文字による遊び
[Header Image] 蔵書より
"The Dawn of Slavic - An Introduction to Slavic Philology"
(Alexander M. Schenker)
Schoenhof's Foreign Books, Mount Auburn Street, Cambridge, MA にて購入
文字オタク(軽度)
私は軽度の鉄オタ且つ文字オタクですが、言語学を専攻した訳ではなく勉強及び仕事の関係で表面的に親しんだ程度の知識しかありません。
数学を専攻する上で、ロシア語を第二外国語に選んだお陰で、Cyrillic script が好きになりました。また数学を勉強すると Greek script を覚えます。高校の数学でも三角関数の記述に θ を使うはずなので、別に難しい話でも何でもありませんし、ε-δ 論法も定着していると信じています😉
(Appendix 参照)
[N.B.] ロシア文化と現無法国家👽とは全く別です、念の為。
因みに数学、特に数論や Lie環論では Fraktur が使われます:

とても格調高いのですが、判別し難いのであまり好きではありません😧
とは言え数学では記号の意味を区別する為に Diacritical Mark (補助記号)や異なるフォントを用いるので、未だに Fraktur は需要があるようです。
以下は比較的見易い例:

"Primes of the Form x² + ny²" (by David A. Cox) より
仕事の為 Indian Subcontinent 及び Israel への出張がそれぞれ七回あり、また電話会議も毎日のようにあったこともあり、Sanskrit 語及び Hindi 語で使用される Devanagari 及び Hebrew alphabet も覚えましたが、後者は苦労の末に覚えたものの使用機会を作る程優先度を感じない為忘れかけています…
尚、この記事の主題からは外れますが、好きな言葉⬇️

(Image via Pinterest)
説明は以下に書かれていますが、日本語にも言及しています:
https://laacademia.co.uk/he-who-knows-no-foreign-language-knows-nothing-of-his-mother-tongue/
蔵書より


上記の画像左の"The World's Writing Systems" より⬇️
① A variety of calligraphic styles

② Development of Brahmi

勉強してはおりませんが、西夏 (Tangut) 文字がとても気に入っています:

「ウィル」「ンディ」と読む次の二文字は「文字」という意味になる
アセミック
文字が好きである為、文字を用いた芸術にも興味があります。
従って益子禅一朗様の一連の作品にはかなり興味があり、実は以下の作品がこの記事を書く切っ掛けです。尚、以下の画像は益子禅一朗様の諒解の下に用いております🙏

https://note.com/komashiro_z/n/nff8d8a053b1c
加えて以下の書評が「呆れる程凄い」です:
(I would describe it "absurdly intriguing" 😮)
念の為にアセミックに関して定義を述べておきます。
Wikipedia (Asemic writing) からの引用です。
Asemic writing is a wordless open semantic form of writing. The word asemic means "having no specific semantic content", or "without the smallest unit of meaning".
要は「特定の意味的内容を持たない」又は「意味の最小単位を欠いている」ということを意味します。
尚、英語での発音は /eɪˈsiːmɪk/ なので、日本語に導入された方は仏語 asémique /a.se.mik/ から音写されたものと邪推しています。
好みの作品
私自身は一文字で何かを表すよりは以下に示す作品を好む傾向があります:(以下の四枚の画像は全て Pinterest より)




明らかですが、始めの二枚は Persian、次の二枚は Hebrew です。
残念ながら「それぞれの文化に対する深い理解」の上で文字芸術を鑑賞している訳ではありません🙇
Black Speech
以下は言語と文字を作った例です。
非常に有名なので直ぐにお判り頂けるはずです。


特殊フォント
以下は新たに作られた文字というよりもフォントです。
① 変体少女文字
「ポプらむ☆キュート」の Homepage より引用させて頂きました:

② 変体仮名
変体少女文字に触れたので、平仮名の異体字である変体仮名(變體假名)にも触れるべきでしょう。1948年(昭和23年)の戸籍法施行によって変体仮名は戸籍上の人名に使えなくなっています。
これは特殊文字で表示にはフォントが必要です。
私の亡き母の名前は婦美子ですが、正式には変体仮名を用いておりました:

Tamil script の母音 இ (i) に少し似ているのが不思議😮

③ Fontul Arhaic Atanasie (Archaic Athanasius Font)
伝統的なルーマニアの教会スラブ語のカリグラフィー (Vyaz) に触発された Florin Florea氏によって作成された "Arhaic Atanasie"という装飾的な表示用フォントです。
よく見るとラテン文字であることが判ります。

旅先で見つけたもの
昔の旅行で撮影した写真を整理している際に以下の写真を見つけましたが、これはかなり魅力的な作品だと感じています。
これは宿毛フェリー(既に廃止)を利用して大分県佐伯市に向かった際に、佐伯港近くのフードコートのような場所で撮影しました。
明らかに「さいき」と書かれています。
雑な撮影で恐縮です🙇

Asemic by Tatiana Roumelioti
Asemic という点ではとても気になっているのが Tatiana Roumelioti です。
いくつか選んでみました:
(All images below are via Pinterest.)
中には Arecibo message を想起させるものがあります💫







以上、理論の欠片もない単なる羅列でした。
ここまで読んで頂き誠に有難うございました🙏
Appendix
① 笑い文字に取り組んでいる方について:
『文字による遊び』という記事で紹介するのは甚だ不適切かと思いますが、私には到底真似の出来ない世界です…
② ε-δ 論法に触れた序でに、この用語が登場する稀有な記事を紹介します:
引用します:

その時、閉じかかったドアの向こうから、少女の叫ぶ声が聞こえた。
「イプシロン!デルタ!」
「なんだと!?」
「なぜ?それを知っている?!男でも、ギムナジウムを出たぐらいでは知らないはずだ!」
この少女とは Sofya Vasilyevna Kovalevskaya、そしてそれに驚いたのは Karl Theodor Wilhelm Weierstrass😮
当記事は『文字による遊び』が主題ですが、Weierstrass の ℘-関数について一言。これはぺー関数と呼ばれる二重周期を持つ複素関数で、代数幾何学・数論等における非常に基本的な研究対象です。定義を簡単に述べると

そして計算はやや面倒ですがこの導関数が満たす以下の性質が凄いのです😮

非常に重要ですが、「世界を変えた17の方程式」には登場しません…🙃

尚、文献によっては係数 g₂, g₃ を G₄, G₆ と記すスタイルがあります。
使われているフォントを見ると明らかに違いますね:

この字体は Karl Weierstrass 自身の個人的な手書きの筆記体やドイツの旧い筆記体に由来する特殊な記号です:
...it is derived from Karl Weierstrass's personal calligraphic handwriting and traditional German cursive scripts like Kurrent rather than a standard commercial font.
この Kurrent とは Deutsche Kurrentschrift のことです💡
個人の手書きの筆記体がフォントとして歴史に刻まれるのは、この ℘-関数が非常に重要であることの証左ですね、ダイデン大佐😉
🟪
