『ふたりの教育』── 中学受験、我が家のゆるい成功例
夏期講習が始まろうとするこの時期、
よく人から聞かれるのは──
子どもたちの“勉強のこと”です。
つい先日も、
「うちの子、来年中学受験なんですけど……どうやって勉強させました?」と。
たしかに我が家の子どもたちも、
中学受験をしていました。
それは、妻が脳出血で倒れる少し前のこと。
この時期になると、
あの頃のことを思い出します。
本稿は、親として何も教えられなかったふたりが、
子どもたちと、
どう受験に向き合ってきたのか──
そんな“教育らしからぬ”
教育の記録です。
我が家のことで人から聞かれて、
よく驚かれるのは、
子どもたちの進学先のことでした。
大学卒業後すぐに、
結婚した私たちとは違って、
周りの人たちは、
ちょうど受験を控えた子どもを持つ世代が多くいました。
そんな親の方々から、
よく聞かれたのが──
「どうやって勉強させたの?」
「いつから塾に通ったの?」
「家ではどれくらいやってたの?」
……といった類のことでした。
じつはうちの長女は、
有名な私立中学に入学し、
そのまま高校を卒業して、
“超”がつくほどの一流大学に進学。
また弟である長男も、
同じく有名な中高一貫校に入り、
受験期の自殺騒動を乗り越え、
一浪の末に高い人気の大学に進学していました。
親ながらにも──
子どもたちの学歴だけは、
私たちとは違って、
「すごい」と言うしかないレベルでした。
決してそんなつもりで、
育てたわけではありませんが。
周りの人たちからは、
そんな家に見えないせいか、
不思議がられる機会が度々ありました。
実を言えば──、
私にも分かっておらず。
ましてや、
要介護になった妻も同様で。
当の親である私たちは、
一応教員免許は持っていたものの──
学歴はFラン以下の私立大学卒。
しかも、
フリーター同士で結婚という経歴…。
学歴や勉強に関しては、
私たち夫婦が誇れるようなことは何もなく──
人に聞かれても、
気の利いたことは答えられませんでした。
もしかしたら、
子どもとここまで学歴に差がついたのは、
妻の教育方針が正しかったからかもしれません。
とはいえ、振り返ってみても──
私たち夫婦が“勉強しなさい”と、
言ったことは一度もなく。
むしろ、好きなだけゲームをさせたり、漫画を読ませたりと、
家庭内で子どものやりたいことには、
いっさい制限をかけるようなことはありませんでした。
ただ、それでも──
親が何も言わないのに、
なぜか子どもたちは勉強ばかりしていました。
小学4年のときに、
長女が「友達が行ってるから行きたい」と自分で言い出して、塾に通いはじめ、
休みという休みは、
講習やテストに明け暮れていました。
その当時の私は、
うちの子どもは勉強好きなんだな、
ぐらいにしか思っていませんでしたが。
ーーー
しまいには──
あまりに子どもが勉強ばかりしてるため、見かねた私が、
「あんまり勉強ばかりしてると、
バカになるよ?」
と、気を利かせれば、
「勉強の邪魔だから、あっち行って!」
まるで私が悪いことでも言ったかのように、邪魔者扱いする始末…。
かたや妻にしても普段から、
テストの点数や通知表を気にすることは、とくになく、
その結果がどうあれ、
「すごいねー」としか言わず。
たまに捨てられたテストを見つけてみれば、なんと98点の高得点。
「すごいじゃん!
記念に取っておけば?」
と長女を褒めてみれば、
「あー、それわざと間違えただけ。
毎回100点だと目立つから」と。
……えっ、イヤミ?
話を戻すと、
よく聞かれるさきの質問に対する我が家の答えは、こんな感じでした。
• どうやって勉強させたの?
→ 子どもが勝手にしてた
• いつから塾に通ったの?
→ 小学4年くらいから
• 家ではどれくらいやってたの?
→ ゲームよりは多い時間
子どもが塾に行きたい、
受験したいと言ったから、
親としては「好きにすれば」と言っただけ。
少なくとも、
我が家の"勉強に対する熱"は、
そんな程度でした。
けれど、そんな環境にいながらでも、
なぜか子ども達は、
2人とも中学受験を選び──
それが良いのかどうかは、
別にとして。
親ながらには、
"自分で自分の道を選択する"というのは、大事なこと。
と思ったりもしていました。
──
そんな中で長男が、
中学受験をする動機は、
姉が中学受験するから僕もするという、やや不純な動機でしたが。
長女に関しては、
もしかしたら中学受験を、
妻にそそのかされたんじゃないのかなと思い、
一度聞いてみたことがありました。
すると──間髪入れずに、
「私、パパみたいに、
学歴も職もなく、
結婚とかしたくないから。
自分に実力ないし、
勉強してるだけだから!」と。
子どもの心、親知らず──とは、
まさに、
このことかと……。

『我が家の教育方針』
──子どもの中学受験と勉強法 【完】
【後記】
子どもの中学受験について、
この時期になると、
人からよく聞かれるため、
初めて我が家の教育についてまとめてみました。
書いてみて、
残念ながら我が家の教育は、
何の参考にもならないと改めて感じています。
ただ──、
受験生を持ったことがある親の経験から言えることとして、
これだけは言えると思っています。
「"勉強しなさい"と、
言われれば言われるほど、
子どもは勉強をしない」
これまで、
いろんな受験生を持つ人の話を聞く限り、上手くいかないのは、
"勉強をさせようとするから"
なのかなとも感じています。
受験は家族の大きなイベントです。
子どもと一緒に楽しめたら、
結果がどうであれ、
それで良しではないかとも思っています。
何より。
全ての受験生、
またそれを支える方々に、
幸があることを心から祈りつつ。
2025年7月吉日
何ごともお気楽に
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