。
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