つながらない権利 法制化と厚生労働省(最新情報2025年6月)
つながらない権利は日本でも法制化されるのか?
そういう疑問をもつ人事担当者は厚生労働省の審議会分科会(正式には「労働政策審議会 労働条件分科会」の議論に注目だが、勤務間インターバル義務化に比べると「つながらない権利」法制化は期待できないかもしれません。
追記:労働基準法制研究会報告書にある「つながらない権利」法制化に消極的な記載にもかかわらず、厚生労働省は労働政策審議会(厚生労働大臣諮問機関)労働条件分科会での議論を経て「つながらない権利 法制化の検討へ」と動くのではないかと思います。(2025年8月3日)
つながらない権利 法制化を検討へ-厚生労働省の審議会分科会委員が
労働政策審議会 労働条件分科会
厚生労働大臣の諮問機関・労働政策審議会の第199回(2025年6月6日開催)労働条件分科会では労働基準関係法制が議題になり、厚生労働省が準備した資料「労働時間法制の具体的課題について② (休日・連続勤務規制、勤務間インターバル、つながらない権利、年次有給休暇)の47ページから46ページが「つながらない権利」に関する資料となっています。
残念ながら、勤務間インターバルの資料に比べ「つながらない権利」資料は物足りない分量になっています。なお、第200回 労働条件分科会は6月16日に開催されます。
つながらない権利 法制化と分科会委員意見
「つながらない権利」法制化について199回(2025年6月6日)労働条件分科会で少しは議論が行われたようですが、資料「労働条件分科会でのこれまでの意見」19ページに「つながらない権利」法制化に関する労働条件分科会委員意見が2点だけ記載されています。
・業務外の連絡や指示の問題について、労働者、使用者の関係だけではなく顧客とその担当者の関係も含めた複合的な要因があるため、 社内の取組を決めるだけでは環境整備は難しく、法制化も念頭に置いた検討も必要ではないか。事業所ごとの労使協定などの明文化も含めて、労使で職場実態に合わせたつながらない権利の確保に資するルール化を促すような取組を進めてもらいたい。
・テレワーク時には顕著であるが、情報通信技術の発達により勤務時間外の連絡も一層容易になっており、つながらない権利の法制化に向けた検討が重要である。
なお、196回(2025年3月27日)労働条件分科会の議事録によると、水野和人委員(情報産業労働組合連合会書記長)が「情報労連では(略)春闘などを通じ、労使で職場の働く実態を踏まえた『つながらない権利』や、勤務時間外の業務に関する連絡のルール化に取り組んできたところでございます。休日の電話やメール対応の禁止、さらにはこうした対応をしなかったことによる人事評価への不利益取扱いの禁止などを労使でルール化するような成果も一部出てきているところでございます」と発言しています。
そして水野委員は「一方で、業務時間外の連絡や指示の問題というのは、自社の中だけ、あるいは上司と部下、労働者と使用者の関係だけではなくて、労基研(労働基準関係法制研究会)報告でもございましたけれども、顧客とその担当者の関係も含めた複合的な要因があるということでございます。そうしたことも踏まえれば、社内のルールを決めるだけでは十分な環境整備は難しいと思っており、法制化も念頭に置いた検討も必要と思ってございます。また事業所ごとの労使協定などの明文化も含めて、労使で職場実態に合わせたつながらない権利の確保に資するルール化を促すような取組もぜひ進めていただければと思ってございます」と意見を述べています。
資料「労働条件分科会でのこれまでの意見」に記載されている「社内の取組を決めるだけでは環境整備は難しく、法制化も念頭に置いた検討も必要ではないか。事業所ごとの労使協定などの明文化も含めて、労使で職場実態に合わせたつながらない権利の確保に資するルール化を促すような取組を進めてもらいたい」という発言は、第196回(3月27日)労働条件分科会での水野和人委員の意見で正確には(議事録によると)「社内のルールを決めるだけでは十分な環境整備は難しいと思っており、法制化も念頭に置いた検討も必要と思ってございます。また事業所ごとの労使協定などの明文化も含めて、労使で職場実態に合わせたつながらない権利の確保に資するルール化を促すような取組もぜひ進めていただければと思ってございます」といった発言があったということでしょう。
「労働基準関係法制研究会」報告書<参考>
厚生労働省は今年(2025年)1月8日に「労働基準関係法制研究会」報告書を公表し、1月21日に開催された労働政策審議会の労働条件分科会で厚生労働省は「労働基準関係法制研究会」報告書の内容を説明していますが、その報告書の中の「つながらない権利」に関する箇所(報告書43~44ページ)を抜粋します。
(4)つながらない権利
本来、労働契約上、労働時間ではない時間に、使用者が労働者の生活に介入する権利はない。しかし現実には、突発的な状況への対応や、顧客からの要求等によって、勤務時間外に対応を余儀なくされ、私生活と業務との切り分けが曖昧になり、仕事が私生活に介入してしまうことになる状況も容易に発生し得る。
欧州等では、「つながらない権利」を行使したことや行使しようとしたことに対する不利益取扱いの禁止、使用者が労働者にアクセス可能な時間帯の明確化や制限、「つながらない」状態を確保するための措置の実施 (より具体的には労使交渉の義務付け)等を内容とした、「つながらない権利」が提唱されている。例えば、「つながらない権利」を法制化しているフランスの例を見ると、具体的な内容の設定の仕方・範囲は労使で協議して決めており、その内容は企業によって様々であるが、労使交渉で合意に至らない場合には、つながらない権利の行使方法等を定めた憲章を作成することが使用者に義務付けられている。
また、実際に勤務時間外に労働者に連絡をとる必要が生じる際は、労働者と使用者の関係だけでなく、顧客と担当者の関係等も含めた複合的な要因が生じていることが多いと考えられ、当該連絡の内容についても、具体的な仕事が発生して出勤等をしなければならないこともあれば、電話等での対話を行わなければならないもの、メール等が送られてくるだけといっ たような、様々な段階のものが存在し得る。こうした点を整理し、勤務時間外に、どのような連絡までが許容でき、どのようなものは拒否すること ができることとするのか、業務方法や事業展開等を含めた総合的な社内ル ールを労使で検討していくことが必要となる。このような話し合いを促進していくための積極的な方策(ガイドラインの策定等)を検討することが 必要と考えられる。
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