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つながらない権利とセグメンテイション・プリファレンス(オフでも働きたい人)

閣議決定された骨太の方針や日本成長戦略や規制改革実施計画に「つながらない権利」がどう記載されているのか確認してみると「つながらない権利⇔セグメンテイション・プリファレンス(オフでも働きたい人)」に!


つながらない権利と日本成長戦略

今月(2026年7月)21日に『日本成長戦略』が閣議決定されました。

その『「日本成長戦略』59ページには「裁量労働制については、現場の実態や労使双方の立場を十分に踏まえて、健康確保、長時間労働防止、適切な処遇確保などの濫用防止措置を前提に裁量労働制の対象の在り方について、見直しの検討を行う」と書かれています。

また「変形労働時間制については、他律的な要因に十分対応できていない現場の実態や、労働者の生活時間や予見可能性の確保にも留意しつつ検討を進める」とも書かれています。

そして「連続勤務規制や勤務間インターバル制度の法的位置付け、『つながらない権利』の在り方、副業・兼業に当たっての健康確保、テレワークの活用促進などについて、現場の実態や労使双方の立場を十分に踏まえて、検討を進める」と記載されています。

つまり閣議決定された『日本成長戦略』には、つながらない権利の在り方について「現場の実態や労使双方の立場を十分に踏まえて、(夏以降の労働政策審議会で)検討を進める」と書かれています。

(柔軟で多様な働き方の実現に向けた労働時間法制等)
心身の健康維持と従業者の選択を前提に、柔軟で多様な働き方を実現するため、労働時間法制等に係る政策対応について、2026年夏以降の労働政策審議会において議論を行う。
裁量労働制については、現場の実態や労使双方の立場を十分に踏まえて、健康確保、長時間労働防止、適切な処遇確保などの濫用防止措置を前提に裁量労働制の対象の在り方について、見直しの検討を行う。
また、変形労働時間制については、他律的な要因に十分対応できていない現場の実態や、労働者の生活時間や予見可能性の確保にも留意しつつ検討を進める。
また、連続勤務規制や勤務間インターバル制度の法的位置付け、「つながらない権利」の在り方、副業・兼業に当たっての健康確保、テレワークの活用促進などについて、現場の実態や労使双方の立場を十分に踏まえて、検討を進める。
また、労働時間制度の運用については、時間外労働の実態を踏まえた、36協定の締結や柔軟な労働時間制度の活用について、よろず支援拠点等との連携を強化しつつ、「働き方改革推進支援センター」や労働基準監督署による相談支援の充実を速やかに実施するとともに、必要な体制整備については2027年度以降も着実に実施を図る。
あわせて、労働基準監督署において、重大・悪質な事案に対しては厳正に 対応しつつ、労働時間や労働者の健康確保措置に関する労使の合意にのっとった指導が行われるよう速やかに見直す。
これらの施策について、実施後の政策効果を検証し確認できるよう、あらかじめモニタリングとデータ収集を行うためのフォーマットを作成し、厚生労働省と地方支分部局において確実にフォローアップを行う。

『日本成長戦略』

日本成長戦略(PDFファイル)

日本成長戦略概要(PDFファイル)

Outline of the Japan’s Growth Strateg(PDFファイル)

つながらない権利と骨太の方針2026

『日本成長戦略』と同様に7月21日に閣議決定された『経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2026』15ページには「労働力供給制約下での雇用保険制度における対応の在り方について、2026年内を目途に結論が得られるよう検討する。心身の健康維持と従業者の選択を前提に、柔軟で多様な働き方を実現するため、労働時間法制等に係る政策対応について、夏以降の労働政策審議会において議論を行う」と記載されています。

このように骨太の方針2026本文には「つながらない権利」の記載はありませんが、脚注65には『日本成長戦略』中の労働時間法制に関する箇所が引用されています。

つまり骨太の方針2026の本文に記載がなくても脚注65には「つながらない権利」の在り方について「現場の実態や労使双方の立場を十分に踏まえて、(夏以降の労働政策審議会で)検討を進める」と書かれています。

(人材の育成・能力発揮)
17の戦略分野やエッセンシャル分野を始めとする幅広い人材の育成・確保のため、国・地域における取組を推進する。教育政策、産業政策と雇用政策を始めとする関係政策を連携させ、人材育成を一気通貫で推進する。人づくりの礎である教育の質を向上させる。産学官が連携し、必要なスキルや処遇の明確化、プログラム開発、費用負担の軽減や情報提供の充実、大学の体制強化、社会人による奨学金の活用の更なる向上に向けた検討を通じて、リ・スキリング機会を拡充する。アドバンスト・エッセンシャルワーカーの育成に取り組む。これらにより、処遇や生産性の向上を図る。
こうしたスキルアップや技能尊重の機運醸成に向けた「全世代型リ・スキリング国民運動」を展開するとともに、2028年技能五輪国際大会の日本開催の準備を進め、技能士・業界団体等の連携による人材育成の取組を推進する。
労働力供給制約下での雇用保険制度における対応の在り方について、2026年内を目途に結論が得られるよう検討する。心身の健康維持と従業者の選択を前提に、柔軟で多様な働き方を実現するため、労働時間法制等に係る政策対応について、夏以降の労働政策審議会において議論を行う。(脚注)65
国家公務員が持てる能力を遺憾なく発揮し、国民生活と国益を支える役割を果たせるよう、採用活動を幅広く強化するとともに、民間企業等に伍する職場環境の整備、人材マネ ジメントの強化、人事管理機能の高度化、処遇改善を進め、公務を選ばれる仕事とする。

(脚注)65
「成長戦略」から抜粋。
裁量労働制については、現場の実態や労使双方の立場を十分に踏まえて、健康確保、長時間労働防止、適切な処遇確保などの濫用防止措置を前提に裁量労働制の対象の在り方について、見直しの検討を行う。
また、変形労働時間制については、他律的な要因に十分対応できていない現場の実態や、労働者の生活時間や予見可能性の確保にも留意しつつ検討を進める。
また、連続勤務規制や勤務間インターバル制度の法的位置付け、「つながらない権利」の在り方、副業・兼業に当たっての健康確保、テレワークの活用促進などについて、現場の実態や労使双方の立場を十分に踏まえて、検討を進める。
また、労働時間制度の運用については、時間外労働の実態を踏まえた、36協定の締結や柔軟な労働時間制度の活用について、よろず支援拠点等との連携を強化しつつ、「働き方改革推進支援センター」や労働基準監督署による相談支援の充実を速やかに実施するとともに、必要な体制整備については2027年度以降も着実に実施を図る。
あわせて、労働基準監督署にお いて、重大・悪質な事案に対しては厳正に対応しつつ、労働時間や労働者の健康確保措置に関する労使の合意にのっとった指導が行われるよう速やかに見直す。
これらの施策について、実施後の政策効果を検証し確認できるよう、あらかじめモニタリングとデータ収集を行うための フォーマットを作成し、厚生労働省と地方支分部局において確実にフォローアップを行う。

『経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2026』

経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2026(PDFファイル)

経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2026概要(PDFファイル)

つながらない権利と規制改革実施計画

骨太の方針や日本成長戦略と共に7月21日に閣議決定された『規制改革実施計画』45ページ~には変形労働時間制および裁量労働制の見直しについて労働政策審議会で検討するように、と極めて詳細に記載されています。

しかし、詳細な規制改革の内容にかかわらず「つながらない権利」の記載は見当たりません。ただ「心身の健康維持」と書かれています。

事項名
1年単位の変形労働時間制における労働日等の特定の在り方

規制改革の内容
(略)以上の声や指摘を踏まえ、心身の健康維持を前提に柔軟で多様な働き方を実現する観点から、1年単位の変形労働時間制について、厚生労働省は、規制改革推進会議での議論や制度運用状況等の実態も踏まえ、予期しなかった事情にも柔軟に対応できるようにすることについて、労働者の予見可能性の確保についても十分留意しつつ、労働政策審議会において検討し、結論を得次第、速やかに所要の措置を講ずる。

実施時期
令和8年検討開始、早期に結論、結論を得次第速やかに措置

所管府省
厚生労働省

『規制改革実施計画』

事項名
裁量労働制の適用対象業務の在り方

規制改革の内容
労働基準法(昭和22年法律第49号)第38条の3に定める専門業務型裁量労働制及び同法第38条の4に定める企画業務型裁量労働制は、業務の性質上、業務遂行の手段や時間配分等を大幅に労働者に委ねる業務に従事する労働者を対象とする制度であり、適正な運用が行われれば、労使双方にとってメリ ットのある働き方の実現が見込まれるものの、厚生労働省「令和7年就労条件総合調査」によると、専門業務型裁量労働制の適用労働者割合は期間を定めずに雇われている労働者全体の約1.1%、企画業務型裁量労働制の適用労働者割合は期間を定めずに雇われている労働者全体の約0.3%となっている。
これに対して、一部の企業や民間経済団体からは、以下に掲げる課題等への対応が必要であるとの声がある。
・裁量労働制は、令和7年に実施された日本経済団体連合会の「ホワイトカラー労働者の裁量労働制適用ニーズ等に関する調査結果」によると、メリハリを付けて自分のペースで働ける、就労時間が短くても一定額の裁量労働手当等を受け取ることができる、成果に応じた処遇が受けられる可能性があるといった理由により、裁量労働制を適用されていないホワイトカラー労働 者のうち約3割が同制度の適用を希望しているとされている一方、「現行の裁量労働制の対象業務に関する解釈について」(令和5年8月2日厚生労働省労働基準局労働条件政策課長及び監督課長連名通達)においては、対象労働者は、対象業務に常態として従事していることが原則であり、企画、立案、調査及び分析の業務とは別に、たとえ非対象業務が短時間であっても、それが予定されている場合は、企画業務型裁量労働制を適用することはでき ないこととされており、我が国の企業においては、企画業務型裁量労働制の対象業務に従事する労働者に全社横断的なプロジ ェクト型業務への参加や安全衛生委員会への出席といった非対象業務も担当させる場合があることから、対象業務と非対象業務の混在が認められていない企画業務型裁量労働制を適用することが困難であること。
・規制改革推進に関する答申(令和7年5 月)にも示されたとおり、スタートアップ においては一人の労働者が複数の業務を担当することが一般的であることから、対象業務と非対象業務の混在が認められていない裁量労働制を適用することが困難であるほか、企画業務型裁量労働制を導入する際に必要な労使委員会の設置等が手続負担等の面からスタートアップにおける制度導入の障壁になっていること。
・特定の顧客向けの商品・サービスの企画、立案、調査及び分析を行った上で、それに基づき開発・提案まで行う業務に対しても 裁量労働制を適用するニーズがあるが、現行制度では適用が困難であること。
・グループ会社等で重複する人事・財務・経 営企画などの間接業務を別会社に集約・標 準化し、効率化を目指す、いわゆる「シェアードサービス業務」がグループ化を進める企業を中心に活用される中、「シェアードサービス業務」の中でも企画、立案、調査及び分析を行う業務に対しても裁量労 働制を適用するニーズがあるが、現行制度では適用が困難であること。
一方、令和元年に実施された厚生労働省の 「裁量労働制実態調査」においては、①労働基準法第38条の3第1項第2号に規定する労働時間として算定される時間及び同法第38条の4第1項第3号に規定する労働時間として算定される時間(以下「みなし労働時間」という。)と実際の労働時間の間に、専門業務型裁量労働制の適用労働者では平均し て46分、企画業務型裁量労働制の適用労働者では平均して1時間8分の差がそれぞれ見られること、②専門業務型裁量労働制及び企画業務型裁量労働制の適用労働者のそれぞれ約2割が裁量労働制の適用に対する満足度について「不満である」又は「やや不満である」と回答していること、③適用労働者の苦情の内容として「業務量が過大である」 「労働時間が長い」「賃金などの処遇が悪い」「人事評価が不適切である」などの点が挙げられていることなどを踏まえ、制度の趣旨に沿っていない運用への懸念については、労働者の健康確保や長時間労働防止、適切な処遇確保等の観点から、制度の濫用防止措置について検討する必要がある。
特に、みなし労働時間については、企画業務型裁量労働制指針等において、対象業務の内容並びに対象労働者に適用される賃金・評価制度を考慮して適切な水準のものとなるようにし、対象労働者の相応の処遇を確保することが必要とされていることを踏まえ、適切に設定されているかなど、実態を明らかにし、制度の趣旨に沿っていない運用の懸念がある場合には、適切な措置を講じて、未然に防止するべきである。
これに対して、公衆衛生学の観点からは、 裁量労働制の運用について、以下の指摘がある。
・長時間労働や概日リズムの乱れ、心理的に仕事から距離を置けないこと、裁量のない労働者への制度の適用、努力に見合わない報酬や評価等が生じた場合には、健康上のリスクとなりやすい。
・使用者には、正確な労働時間の管理や裁量に見合うタスクの設定、適切な成果の評価が求められるほか、健康・福祉確保措置として、勤務間インターバル(企画業務型裁量労働制指針等に基づき、終業から始業までに一定時間以上の継続した休息時間を確保することをいう。)、深夜労働(労働基準法第37条第4項に規定する時刻の間において労働させることをいう。)の回数を1か月について一定回数以内とすること、 使用者が把握した労働時間が一定時間を超えた場合の制度適用解除、年次有給休暇の連続取得の促進等の予防的措置を講ずることが重要であり、さらに、時間外の連絡方法に関するルールの作成や仕事を与える管理監督者に対する心理的安全性に関する教育の実施、労働者に対する労働時間等の自己管理能力を醸成する教育の実施等も考えられる。
以上の声や指摘などを踏まえ、心身の健康維持と労働者の選択を前提に柔軟で多様な働き方を実現する観点から、厚生労働省は、健康確保、長時間労働防止、適切な処遇確保などの濫用防止措置を前提に、裁量労働制の対象の在り方について労働政策審議会において見直しの検討を開始し、結論を得次第、 必要な措置を講ずる。

実施時期
令和8年検討開始、早期に結論、結論を得次第速やかに措置

所管府省
厚生労働省

『規制改革実施計画』

規制改革実施計画(PDFファイル)

実施事項説明資料(PDFファイル)

「心身の健康維持」公衆衛生学の観点

閣議決定された『規制改革実施計画』には「公衆衛生学の観点からは、 裁量労働制の運用について、以下の指摘がある」と書かれていますが、公衆衛生学の観点とは堤明純・北里大学医学部公衆衛生学教授の提言のことだと思います。

規制改革推進会議(第8回)働き方・人への投資ワーキング・グループが今年(2026年)4月14日にオンラインで開催され、議題は「労働時間法制に係る政策対応の在り方について」。

その4月14日の働き方・人への投資ワーキング・グループで北里大学医学部の堤明純教授が『裁量労働制における健康確保措置の在り方』と題して13分間、お話をされています。動画がありますので、ぜひ視聴していただきたと思います。

なお堤教授は厚生労働省の有識者会議で裁量労働制について議論した「これからの労働時間制度に関する検討会」(2021年7月~2022年7月)のメンバーの一人になります。

堤教授・提出資料の項目「十分な勤務間インターバル、心理的なディタッチメントの必要性」には「十分な勤務間インターバルが取れないことは、労働者の健康や安全に影響する」「心理的ディタッチメント増加は、労働者のウェルビーイングを向上させる」「心理的ディタッチメントとは、オフの間に心理的に仕事から距離をおけること」「インターバルが長くても仕事メールの頻度が多いとディタッチできない」と書かれています。

また堤教授の提出資料には事業場における対象従業員全員を対象とする制度的な措置として、
・勤務間インターバルの確保
・深夜労働の回数制限
・労働時間の上限措置(一定の労働時間を超えた場合の 制度の適用解除)
・年次有給休暇の連続取得の促進
・職場の特性に応じた(時間外)連絡方法のルール化
つながらない権利⇔セグメンテイション・プリファレンス(オフでも働きたい人)
・管理監督者教育
・労働者の健康教育(自己管理能力醸成)(安全文化の促進:心理的安全性)
・過度に仕事にのめりこむ状況を避ける
・心身の健康を保ちながら働き続けられるよう、生活をデ ザインできる(律する)よう、学習の機会を定期的に設ける
と記載されています。

とくに「職場の特性に応じた(時間外)連絡方法のルール化」「つながらない権利⇔セグメンテイション・プリファレンス(オフでも働きたい人)」に注目すべきです。

なお第8回 規制改革推進会議 働き方・人への投資ワーキング・グループ(公式 規制改革チャンネル)YouTubu動画(全2時間37分)において堤教授のお話は39分から始まり52分(正確には53分に少しだけ)までの13分間。

つながらない権利とオフでも働きたい人

「つながらない権利」と「セグメンテーション・プリファレンス(オフでも働きたい統合志向の人への配慮)」は、現代のデジタル化された働き方において、仕事と私生活の境界線をどのように管理するかという個人の志向や権利をめぐる重要な対立・補完関係にあるといった指摘をされる方もいます。

なお今回は「つながらない権利」と「セグメンテーション・プリファレンス(オフでも働きたい統合志向の人への配慮)」の対立・両立問題について、特に詳しく学べる「おすすめ」の3サイトを紹介します。

1 専門組織による学術・データ背景を学ぶには
ビジネスリサーチラボ (セグメンテーション・プリファレンス解説)
「セグメンテーション・プリファレンス」の概念を分かりやすく体系化して解説している組織のコラムです。

2 人事・マネジメント視点での基本を学ぶには
日本の人事部 (人事労務キーワード解説)
人事ポータルサイトによる、実践的かつ客観的な用語解説ページです。

3 日本の法制化動向と最新の企業実務を学ぶには
バルテック (社労士監修・つながらない権利と企業対策)
日本における法制化議論の最新動向(2026年時点の現状)や、現場が直面するジレンマを社労士監修で詳しく解説している実務向けサイトです。

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