「患者カルテ」を試してみませんか?(家族療法学会の講演より)
▼ウォークインセラピー
家族療法学会で聴いた「患者カルテ」の講演の続きです。
野村さんは、カナダなどで行われているウォークインセラピー(Walk-in Therapy)を参考にしたと仰っていました。この言葉、フィンランドのソーシャルワーカーであるchisatoさんから聞いたばかりだった!(リンク先の報告には出てきません。書き忘れました)
予約不要(walk-in:飛び込み)で、その日に来た人がその場で1回完結型の心理支援を受けられる仕組みを指します。時間は60分くらい。必要に応じて次の資源につなぐ運用もありでしょう(ワンストップ)。「今日困っている。今、話したい」というニーズに即応する設計です。フィンランドでは街中のショッピングセンターや図書館など、いろいろなところに飛び込みで相談できるところがあるそうです。
▼ウォークイン+患者カルテ
このウォークインセラピーの場で「患者カルテ」を活かしたら、有益なのではないかと野村さんは語りました(実は記憶が怪しいのですが、そう仰ったと思います)。そうだ!と私も思いました。ウォークイン、つまり飛び込みで来るわけですから、話したいことなどまとまっていないでしょう。自分がどうしたらいいかわからない、何に悩んでいるのかもよくわからないかもしれない人の話を、60分間丁寧に聞くだけでも価値があると思うのですが、そこで話されたことをカウンセラーが書き取りつつ、質問して、さらに話が広がり、書かれたものを修正したり加筆し、最後に自分のカルテとして受け取る。そういった記録は、その方の明日からの生活に、何か違いを生み出すのではないかと思えるのです。前回のnoteでご紹介したように、記録の朗読そして対話するという祝祭的な空間は作れませんが、「患者カルテ」を渡すだけでも、「ただ話を聞く」のとは違う効果が生まれるのではないか、と私は考えています。
▼産業領域での応用
産業領域でお仕事をされている保健師さん、あるいはカウンセラーさん。これを現場で試してみませんか?すでに多くの方がPCで面接の記録を取られていると思うのです。その記録を、従業員の、「『私は…』という一人称』で書いていけば、もう「患者カルテ」です。できればこちらの質問やコメントも書き込んでいくと、ストーリーがより明確になっていいと思います。「今日の話はこれで合ってますかね?」と印刷して確認してもらい(私は話がちゃんと聞けていましたか?ということです)、直すところは直し、最後に印刷して渡す。これだけです。
▼アセスメントはどうするのか?
アセスメントはどうするのか?余裕があればアセスメントも含め印刷していいと思いますし、アセスメントを見せるのは恥ずかしい!ということでしたら、後で書き足してもいいでしょう。
▼アドバイスは書かない
話の流れで助言的な話をしたのなら、もちろんそれも書いてください。でも、アドバイスするためのツールではありません。対人支援職はどうしても「何かいいこと」を言いたくなってしまうのですが、そこは絶対に抑えてください。主人公は「従業員の語り」です。そこに寄り添ってみての「やり取り」を残すのです。それを従業員が改めて見返してみることに価値が生まれます。絶対に「足さない」でください。
▼そしてすべての対人支援職の方へ
そしてこの方法、すべての対人支援職の方が使えると思うのです。未だに手書きカルテでは大変だと思うのですが、記録が電子化されているなら、今までやっていたことに一工夫するだけです。
ともかくやってみませんか。今までと違うことが、きっと起こるはずです。
(ここまで書いてしまうとは、自分でも思いませんでした。このワクワク感はなんでしょう…)
